立春名ばかり高野三山
 
平成18年 2月 4日(土)
【天候】晴れ時々曇り
【同行】別掲
女人道は摩尼峠風景。数年前と変わりません


 今日は立春。「こいつは春から...」ってわけでもないけれど、大加茂さんちの二世
穂高ちゃんを囲む鍋オフがこの日に設定された。ついでに一宿一飯の恩義を受けようって
いう寸法(笑)で、参加者は大加茂ファミリー3人を合わせて11名。関東からは遠路つむ
ぎさんが参加。というわけで、鍋を囲む前に軽く高野三山を巡ってこようということで、
大加茂ファミリーを除く8名は勇躍、高野山に向かったのでした。ところが立春とは名ば
かりの寒さ。最高気温がなんと−4.4℃、最低気温に至っては−8.7℃で、北海道も
かくやと思える真冬日。手袋した指もジンジンと痛いくらい。それでも参加者全員、ぶつ
ぶつ言いながらも軽〜く、無事完歩したのでした。(笑)

 午前9時、新大阪駅。予定より1本早いのにもかかわらず、つむぎさんの乗った新幹線
は関が原付近の雪で遅れたらしい。9時15分、エスカレータを降りてくるつむぎさんの
姿が見えた。

 途中、南海美加の台駅で、のりかさん、幸さんと合流し、参加者全員集合だ。幸い道路
の凍結もなかったが、高野山はやはり遠く、着いたらもう正午である。流石にこんな寒い
日には観光客も来ないと見えて、中ノ橋の無料駐車場はガラガラである。案の定、車を降
りると、足元からジワジワと這い上がってくるような寒さである。夜、加茂ちゃん邸で調
べたら、豊中でさえ最高気温3.6℃、最低気温−2.7℃。標高800mの高野山なら
かくやと覚悟してきたはずだけれど、やっぱり寒いものは寒い。早く歩き始めようぜぃ!

奥の院近く。夥しい数の無縁仏や石仏の山

 墓地横の玉川沿いの舗装道を行く。奥の院近くの赤い前垂れを掛けた石仏の山の横を過
ぎ、奥の院の周囲を巡る車道に出る。摩尼山の取付きは50mほど歩いた所にある右に分
かれる林道だが、細い立ち木に小さな板切れがあるだけであまり目立たない。しばらく進
むと左から林道が合流してきて、さらに道なりに進めば、路肩が広まった辺りの立ち木に
摩尼山への道標が現れる。

 よく手入れされた杉木立の中。皆の賑やかな話し声と、霜柱を踏む足音のみが響く。徐
々に傾斜は増し、少しあえぎながら、左へ廻り込むように登れば摩尼峠である。三鈷を握
った弘法大師の石仏が納まった祠は以前のまま。昼食はここから少し登った摩尼山でする
ことにし、先を急ぐ。

 アイゼンの跡がある。朝に歩いた人が居たのだろうか。斜面にはツルシキミかミヤマシ
キミか、赤い実が目を引き、高野六木の内のツガかモミらしい針葉樹の大きな木が目立つ。
(高野六木:ヒノキ、コウヤマキ、スギ、アカマツ、ツガ、モミ) 次第に傾斜が増した、
木の根が浮く尾根道をしばらく。結構息が上がって、シャリバテの身には少しつらい。そ
れを我慢する内、山腹を巻いて右にカーブした先に、見覚えのある如意輪観音の祠の建つ
摩尼山の山頂が見えてくる。石柱には天保5年とあるから古い。

摩尼山から楊柳山の眺め

 早速、昼食の用意。風が少し出始めたので、祠の横に避ける。しかし、湯がなかなか沸
かない。陽が翳り、寒さが倍化したようだ。その内、粉雪が舞いだした。耳が千切れそう。
防寒用に着用したレインスーツのフードを慌てて取り出し被る。

 寒いし、出発時間が遅かったから、鍋の準備なども考えるとそうゆっくりもしていられ
ない。先を急ごうと30分程度の大休止で楊柳山へ向かう。杉の植林が育って見通しが悪
いが、それでも楊柳山の姿の良い三角形が望める。この辺りの尾根道は道の両脇のササが
必要以上に大きく刈られて、まるで遊歩道だ。ササユリまで刈られてしまったと、のりか
さんはおかんむりだ。

 黒河峠からはやや登りになる。楊柳山の手前で傾斜が増すが大した事はなく、植林帯か
ら雑木林に変わると、小広場になっている山頂は近い。高野山の最高峰。祠の裏に三等三
角点がある。葉を落とした木々の間が透けて、摩尼山が覗いている。一息入れる。

今度は楊柳山から摩尼山を見る

 楊柳山から西の尾根は、紀ノ川沿いが望めるポイントがある。しかし、今日は雪でも散
らついているのか、薄い灰色のベールの向こう。小刻みなアップダウンを過ごして、雪池
山への支尾根を過ぎると、女人道は鋭角に折れて子継峠へ向けて一気に降りて行く。

