薫風爽やか矢田丘陵のんびりオフ

平成17年 5月29日(日)
【天候】晴れ
【同行】別掲
緑の中に鮮やかな霊山寺の三重塔(重文)


 のんびり里山を歩くのもなかなかいいものだ。去年の新春に歩いた矢田丘陵。今回はご
近所に住むたらちゃんの音頭で、緑濃くなった矢田山を歩いた後、梅狩りとバラ園へ。風
薫る大和の里山を楽しんできました。

 道も混んでおらず、霊山寺の門前の駐車場へは9時半前に着く。集合時間は10時なの
で、車を出てうろうろと。綺麗に整備された門前。ハナミズキ、ツツジが盛りだ。珍しく
朱塗りの鳥居の建つ出入口から石畳の道の両側は濃淡の緑と花々。受付右手のバラの苗売
り場があって、鉢植えの色とりどりのバラの花。霊山寺はバラで有名なのだそうだ。もう、
出入口寺から出てくる人がいると思ったら、バラ園はなんと7時から開いているのだった。

 石に腰掛けて待っていたら、10時前、たらちゃんがやってきた。同乗の然ちゃんとは
初対面だ。霊山寺は今日のゴール地点だそうだ。そこで小生の車はここに置いて、早速、
出発地点の松尾寺へ出発。
まずは松尾寺にお参り

 松尾寺は厄除け観音で有名な真言宗の古刹。無人の受付には無料のパンフレット。境内
散策も無料という良心的なお寺。まずは鎮守の松尾山神社へ。西国三十三ヶ所のミニ石仏
が置かれた斜面を登る。奥まった所にある社は牛頭天王(スサノオノミコト)を祀るとい
うから八坂神社と同流。大和盆地が東に広がるはずが、茂った枝葉に遮られて思うに任せ
ない。下って、バラを眺めに行くことにする。約百坪位の敷地だろうか。庫裏の庭先に5
00株程植えられているそうで、これも無料公開である。

駐車場の横から縦走道に

 ハイキング道は松尾寺の駐車場の先にある。鬱蒼とした感じの上り坂だが、すぐに白石
畑の分岐を分けて、松尾山の三角点への踏み跡分岐に出る。ここは前回オフで登ったので
今回は省略。

 東南に開けた国見台展望台。意外に麓からの高度感があるのに驚く。国中(くんなか)
と呼ばれる大和盆地を挟んで、目の前には若草山から三輪山に至る大和青垣が青白く霞ん
でいる。晴れていれば台高の山並みまで拝めるのだとか。

 尾根道と矢田寺への麓道の分岐は麓道(近畿自然歩道)を採る。昨年のオフはこの道を
上がってきたのだった。ツルアリドオシの白い花や細い茎の先のニガナの花が多い階段道
を下れば、沢水の流れる木橋に出る。ウツギの花が満開で、他にはテイカカズラ、スイカ
ズラが見られる。対岸のヤブではウグイスの笹鳴きの大きな声だ。

 杉林沿いの山道の横は小さな用水池。ふと見ると赤い実があちこちに。クサイチゴらし
い。食べてみると種が気になるが、結構甘い。持って帰ろうとレジ袋に採集していたら、
草叢に太いワラビ。探してみれば、今宵の酒の肴くらいも採れた。しめしめ。(笑)

 そんなこんなで歩くスピードは鈍る。「子どもの森」で昼食にしようという当初のプラ
ンだったがちょっと無理かなぁ。孟宗竹の竹やぶを抜けて、ようやく矢田寺の境内に入っ
て、味噌舐め地蔵の前に出る。今日も唇は味噌で茶色。モノトーンの姿がそこだけ色彩を
持って、なんだか艶かしい感じがした。

 参道に沿って歩いて、赤いブラシの木を眺めながら四つ角を左に折れる。その角に石標
があって、「郡山停車場○丁、富雄停留所○丁」とある。おそらく明治か大正時代に立て
られたものだろう。停車場は旧国鉄の郡山駅のことであろうが、停留所とは是れ如何に。
小生は近鉄の富雄駅と思うのだがどうであろう。

