秋の岩湧山、花を求めてのんびりオフ
 
ススキたなびく岩湧山より東方向を眺める。右端遠くには高見山から大峰山脈も

平成18年 9月24日(日)
【天候】晴れ時々曇り
【同行】別掲
 ススキが風にそよぐ岩湧山(山頂西の平野より)


 ここ最近はのんびり歩き。これが本来の小生の性に合っているのだろう。今日も岩湧山
を花を愛でながらのオフ。岩湧寺から岩湧山に上がって千石谷経由で滝谷へ。千石谷は初
めて。林道歩きながら花が多いところ。

 9時、南海高野線美加の台駅集合。9:12 難波発の急行が便利ということで参加メン
バーはみんなこの電車だった。電車はさながらハイカー貸切電車。いつもは車を利用する
ものだから、初老のグループから家族連れ、単独者までこんなに沢山、乗るもんだとは知
らなんだ。(笑) そのハイカー群も、金剛山がお目当てらしく、ほとんどが河内長野で降
りた。残った人たちは紀見峠からダイトレでも歩くのか、美加の台で降りたハイカーは我
々だけである。

 水谷さん、もぐさんは体調不良ということでキャンセル。参加者は結局6名。タクシー
に分乗し、出発点の岩湧寺に移動である。まずはここで呉春さんのオハギで腹ごしらえ。
昨日も山歩きなのにお彼岸ということで作ったそうな。程よい甘さ加減、美味い。出掛け
のトースト1枚の腹に収めて準備完了。一番上の駐車場から、右に長命水の流れを過ごし
て谷沿いの道を岩湧寺に向かう。ホトトギスがあちこちで咲いている。今までヤマジノホ
トトギスとばかり思っていた花の中に、セトウチホトトギスという変種があることを教え
てもらう。だいたい、ホトトギスは花弁の反り具合で判別するのが簡単なのだが、これは
変種だけあって、反り具合は一緒。但し花筒の中心部が黄色いのだそうだ。「???」、「
フムフム」。言われてみれば...。

 前回選択した「ぎょうじゃの道」を左に分けて、向かいの行者滝を見て右に上がってい
くと四季彩館。パネルに貼られた写真から、まずは今咲いている花を確かめる。寺の境内
はちょうどシュウカイドウの旬。茶花でもあるそうな。それを分けながら谷沿いに岩壁ま
で行くと、イワタバコに混じって、住職さんが移植したというキイジョウロウホトトギス
がある。岩壁から1m近い茎を垂らしているが、残念ながら蕾がまだ固い。開花までには
二週間くらいはかかるのではあるまいか。こればっかりは時の運だ。

キイジョウロウホトトギス
開花にはまだ10日以上かかりそうでした

 戻って取付け林道を少し登ると左に現れる「いわわきの道」。右に枝分かれするのは岩
湧山への最短経路の兼松新道だが、我々は「いわわきの道」でダイトレとの合流点「五つ
辻」を目指す。通せんぼの縄が張られているのは路肩が崩れた部分があるから。注意すれ
ばとくに危険ではないそうだ。
『いわわきの道』には通行止のテープ
右の階段は兼松新道

 チヂミザサという名の通り、葉が縮んだイネ科の植物を見ていたら、先を進んでいると
お目当てのアケボノシュスランが咲いているとの声。見ればほんの10cm足らずの草丈に
ほんのり薄紅色のつぼ型の花を数個つけている。なかなかかわいいもんだ。

 路肩の崩れた所もやはりそれほどでもなく、北側に河内平野が眺められるようになると、
木製の展望デッキ。前回歩いた「ぎょうじゃの道」とはここで合流する。小休止。水場が
あって、少し甘い感じがする冷水を口に含む。

 杉林の山腹を巻きながら高度を上げる。草に埋もれた石垣が見え隠れする小さな台地が
ある。幸さんによればかつて高野豆腐を作っていた小屋があったそうな。その杉林も尽き
るとダイトレとの合流点の五つ辻は近い。前回はここから根古峰の三角点を踏みに行った
のだった。今回はここを右に折れて岩湧山へ。まもなくダイトレと分かれて山腹を巻く道
はツルリンドウの道だとか。忠実にダイトレの尾根道を辿るという岩湧山初見参のまきた
さんと分かれてその道へ。確かにツルリンドウが多く、あちこちに蔓を伸ばして花を付け
ている。

 ちょっと踏み跡が薄くなったところで急降下し、下に見える林道へ降りる。この辺りか
ら早くも岩湧山名物のカヤトが多い。黒ずんだオオナンバンギセルの花殻や茎もある。

 林道は三角点峰の手前でダイトレと合流する。そのゲートを出た所でツルニンジンが咲
いている。ジイソブとも呼ぶ面白い花。蕾は黄緑の小型のピンポン玉である。

 ダイトレを歩いて既に待っていたまきたさんと合流して、穂を出したカヤトの繁る階段
道を行く。萩の赤紫の花やシラヤマギクらしい白い花。草いきれの暑い空気と涼風が交互
に吹き抜ける。振り返れば、金剛から葛城の山並みが綺麗だ。遠くに霞む鋭峰は高見山の
ようで、弥山をはじめとする大峰の山嶺も眺められる。

 少し汗をかいて着いた山頂は天気も良いので大勢の人で満杯。岩湧寺からの道ではあま
り出会わなかったから、滝畑や紀見峠方面から登ってきた人が多いのであろう。我々は三
角点峰を越えて、方位盤のある西峰に向かいそこで食事とした。

