懸案解消、生駒山
 
平成18年 3月26日(日)
【天候】曇り一時晴れ
【同行】別掲
生駒山の一等三角点
なんと汽車ポッポの軌道の内側だ


 その人気の故に、敬遠していた生駒山。ただ、大阪でも数少ない一等三角点の山だけに
いずれは訪れねばならない山だったのだが、今回、のりかさんの音頭で、山行551回と
いう偉業を達成したもぐさんを称えるミニオフが開催されるのを機に足を運んでみた。と
ころが、歩いてみれば雑木も多く、結構面白く何でもありの山なのでした。

 近鉄難波駅の地下ホームに見覚えある後姿。のりかさんである。一電車早く乗るとは聞
いていたけれど、偶然の出会い。四方山話で25分。枚岡駅に着くと、同じ電車の別車両
だったらしく、呉春さんの顔が見える。ところが肝腎のもぐさんが遅れるという。小腹が
空いたと言うわけで、呉春さんから草餅のご提供。これが美味い。プーンと鼻をくすぐる
ヨモギの香りは春の匂いでありました。

 20分程遅れてもぐさん到着。全員揃った所で改札口から北に向かい、間が良く酒屋が
あったので缶ビールを買う。狭い踏切を渡ると枚岡神社で、大きな鳥居の前に大加茂ファ
ミリーの車が止まっている。赤ん坊の顔はしばらく見ないと大きく変わるものだ。二世の
Hちゃんも1ヶ月見ない内にはっきりした目鼻立ちになっている。

出発前の談笑風景(のりかさん提供)

 さて、大加茂ファミリーとはぬかた園地で再会を約して、我々は鳥居をくぐってすぐに
左側の道に入り、摂河泉コースを進もうとまずは新豊浦橋を目指し、ゆるゆると登って行
くことにした。枚岡神社はなかなか立派な神社で、藤原氏の氏神を祀る官幣大社。奈良の
春日大社はここの分社といわれることから、元春日とも呼ばれる。三条実美の筆になる大
きな石の標柱が傍らに立つ。神社から枚岡公園の辺りは市民の山という感じで、ジョギン
グやウォーキング、犬の散歩をしているジモティーが多い。それだけに遭難?する心配は
皆無だけれど、一般の公園と同じで道が色々錯綜していて、かえって不案内な者が予定し
たコースを歩くのはなかなか難しい。お孫さんを連れた小父さんに尋ねたりしながら、椋
ヶ根橋に到着。流れは豊浦川とでも呼ぶのだろうか、割に澄んだ流れである。新豊浦橋は
この上流に架かる橋だというので、川沿いに右岸に移ったり左岸に渡ったりしつつ進む。
やや暗い渓谷となると、左手に朱塗りのお堂が鮮やかな日蓮宗の寺(法照寺)が見えてく
る。右岸に渡ってしばらくで頭上に赤い橋。聞けばこれが新豊浦橋らしい。

 ところがここまではOKだったのだが、この先でちょっとしたミスが...。(^^; 間
違いその@。橋を渡らないでも良いのに渡ってしまったこと。間違いそのA。渡って右に
もかかわらず、左へ進んだこと。それもこれも横着をしてコンパスを出さなかったのが、
そもそもの大きな過ち。舐めてはいけません。(^^;

新豊浦橋。手前側へ行くべきなのに、向こう側
それも左を選択してしまうのが間違いの元

谷の源頭から尾根への登り

 その所為で左に折れて砂防堤を左に見た後で、いきなり道が細くなってしまった。あれ?
しかし、低山徘徊派のメンバは、こういうハプニングを楽しむメンバ。踏み跡があるので
道なりに進むと干上がった底の丸く浅い谷となる。それが雑木に囲まれたなかなかいい雰
囲気。登るに従って傾斜がきつくなって滑るのが難点であるが、標高差50m位を一気に
上がると、尾根が見えてきてちらちらと人の影と声が聞こえ始める。変な所から人が現れ
たもんだと、歩いているハイカーは少しびっくりしている風だが、さてと、ここはどの辺
りなのだろう? で、ふと頭を巡らすと『枚岡神社 神津嶽』、『創祀の地』の石標が目
に入る。あれれ、摂河泉コースとは反対の方角ではないの?(笑) 近鉄のハイキングマッ
プをプリントして持参したけれど、やっぱり我々にとっては地形図が一番見易い。

