弘川寺から鴨鍋の待つ大和葛城山へ
 
平成17年 2月 5日(土)
【天候】晴れ
【同行】単独
新庄町のローソン付近から大和葛城山

 4年前だったか、大和葛城山で開催された低徘の忘年オフ。ロープウェイの登山口駅に
集合し、ジョウモン谷のコースで山頂へ。葛城高原ロッジで一泊、名物の鴨鍋を囲むとい
う趣向であった。美味い鴨肉にこれでもかというほど舌鼓を打ったことであったが、今度
もペンギンさんはじめ梅原さん、フェアさん、のりかさん等のお骨折りで、鴨鍋オフが企
画された。またあの味を堪能できると聞くだけで、食いしん坊の小生は、涎が出てきて仕
様がなかったのであるが、期待通り、先日来の雪が残る山頂で、大盛り上がりのオフであ
りました。

 今回は6時までにロッジに集合ということだけが決まっている自由登山。とはいえ、ペ
ンギンさん先導のジョウモン谷のコースで大半の人は登るらしい。その他には金剛山に登
ってから車でこちらに廻るグループもある。へそ曲がりの小生は前述のジョウモン谷、青
崩、水越峠、新庄町の山麓公園から登ったことがあるので、今日は未踏の弘川寺から登る
ことにしてみた。林道歩きが多く面白みは無いといわれるけれど、さてどんなものであろ
うか?

 取付きと下山地が異なるので今日は電車。まずは近鉄富田林駅に降り立つ。結構、大き
な市なのに、駅前は昭和30年代みたいな鄙びた感じ。そのまん前に『楠氏遺蹟里程標』
なる明治34年建立の堂々たる石碑があるのに驚いた。日露戦争の時代だから戦意高揚、
皇国史観のはしりなのだろう。そんなことに時間を潰して凡そ20分。さくら台行の金剛
バス。河内小学校前で降りる。河内行に乗ればいいのだが如何せん本数が無い。小学校の
外周を廻って車道をテクテク、弘川寺に向かう。

 弘川の集落はさくら台の新興住宅地とは対照的に、落ち着きのある古くからの集落とい
う感じがする。弘川城址への道を右にして、左へ折れるとやや開けた場所に弘川寺の山門
がある。以前、一度訪れたことがあるように思うのだけれど、どうも記憶がはっきりしな
い。境内に入ると、殊の外こじんまりした本堂の右手に高みへ誘う小径がある。石の階段
をとんとんと上がると茅葺の西行堂。二間四方程度の清楚な建物である。借景が昔は山で
あったところが、今は新興住宅地のとりどりの甍となっては風情がそがれるのは致し方な
い。賽銭だろうか萱には多くの一円玉が載せられている。

弘川寺西行堂

 西行堂を後に、尾根筋に付けられた小径を更に辿れば桜の植えられた広場で、西行の墓
といわれる小さな円墳と苔むした石碑が広場の端に佇む。
「願はくば花の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ」
西行の墓の対面には、西行に憧れ、ついにはその墓守となった似雲法師の墓もある。
「西行に姿ばかりは似たれども心は雪と墨染めの袖」

西行の墓所といわれる円墳

 さて、何処から登り始めようか。少し思案しながら山門前まで戻る。さっきの弘川城へ
の道から行こうかと思い定めたが、山門前から左へ延びるコンクリ道を降りてくるおじい
さんが目に入る。
「こっち登っていけば葛城山方面ですか?」
「ああ、そうや。ワシは行ったことは無いけどなぁ。ここからは見えんが、あの山の向こ
うに出たら葛城山見えるよ。」
それじゃ、これを登るか。

 道の右側は谷になっていて、砂防堰堤があり、やがて谷川が右を流れるようになる。前
方から聞こえるチェーンソーの音は森林組合の人が枯れ木を伐採している音。

 さっきのおじいさんが言っていたように物置小屋と休耕田が現れた。更に登ると、『千
年ガマ、見晴台、茶の木原 学校林』と書かれた案内。ここから『里山の道』が右手の田
へ伸びていて、土手には夥しい彼岸花の群れ。秋にはさぞかし赤く染まることだろう。