京丹波で採れた天然マイタケ汁を賞味

 メインディッシュは幸さん親子、心尽くしのキノコ汁。具は昨日、京丹波の某所で収穫
したという天然マイタケだ。見つければその嬉しさに舞を舞うほどというマイタケ。天然
物は流石に腰が強く、シャキシャキッっとした歯応えと共に旨みが口中に拡がる。カップ
麺にも残りを入れてもらってキノコヌードル。横にはなんと、岩湧寺の飼い犬がちゃっか
り顔を出していた。
ススキに包まれて

 滝谷コースを採って山頂を西へ下る。道の両側からススキが覆いかぶさる。コオニユリ
にワレモコウ。もう秋を迎えるというのに、秋の虫に混じってまだキリギリスが鳴いてい
る。作業用の索道付近からは槙尾山の西国札所が見える。

 下った鞍部の辺りが平野と呼ばれる所。ここで滝谷コースと分かれて杉林を南へ向かう。
大きな実をつけるウバユリやテンナンショウが散見される中、小さな涸れ沢沿いに下って
いく。かなりの急斜面だが、山仕事の作業道はジグザグにつけられ傾斜を緩めている。そ
れでもザレた部分もあって気は抜けない。幾度か沢を渡って沢音が徐々にしっかりした音
となる頃、高さ2m程度の小さな滝が現れ、この辺りが一番慎重になるところ。そこを抜
ければ下に林道が目に入る。はえこんだ草を掻き分けてダートの林道に降り立つ。道標も
何もない。目印は赤いテープが三つ、痩せた雑木に巻かれてあるのみ。こちらから登るに
は、余程注意していないと見落とすだろう。

判り難い千石谷林道との出合(黄矢印がコース)
細い雑木にテープあり(白矢印)

 千石谷の林道は所々がダートやコンクリ舗装のまだらな林道だが、概して状態は良い。
杉林に相互林業の看板があるのは、元々、相互タクシーが燃料不足で木炭車を走らせるの
に使用する為、山を購入したからだという。やがて木炭車も消え、杉を植えたのだろうか?

 歩いている内に林道の畔の草むらにPPテープが巻かれている所があるのに気づく。こ
れは草刈の際に刈らないでという印なんだとか。ツリフネソウの群落にもそれが巻かれて
いる。その中にまじってアケボノソウも星型の花を精一杯負けじと開く。この辺りにタカ
ネハンショウヅルがあるはずというガイドの幸さん。行き過ぎたところで、後方で手を振
るなかいさん。執念で探し当てたようだ。一寸見には他にまぎれて気がつかない。春に咲
くハンショウヅルにそっくり産毛の生えた薄紫の2cm程の花は、時が経つとクルッと反り
返ってイナバウア。花って本当に色々な姿形があるものだとつくづく思い知らされる。

 河内長野市の簡易水道施設を過ぎると、一段と水音が高まってくる。大滝(うなぎ滝)
の落ち口に出られるようになっていて、垂直に一直線に落ちる滝を上から眺められる。高
さは15m位か。下流には新興宗教のものらしい修行用の建物。この滝に打たれて修行す
る人もいるそうだが、一直線に落ち、水量も相当なものだから、まともには滝の下に入れ
なさそうだ。(笑)

 南葛城山の登山口でもある関電巡視路を見る頃、林道は北に曲る。光滝寺のキャンプ場
を左の眼下に見れば、新関屋橋はまもなくである。

 バスの時間まで1時間弱。登山口の売店で思い思いにおやつ。小生はみぞれ氷。(^^; 
車道を避け、新関屋橋を渡って滝畑の集落の中を歩く。彼岸花に黄色く色づいた柿。おお
っ!懷かしや、ナツメの木。うす茶に熟したのを1個。カスカスして美味しい物ではない
が、こんなものでも小さい自分は、もいで食べてたんだなあ。あの頃はみーんな貧しかっ
た。柿にビワ、イチジク。みーんなその辺りのを...。(笑)

 新さむらい橋という吊り橋を渡ると、そこがバスの回転場。もう団体さんがずらりと座
り込んでいる。座れるかな?河内長野の駅まで30分以上。吊革で揺られるのは辛い、の
思いは杞憂に終わり、何とか全員、座ることができました。

 さーて、次は鶴橋で9月の『反省会』という名の飲み会。駅からやや離れた『M』は韓
国家庭料理の店。コテコテの焼肉の店ではなく、至ってモダンな作りだ。イケメンのお兄
さんにテーブルに案内され、チジミや韓国風すき焼の「プルコギチョンゴル」に舌鼓を打
ち、マッカリを甕で頼んで盛り上がったのでありました。

 ジョウロウホトトギスの黄色い花には振られたけれど、目当ての花も何とかデジカメに
押さえられた今日ののんびりオフ。皆さん有難うございました。とりわけ、セットいただ
いた幸さん親子に感謝です。

■同行 呉春さん、幸さん、知さん、なかいさん、まきたさん(五十音順)


【タイムチャート】
8:45南海美加の台駅(集合地)
9:10〜9:15岩湧の森駐車場
9:37〜9:47四季彩館
10:02いわわきの道
10:35〜10:42展望デッキ
11:12〜11:13五つ辻
11:57岩湧山三角点(897.2m 三等三角点)
12:05〜12:45岩湧山西峰(昼食)
13:36千石谷林道
13:50〜13:53大滝
15:15新関屋橋


岩湧山のデータ
新緑輝く岩湧山』を参照下さい
【参考】
金剛葛城自然歩道ダイヤモンドトレール地図




岩湧山で見られた花々
セトウチホトトギス(ユリ科ホトトギス属)アケボノシュスラン(ラン科シュスラン属)
ツルニンジン(キキョウ科ツルニンジン属)ゲンノショウコ(フウロソウ科フウロソウ属)
カラスノゴマ(シナノキ科カラスノゴマ属)ツリフネソウ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属)
タカネハンショウヅル
 (キンポウゲ科センニンソウ属)

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