 しかし、怪我の功名、小生にとってはかえってこの方が良かったかも。おかげでヤマケ
イの「大阪府の山」に記載されている神津嶽に行けたのだから。神津嶽はこんもり丸い小
山で、山頂へは勧請掛けの下を20mほども登った先。社の前では若者3名が祝詞か何か
を一心に唱えている。
元春日発祥の地、神津嶽

 暑い。水分を補給し少し涼をとった後、反対側に下るとそこはなるかわ園地で、管理棟
があり、その建物下のベンチで多くのハイカーが休憩しているのだった。われわれも小憩。
ついでにここで進路修正。12時半迄にぬかた園地に着く為には、舗装路だけど行程が捗
る『らくらく登山道』を行くべしということになる。

 神津嶽コースを右に見送って、どんどん車道を行く。車道といっても車が通らないのが
良い。許可車しか通れないらしく、ゲートが閉まっているが、ハイカーはちゃんと横から
通れるようにしてある。向かいに見える山頂のTV塔群が徐々に近づいてくる。大きくカ
ーブすると左手に見える大阪方面は春霞。周囲の山肌の雑木はまだまだ灰色が主体だけれ
ど、足元にはオオイヌノフグリの花が青く、ウグイスが笹鳴きして、本格的春も間近とい
う雰囲気である。

 髪切山慈光寺の案内板を過ぎて、しばらく。文字通り、忽然という言葉そのものの風で、
西側が開けた辺りに民家と畑が現れる。右に登って行けば役行者が後の前鬼、後鬼となる
鬼を懲らしめる為、髪を切ったという伝説がある慈光寺らしい。四辻にお地蔵さんを安置
した祠。覗くと光背に弘化四年の銘がある柔和な石仏が錫杖を手に立っている。天保の改
革の水野忠邦が失脚して2年後の造立ということになるから、ざっと160年前の像だ。

 左に折れて、およそ50m下るとぬかた園地の入口がある。照葉樹の林は薄暗いが、す
ぐに抜ける。トンネルがあって、上を通るのが摂河泉コースのようである。流石にこの付
近はハイカーが目立つ。我々はこれには合流せず直進。ほとんど水平の道をTV大阪のテ
レビ塔を横目にスピードを上げる。『小鳥の森』の表示があり、やがて左手眼下に園地の
遊歩道が見え始めた。もうそろそろ管理事務所が現れてもいい頃だ。ちょうど折りよくジ
ョギング中のご夫婦が通りかかる。尋ねるとすぐ目と鼻の先だという。これに気をよくし
て進めばほんとに目と鼻の先、樹木の陰で見えなかっただけなのだった。トイレの横のベ
ンチにザックを下ろし、一休みしていると、下の野草園に大加茂ファミリーの顔が見える
ではないか。もうすでに30分も前に到着していて、で休憩していたそうである。

 合流して、さぁて、待ってました。昼食は宴会モード。もぐさんの551回目の山行を
記念して、蓬莱の豚饅をみんなで食し、祝う。その後は呉春さん持参の呉春に小生の秋鹿。
もぐさんの西表の泡盛。更にビール。あては呉春さんの春の山菜づくし。詳しくはのりか
さんのブログを参照していただきたい。さらにのりかさん持参の塩タン。ヒュウガミズキ
の花の横でワイワイガヤガヤ。二世君が昼寝の時間なので一足先に大加茂ファミリーが引
き上げた後も話は尽きず、気がつけば2時間半があっという間に過ぎていたのである。

呉春さん提供の豪華山菜料理

 折角来たのに生駒山の名物三角点を極めねば。そろそろ腰をあげないと。下山は手抜き
でケーブルでといっても駅は山頂の向こう側だ。いやでも100m近い高度差を克服しな
ければならない。ところが、足元が覚束ない。大丈夫でありましょうや。まあなんとかか
んとかクリアして、全員、山上遊園地の駐車場横のドライブウェイに出てくる。