 子継峠(粉撞峠)でつむぎさん差し入れの崎陽軒の月餅。栗入りとかこし餡とか色々な
種類があるみたい。食べ終わってお茶を一口と思ったら、「ありゃー」凍ってシャーベッ
ト状態になっている。口中でジャリジャリ云わせながら飲むのである。ここに以前には気
付かなかった雪池山へのプレートがある。楊柳山に似た三角形の山だ。女人道が通る尾根
から出ている支尾根に沿って登るのかと思っていたが、取付きは峠からのようである。

 左に折れると小さな谷の源頭になり、左から小さな流れが現れる。これが有田川の源流
なのだそうだ。右からも流れが現れて、やがて細い流れは音を立てながら下るようになる。
以前歩いた時にはチダケサシのピンクの花が目立った湿地を抜けると、良く手入れされた
杉林である。その中に樹齢数百年にはなろうという自然木の老杉が2本。とりわけ奥に佇
立するのは大樹である。幹周り4mはあろうか。奔放に幹を延ばした姿で辺りを睥睨して
いるみたいだ。道端に「一本杉」と小さなプレートがあった。その素朴な名前がまたいい
感じである。
孤高を守る一本杉

 凍った木橋を恐る恐る渡ると、奥の院の周囲を巡る車道である。凡そ50m右へ、少し
凍結した車道を歩いて転軸山への最後の登り。手入れされた明るい杉林の中だが、結構き
ついものがある。息を切らしながら狭い山頂へ。ここには薬師如来の祠と五輪塔がある。

 皆が集合した所で奥の院へ下山。蓮の花弁の縁を巡る女人道からその花弁の中心とも云
うべき奥の院へ。その蓮の花の香りの如く、急坂を降りるに従って、馥郁とした香のかお
りがたゆたってくる。もう奥の院はすぐそこだ。しかし、道が凍結している部分があって
油断は禁物なのである。尻餅をついた人も居たようだ。

 湿った平地に巨杉が林立する間を抜け、玉川の流れを渡る。弘法大師廟の前では一心に
お経を唱える信者の姿がある。廟のシャクナゲは葉を巻き込んで寒さに耐え、ひたすら春
を待ちわびているようであった。

 表に廻って奥の院の中へ。夏は観光客や信者でごった返すところだけれど、今日は閑散
として、係りの坊さんが掃除機で床を掃除している。賽銭を上げて、家内安全、無病息災
を祈っておく。
これは寒いはずだ。水盤は氷の造形

参道沿いの弘法大師も寒かろうとは
信者の方の心遣い

 みなは先に行ったらしい。残った呉春さん、幸さんと奥の院前の参道を中ノ橋へ。とこ
ろが、戦国武将の巨大な五輪塔などを見物する内に、中ノ橋へ折れるところを、道なりに
行ってしまう。途中で気づいて慌てて車道へ出たけれど、えらく遠回りになってしまった。
おかげでとっくに駐車場に行き着いた皆さんに迷惑をかけることに。陳謝。陳謝。m(_ _)m

 大門の前の車道に大きな電光掲示板。只今の気温−5.8℃だと。寒いはずである。そ
れにしても、道路が凍結していなくて良かった。髪飾りのようなイイギリの赤い実が目立
つドライブウェイを下り、途中のスーパーに寄ってちゃんこ鍋の材料を揃えて大加茂邸へ。
そして待ってました!今日のメインイベント、ちゃんこ鍋の開始。酒とお鍋で鼓腹撃攘。
四方山話に花が次々と咲いたが、意外に皆さんは「よいこ」。日付が変わる頃には床につ
いていたのでした。一方で、時ならぬうるさい連中の乱入に、子がもちゃんは目を丸くし
ていたが、すやすや眠れたであろうか。(^^; 皆それぞれの夢を乗せて夜は更け行くので
した。Zzzzz....。

 皆さん、ありがとうございました。とりわけ、場所を提供下さった大加茂さんには感謝
です。立春とは名ばかりの高野三山巡り。でも後一ヶ月もすれば花の便りもあちこちから
聞かれることであろう。それまでもう少しの我慢です。

待ってました!ちゃんこ鍋
もう、ゆでダコの様な人も(笑)


■同行 呉春さん、幸さん、つむぎさん、なかいさん、のりかさん、水谷さん、
    もぐさん(五十音順)

【タイムチャート】
9:00新大阪駅(集合地)
12:00〜12:10高野山中の橋駐車場
12:27摩尼山登山口
12:35摩尼峠
12:50〜13:25摩尼山(1004m)
13:44〜13:45黒河峠
13:58〜14:02楊柳山(1008.5m 三等三角点)(昼食)
14:24〜14:32子継(粉撞)峠
14:55〜15:03一本杉
15:12〜15:17転軸山(915m)
15:32奥の院
16:10中ノ橋、一ノ橋中間点の車道


高野三山のデータ
  高野三山女人道を参照ください
【参考】
南海 ハイキングMAP『高野三山』



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