 コンクリ道は弘川城址分岐で終わり、『展望の道』の山道が始まる。丸木階段で山腹に
取り付き、それを巻きながら緩い傾斜で登っていく。「展望」というが周囲は一面の植林
の中だ。道の曲がり角にある高圧鉄塔(北葛城線bR0)で小憩。暑い。

 『すぎ・ひのきの道』の分岐を過ぎて、しばらく、ようやくこれが「展望の道」の由来
かと思われる場所があった。植林が切れて崖状になっている場所で、いつの間にやら大分、
高度を稼いだらしい。西側に見えるワールド牧場や家々が小さい。
「おお、結構登ってきてるやんか」

展望の道から見る河内平野
ワールド牧場、ゴルフ場、遠くにPLの塔

 尾根筋を歩いていると再び道標が出てきた。展望の道は右へ降りて行く。たぶん周回路
になっているのだろう。近くにあった案内図には四つ辻ま再びで35分。ダイトレ合流ま
で凡そ1時間半とある。
「ええっ?まだそんなにかかるの?」と思わずつぶやきが口をついて出る。確かに、東の
深い谷を隔てた向こう側に姿を現した、電波中継塔を戴く大和葛城山はまだまだ遠い。

 雑木尾根沿いに下り気味の細い道がしばらく続くが、まもなく再び植林となり、また一
間幅の地道の林道と合流し左へ。この辺りまで来ると、うっすらと残雪が目立つようにな
る。ほぼ水平の道は山腹を巻きながら延々と続くが、谷へ降りていかないので助かる。

 森閑とした林道をひたすら歩く。突然、桧・杉林でほの暗い中に、ぽっかりと明るい十
字路に出くわす。ここが地図にある四つ辻らしい。一寸した裸地があって、そこに降った
雪で明るいのであった。左には車止めゲート。青崩から上がってくる碓井谷林道だ。葛城
山は直進で、登る前にはこの辺りで昼食でもと漠然と考えていたけれど、もっと下で食べ
るべきであった。一面の残雪で座って食べる場所が無いのである。これは誤算。(笑) 小
さな谷川(大浦谷)を跨ぐ丸木を渡って植林の下の比較的濡れていない場所を探して、コ
ンビニの袋を座布団代わりに遅い昼食とした。

四つ辻。葛城山へは直進、手前は碓井谷林道

 積雪が徐々に厚みを増してくる。林道は凍結しているが、やや気温が上がった為か、表
面だけが凍り、その下を水が流れている状態である。高度が上がるに従って、更に積雪は
増してゆき、閉鎖された青い林道ゲートを抜けると途端に増えた。15cmはあるだろう。
体の重みでサクッサクッと雪が締まる音が心地好い。時折、滑る事もあるがアイゼンを付
けるほどでもなさそうだ。とはいえ、幾つかある先行者のトレースはアイゼン装着のもの
ばかり。実は装着が面倒くさかっただけなのだ。(^^;

 標高が900mを越える頃になると、積雪は深い所で30cm位はあり、一面の銀世界で
ある。ポツポツとある足跡はノウサギのものらしい。姿を見ることは稀だが、結構生息し
ているらしく、縦横に足跡がある。尾根を回りこんで見上げると大きな防災無線中継施設。
ようやく山頂近くに到着だ。二手に分かれた道の左を採り、丸木階段を登った所がダイト
レとの合流点。大和盆地が眼下に見えるようになり、辺りの雑木林は枝々に取り付いた雪
がまるで時ならぬ花のようである。