 遊園地は入場料が無料。コンクリ階段をゆっくり登って、ジェットコースター横に来る。
少々さびれた食堂街を抜けると、どこからか真言を唱えるスピーカの音。赤い幟が林立す
るお寺があった。遊園地と真言。俗と非俗が隣り合わせで考えてみればこれはすごい取り
合わせである。生駒山上。不思議な世界である。

 ところで三角点。以前、家族で夏の夜に来た時に知ったのだけれど、おもちゃの汽車の
軌道の内側にあったはず。ビックリハウス近くの四つ辻から少し戻ると、あった。あった。
外の柵から記念の写真でも撮ろうとしていると、親切にも従業員のおばさん、入っても良
いという。こうしてみると、ちょくちょく三角点を目当てに来るハイカーがいるらしい。
小生たちもそれに甘えて中に入れてもらい、汽車をバックに写真を撮る。これで小生にと
っては大阪府内の一等三角点を網羅したことになる。といっても6箇所だけだが。因みに
その6箇所とは、石堂ヶ岡、蘇鉄山、金剛山、和泉葛城山、俎石山とこの生駒山。生駒山
は厳密には奈良県だけれど、府県境だし許して頂こう。おばさんにお礼を云って、ついで
にケーブルの駅を尋ねると、天文科学館の横でありました。

 タイミングよくまもなく出発するらしい。切符を買ってホームへ出ると、やや?これは
すごい。ピンク色が主体の電飾ぴかぴかのケーブルカーである。そこへ山姿の面々。なん
か場違いな気もするが、「まっ、いっかぁ」

 霞ヶ丘、梅屋敷と途中駅を過ぎると(途中の駅って、誰が乗るのかな?)トンネルに入
った。抜けるのかと思ったら行き止まりになっている。そこが宝山寺の駅。
「ん?」
途中で乗り換えねばならなかったかなぁ。何せ以前に乗ったのは40年以上も前の子供時
代だったものなぁ。記憶が定かでない。というわけでケーブルカーを乗り換え、ようやく
近鉄生駒の駅に戻れたのであるが、なんと、このケーブルカー、踏切まであるのだ。そう
して、50m手前位まで来ないと遮断機は下りない。しかも複々線。軌道内通行禁止とあ
るが、道代わりに通る人までいてのどかなものでありました。

電飾に彩られたケーブル。花電車です

 生駒駅は宝山寺の門前の観光の駅だったような記憶があるが、今はもう大阪のベッドタ
ウン。何の変哲もない金太郎飴みたいな駅前風景。あーあ、下界へ降りてきたのだなぁ。

 何かこういうイベントでもないと、向かう事のなかった生駒山。懸案も解消できて結構、
満足の一日でした。皆さん有難うございました。しかし、なんでもありの生駒山でありま
したなあ。


■同行 呉春さん、のりかさん、もぐさん、[大加茂さん一家]

【タイムチャート】
8:40自宅発
9:55〜10:35近鉄枚岡駅〜枚岡神社鳥居前
10:48椋ヶ根橋
10:58新豊浦橋
11:14〜11:16神津嶽コース合流
11:18〜11:22神津嶽(315m)
11:24〜11:30鳴川園地あずまや
11:58慈光寺門前道
12:29〜15:00額田園地『野草園』(宴会)
15:47山上遊園地駐車場前
16:05〜16:10生駒山(642m 一等三角点)
16:15ケーブル山上駅


生駒山のデータ
【所在地】奈良県生駒市
【標高】642.3m(一等三角点)
【備考】 奈良盆地と大阪平野を区切る山脈の主峰で大阪のシンボ
ルと云っても過言でないほど愛されている山です。古く
から開かれた山で、千光寺、慈光寺などの古刹、枚岡神
社、石切神社などの古社も多く、山上には遊園地があり、
又、立地の良さからテレビ塔も林立しています。登路も
大阪側から、奈良側からと多くあり、バリエーションが
豊富です。最寄り駅は近鉄枚岡駅、額田駅、石切駅、生
駒駅、元山上駅といずれからも可能です。
■近畿百名山■関西百名山
【参考】
2.5万図『生駒山』



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