東尾根から中山最高峰
 
平成18年 9月18日(月)
【天候】曇りのち晴れ
【同行】単独
南のCa340m峰から天宮塚


 台風接近の敬老の日の三連休。芳しくない予報であったが、存外いい天気。その台風が
日本海へ遠ざかる月曜日は文字通り台風一過、清々しいだろうと思いきや、南から吹き込
む湿った風で夏が戻ったよう。それでも晴れ間が覗き、風もあるので久方ぶりに北摂の低
山へ。出発が遅かったこともあって目的地は車で1時間もかからぬ中山である。

 いつもの駅前の駐車場。秋のシーズンの為か、この前は半日止めても700円だったの
が、今日は千円。近くにコインパーキングが出来ていて、こちらは最高800円だから、
こちらがお徳。でも気づいたのは料金払って歩き出した後。アチャー。(>_<)

 今日はお参りの人が多い。本堂は岩田帯を貰う人や納める人でごった返している。そし
て、この中山寺。なんと石段横にエスカレータまで備えてあるのだ。寺務所は鉄筋造り、
木造の古い建物だった茶店はその寺務所の階下。五百羅漢の堂も新造。多宝塔も新設工事
中で、梅林の上の公園も立ち入り禁止。綺麗にはなるが、何か由緒や荘厳さが薄れていく
ような感じは否めない。
中山寺は階段横になんとエスカレータ完備

 さて、参拝客が行き来する境内から信徒会館の前を過ぎ、奥の院の参道を梅林に抜ける。
いつもは足洗川を渡って参道を進むのだが、今日は東尾根コース。石橋の手前に神戸営林
署の道標がある。最初はやや細い踏み跡が斜面についているだけだが、すぐに中山寺の柵
沿いになって明快な道になる。右手の梅林の中の広場に立つ観音像が見えていて、その前
に座っていた初老のグループが吹くハーモニカの音が風に乗って流れてくる。

東尾根コースの取付き

 少し登ると中山東尾根の突端で、小さな切開きには道標がある。ここで左に曲って暫ら
くすると、アンテナ施設があって、側に掲げられた営林署の「火の用心」と白く染め抜か
れた赤い横断幕がやけに目立つ。

 道は左右からササが被る所もあるが概して明快。アカマツやツツジが主体の明るい部分
もあれば、ヒサカキなどの常緑樹が覆うほの暗い所もある。そして低山にお決まりのクモ
の巣。首筋にフニャーとへばりつく。気持ち悪いことおびただしい。と、クモの巣に気を
とられていると唐突に民家のフェンスがすぐそこに現れてビックリする。こんな尾根の片
側まで宅地造成されているのか。(若いうちはいいけど齢を取ったら、とっても住めない
だろうなあ)などと思いつつ、民家のフェンス沿いに歩いていると、そこへ突然、飼い犬
が飛び出してきてフェンスに足をかけて吠えかけてくるから敵わない。舌を鳴らして宥め
ながらほうほうの態で抜ける。(^^;
コシダが覆う東尾根

 南の方から黒い雲。パラパラと雨が落ちてきたがすぐに止む。常緑樹の暗い林を透かし
て右手に見えるのは桜台小学校。水色のコンクリートはプール。体育館が並んでいて、何
か歌声が流れてくる。そこからちょっとした登りになり、埋もれた小さな岩が散在する所
もあって、登りきると小さなピーク(Ca340m峰)。前方に天宮塚の三角錐の優美な姿
が現れる。その小さなピークを越えると、下からせせらぎの音が微かに響いてくる。道は
その谷に向かってやや左に傾ぎながらジグザグに急降下。折角登ったに...と勿体ない
がこればかりは仕方がない。20〜30m下ると小さな流れが現れた。道標があり、沢は
どうも足洗川の源流らしい。その沢沿いに下る道があるが、そういえば思い出した。ここ
は東尾根から天宮塚への道と沢沿いの道の交点。前回はこの沢沿いの道を堰堤を越えなが
ら遡ってきたのだった。

 足洗川に合流する細い谷沿いに少し入って斜面を急登するのはこの前と一緒。尚、足洗
川は以前にも書いたように、聖徳太子が愛馬の脚を川の流れで洗ったことから名がついた
という由緒ある川。893屋さんがこの川の水で顔を洗って堅気になったからというので
は決してないから念の為。(笑)

 天宮塚の斜面はこのコース一番の急登だが距離は短い。登るに従って視界が良くなって
いき、頂上手前は殊の外、素晴らしい。阪神間が一望で伊丹空港や武庫川の流れ、六甲山
系に甲山。海には台風を避けて多くの船が舫っている。遠くは生駒から葛城金剛に続く山
々。その奥の大和高原もかすんでいる。この眺めがあるから、聖跡になっているのだろう。
生駒付近から上がる朝日はさぞ素晴らしいであろう。今日も一人の小父さんが休憩中であ
る。
天宮塚山頂付近から
中央を流れるのは武庫川。右奥は大阪湾

 聖徳太子聖跡の碑と神宮教の白龍大神の碑が立つ山頂を後にして、雑木道を100mも
たどれば中山最高峰と奥の院を結ぶ道に合流。そこからすぐの東屋には誰もいないが、何
故か白黒まだらの猫が寝そべっている。毛並みは綺麗で何処かの飼い猫らしいが、こちら
を振り向いてのっそりと場を外した。