ノウサギの足跡

 次の中継アンテナ施設を過ぎると、甲高い子供の歓声が聞こえてきた。小さなコブを越
すと、見覚えあるキャンプ施設で、親子連れが雪合戦の最中なのであった。

 ビジターセンターから白樺食堂へ向かうにつれ、人が多くなり、頂上直下の草原はにわ
かスキー場となっていて、ソリ遊びに興じる子供連れで一杯。それらを避けながらトラバ
ースして山頂を目指す。ところがこちらは雪が融けて泥田状態だ。何とか三角点横の展望
レリーフに立ち、ザックを下ろし一本とる。
「フーッ。無事上がってこれたわい。」
流石、山頂は吹きっ晒し。汗を吸い込んだ着衣が冷たい。展望を楽しむのもそこそこに、
山頂を後にする。ダイトレ道に戻って、集合場所の高原ロッジへ。フロントに聞けばまだ
誰も到着していないとのこと。とりあえずザックを下ろし、ロビーの喫茶テーブルに落ち
着き、雪化粧の金剛山を眺めながら缶ビールを一本手にして皆を待つことにする。そして
20分もした頃だろうか、金剛登山隊の水谷さんの顔が玄関に現れた。

 人数が集まったところでチェックイン。まずは風呂。ここの風呂は何時来ても湯加減が
最高にいい。さっぱりして、部屋にとって返せば早速、皆さん持参の純米冷酒に濁り酒、
焼酎でコタツに入って茶碗酒だ。アテも豊富。このまま飲んで食べてたら、「肝腎の鴨鍋
までに出来上がってしまうやないの」の危惧もものかわ。「飲めや食べや」の悪魔の囁き
には如何とも抗し難く・・・。その内にぺんぎん隊が到着、ますます前哨戦はエンジン全
開、盛況を極めるのである。(笑)

鴨鍋前にもう全開モード

 ところがあれだけ飲んだのに、100万ドルの夜景を眺めながらの鴨鍋は別腹?だった
らしい。18時から始まった鍋はペロリと平らげ、雑炊も一膳。
「鼓腹撃壌たぁ、このことだわい。」(笑)

 さて、宴会は部屋に戻ってもまだまだ果てを知らず。お蔭で翌朝は寝不足もあって少し
頭が重く体がだるかったのであるが、朝食はしっかり頂いてしまい(なんちゅう食欲じゃ
)、下山する内に、心地よい山の引き締まった冷気で酒ッ気も抜けてしまったのである。

ロッジの部屋から朝日にピンクに染まる金剛山
銀世界のロッジ東側の谷を下る

 下山はジョウモン谷のコース。下りでもあり凍結しているので今日はアイゼン装着。8
時半、ロッジを出発、ジグザグに雑木の斜面を降りる。霧氷をまとった裸木が青空に生え
る。アイゼンのお蔭でホールド感があり、凍結路も快適。鞍部で登山路に合し、ゆっくり
1時間半をかけてロープウェイの登山口駅へ。駅前はソリを持った家族連れ、団体登山の
子供会などで大賑わいだ。それらを横目に我々一行は、今日の目的地、二上山へ向かって
移動したのである。

★二日目の二上山オフについてはここをクリックして下さい。

■オフ参加者
  梅原さん、呉春さん、たぬきさん夫妻、たらちゃん、ななさん、
  二輪草さん&修ちゃん、のりかさん、フェアレディさん、ぺんぎんさん夫妻、
  まむさん、水谷さん、宮本さん、もぐさん、小生(計17名 五十音順)

【タイムチャート】
9:40自宅発
11:45河内小学校前バス停
11:55〜12:05弘川寺
12:25弘川城址分岐
12:32〜12:34高圧鉄塔(北葛城線bR0)
12:46展望の道終点
13:00〜13:15四つ辻(昼食)
13:40林道ゲート
14:05大阪府防災無線中継所
14:10ダイトレ合流点
14:20〜14:25大和葛城山(959.2m 二等三角点)
14:30葛城高原ロッジ着


大和葛城山のデータ
【備考】山頂広場は大賑わい〜秋爽やか大和葛城山』を参照下さい。
【参考】
ダイヤモンドトレール案内地図



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