貴公子花紀行〜白鷺の舞を愛でる
 
 平成17年 9月 4日(日)
【天候】晴れのち雨
【同行】単独
満開のサギソウ


 丹波の某所でサギソウが満開だという。台風の影響で天気が不安定というので、山へ行
く気をなくした小生は、すぐさま方向転換。早速、どんなものか確かめに行ったのだった。
結果は、想像を遥かに超える鷺の舞に驚き且つ堪能することが出来た。願わくば盗掘など
に遭わず、いつまでも咲き続けてくれんことを。

 いつもと違って、家でのんびりコーヒーを啜ってから出発。その前に自宅近くのスーパ
ーで弁当と飲み物を仕入れる。コンビニよりかなり安くつくのだ。(笑)

 高速道を利用すればほんの1時間の行程だ。一般道に降りて、国道から折れて、少し奥
まった集落に通ずる車道に乗り入れ、近畿自然歩道の標識にそって進むと周囲300m位
の浅いため池が見えてくる。その池近くの空き地に車を止め、長靴に履き替える。

 ほんとにここに咲いているのか。些か半信半疑。以前、何かあるのでは?と少し覗いた
ことがあるのだが、ウツボグサが目立つ程度で、釣り客がルアーを振るっていた覚えがあ
る。土手に上がる。
「あら?」
その時にはあった木橋がなくなっている。その代わりには一筋の踏み跡。そこへ足を踏み
入れて周囲を見回すが、サワヒヨドリ、ヒメシロネ、サワトウガラシが咲いているくらい
で、本命の影も形もない。
「もう花が終わったのか?いや、そもそもここじゃないのでは?」そんな疑念も浮かぶが、
何はともあれ先へ進む。そして向こう岸近くまでやって来た時である。すると、なにやら
小さな白いものがあちこちに浮かんでいるのに気づいた。
「これは、これは」
夥しい数の純白のサギソウの花である。これだけ一箇所に咲いているのを見るのは初めて
の経験。能勢の某所でもせいぜい10本程度だったから、少なからず感動ものである。更
に進めば、今までにも増して咲き乱れている。サギソウとはよく言ったもので、花弁の端
のギザギザ、中央の棒のように延びた部分など、翼を広げた鷺そのものだ。これで芳香が
あると最高なのだが...。目を凝らせば、近くには食虫植物のミミカキグやホザキノミ
ミカキグサも群落を作って精一杯花を開いている。しかし、これだけ花が小さいと、コン
パクトデジカメではっきり撮るのは至難の業だ。

 そんなことで鷺の舞を愛でつつ、あれこれデジカメを弄くっていると、ザックを背負っ
て捕虫網を持ったお兄さんがやってきた。さっき、来る途中で車で追い抜いたお兄さんだ。
「こんにちは、サギソウですか?」
「はぁ、これだけ咲いてるの珍しいんですわ」
「そんなもんですか」
なんでも蝶が専門らしく、すこし面白い環境なので、変わった種類の個体がいやしないか
とやって来たとか。かなりのベテランと拝察した。

 ところで、鉄道マニアを「鉄っちゃん」というが、昆虫マニアは何というのだろうか?
「虫ちゃん」?いや「むっちゃん」かな? (笑)

 お兄さんと四方山話をしていると、何やらワイワイと騒がしくなってきた。見れば、向
こうから20名くらいの団体さんだ。ジモティらしい小父さんに率いられてやってくる。
聞けば山野草のサークルなのだとか。サギソウが咲いていると聞いて見学にきたが、この
後、最寄の山野草園に寄るのだと話してくれた。

 腹が減ったので、手頃な石に腰かけてランチタイム。今日はデザートにフルーツゼリー
を買ってきたが、これが結構いけるのだ。これから定番にしよう。

 食後はもう一つの湿地を訪ねてみる。こちらのサギソウは花が殆んど終わりかけで、咲
き終わった花の茶色く変色した固体が多かったが、それでもチラホラ咲き残っている。代
わって、サワギキョウが青い花を咲かせていた。

 サワギキョウをデジカメに収めていると、ゴロゴロと雷の音。振り仰げば、いつの間に
か灰色の雲の動きが速い。(これは来るかな?)と思うしりからポツポツときた。慌てて、
ママコナ、ゲンノショウコが咲く林道を車に戻る。池には人っ子一人居ず、お兄さんも引
き上げたらしい。車のテールゲートを上げて、長靴を脱いでいると、雨が激しくなってき
た。サギソウは綺麗に写っているかな?ちょっと楽しみにして、池を後にする。


ミミカキグサ(タヌキモ科タヌキモ属)

サワトウガラシ(ゴマノハグサ科
サワトウガラシ属)

サワギキョウ(キキョウ科ミゾカクシ属)

白鷺の舞(1)

白鷺の舞(2)

白鷺の舞(3)




【タイムチャート】
計測していません


サギソウの池のデータ
【備考】とくにありません      



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