 東屋から最高峰までは桜台へ抜ける枝道を分けて10分程度。二等三角点が鎮座する山
頂には、いつも誰かしら居るのだが、今日は男女ペア1組。食事も終わったようでビール
の缶を潰して後片付けの最中。こちらは少し離れて、北の崖っぷちの木にザックを引っ掛
けて食事の用意である。

 湯が沸くまで展望を愉しむ。今日はなかなか視界が良い。近いのは西から大峰山、検見
山。ゴルフ場を挟んでは鳥脇山。青く霞むのは羽束山から古宝山、大船山、三蔵山、大野
山、高岳、深山、剣尾山、妙見山、高台寺山などだ。北摂霊園から五月山、箕面の連山と
続く、北摂のおおどころの山々が指呼である。と見ている間に湯がグラグラと。ガスが勿
体無いわ。

 気がつけばもう2時前。1時間半近くも長居をしていたことになる。立ち上がった途端
にカチャリと何かが落ちた。あらっ?デジカメだ。ああ!電池が...。1本コロコロと
崖下へ。デジカメ落ちなくて良かった。良かった。

 さて、帰途は奥の院経由で戻ることにして、天宮塚の分岐、夫婦岩分岐を過ごして小さ
な登りを行く。中央展望台の分岐を過ごすとケルンがあり、奥の院西園地分岐を今度は左
に歩く。白龍大神の標識を見かければ奥の院は近い。古い奥の院本堂の受付には若い坊さ
んが一人ポツネンと座っている。
奥の院参道脇にある神像の線刻
聖徳太子像だろうか?

 暫く憩って参道を下る。途中にある岩に刻まれた衣冠束帯姿の男性は、考証的にはあり
得ないが、付近の状況から見て聖徳太子なのだろうなあ。木漏れ日がサアーっとその線刻
の岩だけを照らして浮き上がらせる。ミンミンゼミが思い出したように鳴き出した。

 奥の院参道途中の夫婦岩公園で一服だ。コンビニで買った草餅がおやつ。ここまで来れ
ばもうよかろうと残ったお茶も飲み干す。このまま奥の院の参道を戻ってもいいが、ここ
は前回歩いた道標のあった谷に下って帰ってみようということで、夫婦岩公園から東へ向
い、すぐに左への分岐を過ごして直進。コシダに覆われた小道をズンズン下っていく。何
となく前回来た時のイメージが浮かばないというか思い出せない。それでも10分も下る
と道標が目に入る。が、何となく前回と異なる雰囲気がする。道標を眺めてみると、やは
り違う所に下りてきたらしい。中山駅までの距離が前回とは違っていた。今回は中山駅1.
3km、山頂展望所2km。前回より300mほど南側に出たようである。(前回は公園すぐ
の分岐を左に採ったらしい。)

足洗川の谷出合から中山寺へ向かう

 後は林道然とした道を南へ向かうのみ。往路に歩いた東尾根が足洗川の谷を隔てて、長
々と延びている。空気が入れ替わったのか、湿気をさほど感じない。

 やがて東屋が見えてきて、気がつくと小さな公園(これがシンボル広場らしい)。右の
民家沿いには見覚えある階段道。林の中へコンクリ道を降りていくと、卜部左近の碑の前。
「なーんだ。ここへ出てくるのか」って感じ。何のことはない。足洗川を渡った所が往路
の東尾根の取付きであった。これでグルリと一周してきた事になる。

 自販機目指して信徒会館にある観音茶屋。ふと見つけた『氷』の文字。吸い寄せられる
ように券売機、気がつけば手にしていた氷イチゴの食券。

 混んでいた本堂も流石に空いてきている。並んだ露店も店じまいの準備。終わってみれ
ば台風の影響もさほどなかった三連休。ふらりと歩くに手頃な中山でありました。


【タイムチャート】
10:00自宅発
10:35〜10:45中山駅前駐車場
10:50〜11:05中山寺
11:10中山東尾根取付き
11:22アンテナ施設
11:57足洗川源流の沢
12:05〜12:10展望地
12:12〜12:15天宮塚(440m)
12:20奥の院・中山最高峰コース出合
12:31〜13:45中山最高峰(478.2m 二等三角点)
14:00奥の院・中山最高峰コース出合
14:02夫婦岩、奥の院分岐
14:18〜14:25中山寺奥の院
14:38中山最高峰、奥の院分岐
14:45〜14:55夫婦岩公園
15:03道標のあるT字路
15:12中山東尾根取付き
15:15〜15:35中山寺
15:45中山駅前駐車場


天宮塚のデータ
【所在地】兵庫県宝塚市
【標高】440m
【備考】 中山最高峰の前衛的な位置にあり、なだらかな中山の山
並みにあっては、そのピラミダルな姿が目立ちます。古
代、神奈備山であったことは間違いないと思われます。
山頂に聖徳太子の聖跡があるのもそれを象徴しています。
山頂付近からは南の展望が良く、遥か淡路島まで望めま
す。
【参考】
2.5万図『広根』、『武田尾』



中山最高峰から北西方向を眺める


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