矢田寺境内の道しるべ

 やっぱり「子どもの森」までは持たないなぁというわけで、途中、道沿いの南側が開け
て明るい柿畑の端で昼食とする。緑に囲まれて、頬張るおにぎりは美味い。時折りコジュ
ケイが「チョットコイ、チョットコイ」と甲高い声で誘う。たらちゃんからの差し入れの
ビールでほろ酔い加減。さっき富雄駅に着いたという水谷さんの電話があったので、「急
がなくては...」と思う一行であるが、足ははかどらない。「まぁ、えっかぁ」思う尻
から見透かす如く「子どもの森に着いたよ」という電話。(^^;

草深い東明寺本堂

 里のはずれに一旦、出て、左に折れて再び林の中に入る。見覚えのある東明寺の向かっ
て右手から、登り基調の道。これまた見覚えのある例の変な指差し印のある石標の横を過
ぎればやがて「子どもの森」。電話が鳴ったと思ったら、後ろからやってきたのは水谷さ
んである。多くの家族連れで賑わう芝生広場で小休止。

 道標に従い追分梅林へ向かう。「梅まつり」と染め抜かれた幟がある。確かに左には梅
林があるが、右側は重機が入って赤土の荒野。たらちゃんらによれば、そこも去年までは
梅林だったのが掘り起こされて、今の状態にに変貌しているのだという。道端に停められ
た数台の軽四の周りにジモティらしい初老の小父さん連中。なんだか後片付けに忙しい。
ちょっと当てが外れたたらちゃん。
「あれぇ。梅狩りはもうおしまいですか?」
「向こうでまだやってるから、そっちへ行ったらええ」

 低い丘陵が波打つこの辺りは、木々が茂って結構山深い感じがする。昔なら追剥が出そ
うな雰囲気。その中にある追分の集落。「追分」は街道の分岐する所という意味。説明版
には難波から暗峠を越えた奈良街道と大和郡山への道が分岐する箇所で、その本陣が村井
家住宅だという。因みにその前を東西に走るのは、最も狭い部分が幅2m程度しかないと
いう日本最狭の国道として、マニアにはつとに有名な?R308である。

追分宿の本陣今井家住宅

 そこからしばらく歩いた右手の作業小屋が梅狩りの受付であった。袋を貰って目の前の
斜面に広がる梅林に散る。家族で楽しんでいる人が多い。少し遅かったのか、目ぼしい所
の実はほとんど取られていて死角になった部分とか、高いところにあるものを狙うしかな
い。それでも小一時間で2kgから3kgの青梅を収穫。斜面を上がったり下がったり、なか
なかの重労働であった。収穫した梅は梅酒にするといいらしい。小生は1kgだけ頂く。3
00円也。

 梅の入ったズッシリと重い袋を片手に、第二阪奈道路に跨る橋を渡って、ゴールの霊山
寺へ向かう。まもなく富雄川の畔に出て、左すれば霊山寺の朱塗りの橋である。

 折角なので霊山寺を散策。ここは昔、一度参拝したことがある。そのときに較べ格段に
整備されている。矢田寺ではアジサイがまだまだであったが、ここではさつき、シャクナ
ゲ、バラが丁度見頃。本堂、三重塔などを見て廻って、最後にバラ園へ寄ってエピローグ
でした。 

 この後、松尾寺へ車回収の後、たらちゃん宅へお邪魔して一服して帰途に着く。梅狩り、
バラ観賞と盛り沢山の矢田丘陵のんびりオフ。たらちゃん、セットアップご苦労様でした。

霊山寺参道。弁財天の大きな鳥居がある

霊山寺のバラ園は丁度見頃


■同行 たらちゃん、然ちゃん、水谷さん

【タイムチャート】
8:20自宅発
9:25〜9:50霊山寺駐車場
10:23〜10:55松尾寺
10:55ハイキング道入口
11:14〜11:19国見台展望台
11:22矢田の道分岐
12:20矢田寺
12:30〜13:10昼食
13:25東明寺
13:40〜13:50子供の森
14:15〜15:25追分梅林(梅狩り)
15:40霊山寺


矢田丘陵のデータ
【所在地】奈良県大和郡山市
【標高】100m〜300m
【備考】 生駒山地の東、法隆寺のある斑鳩の里から霊山寺に至る
南北に長い丘陵です。矢田寺、松尾寺、東明寺など古刹
が並び、それらを結ぶ巡礼道が、今は格好のハイキング
道になっています。
【参考】矢田山遊びの森ハイキングマップ


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