六甲耐寒オフで氷瀑見物
 
平成17年12月18日(日)
【天候】晴れ時々曇り
【同行】別掲
氷瀑と化した七曲滝


 暖冬が続いたここ最近では珍しい師走寒波がやってきた。お蔭であちこちで記録的な雪
の便り。こうなると冬があんまり好きとはいえない私としては、山は開店休業にならざる
を得ないところなのだが、そこへ耐寒訓練?を兼ねて、六甲の凍った滝を見に行かないか
とのお誘い。そういえば、先日の新聞にも載っていたっけ。裏六甲の七曲滝。本来ならば
1月末にならねば氷瀑とならないのが、ここ数日の冷え込みで見事な氷瀑になっていると
いう。まだ見たことのない凍った滝。それでは耐寒訓練に出かけてみますか。

 なんでも日本上空には氷点下42℃という寒気団が入り込んでいて、そのピークが今日
だという。日の出前の5時半。窓を開けてみる。暗夜に星がきらめいている。晴天。しん
しんと冷え込んでいるが幸い風は弱いようだ。それでも防寒対策にいつもの服装の上にレ
インウェアを着込んでおく。風を通さず、これが一番暖かいのだ。そして念の為、いつも
の4本爪の簡易アイゼンではなく6本爪を用意して出発。

 桃山台で5人が集合。水さんの車で駅前に駐車場のある神鉄有馬口駅へ。時折雪のちら
つく中を神鉄六甲駅へ移動、地獄谷へと向かう途中で、今回のナビゲータ役のなかいさん
と落ち合う。周囲の山々は薄く雪化粧。路上には白く数センチの積雪。が、風がなく案外
暖かい。上着を脱ごうかなどと考えてながら阪神高速沿いに新設道路を進んでいると、見
覚えある地獄谷への道標が現れた。
「やっ?なんや?ここへ出てくるのか」
大池の道とは逆方向にやってきたのだった。やっと腑に落ちた。(^^;

 阪神高速の高架下に降りて、今日は沢を渡らず、地獄谷の旧道を歩くことにする。地獄
谷東尾根の取付き点のすぐ右横だ。しっとりとして、それでいて冷たさの中に凛とした朝
の雑木林。落ち葉の絨毯の上にも白い雪。何の飾り気のない落葉樹の枝々にも白い花が咲
き、ミツバツツジは霧氷の衣を纏っている。時ならぬ寒さに常緑の広葉樹は葉を巻き込み、
じっと耐えているようだ。

 地獄谷の右岸の石垣の上に出て、一度沢を渉る。水晶谷第二、第三と書かれた砂防堰堤
を越えて行く。何時の間にか新道と合流して、8:50 地獄谷西尾根への分岐。10分
ほどで水晶谷第四堰堤。コンクリート階段を降りた所で小休止。

雪に覆われた地獄谷。中央はテーブル岩

 この先からが地獄谷の核心部。沢を何度も渡渉しなければならない。氷結していると危
険な所である。ロープが渡してある岩のへつりなどは殊に危ないが、幸い岩の表面は雪を
被っているものの凍結しておらず、アイゼンがいるほどでもない。手袋の手ではしっかり
岩をつかめないので素手になる。忽ち手がかじかみだしたので再び手袋に手を入れる。が、
しばらくすると指先が猛烈に痛いほど冷たくなってきた。触ってみると手袋の先が硬くな
っており、岩の上の雪を払ったりしていて付着した水分で凍っているのだと気づく。冬の
氷点下の寒さには水で湿るのが一番の大敵だと知らされた次第。(^^; 因みに水温は1.
8℃、気温は氷点下−3.6℃とはレオさんの計測。

 さて、ここでの一番の見所は地獄大滝だ。果たして凍っているだろうか。所々にある小
さな滝の釜はどれも氷結していて、大人が乗っても大丈夫なものもあるので期待は膨らむ。
楽しみ。おっと、油断すると足元が危ない。

 コースから少し外れて沢を遡った所にある大滝。なかなか見事、半分凍っている。本流
は流量が若干多いのか氷結とまでは行かないが、その周囲につららが延び、水の飛沫がか
かる岩肌は氷で白い。前に釜があって存分に近づけないのが残念。カメラで切り取って氷
瀑の感じを出すのは難しそうだ。
凍てついた地獄大滝。本流だけ流れています

 堰堤の手前で左に折れ、谷沿いに登る。先行者の足跡はなく、今日に限ればバージンロ
ードだ。(笑) ノースロード出合への道標がある地点で再び小憩を摂った後、一登りでノ
ースロード出合である。ダイヤモンドポイント0.8Km、記念碑台1.6Kmとあり、記念
碑台に向けて左へ折れる。近畿自然歩道にも指定された道は快適。10cm位の雪で覆われ
ている。見上げれば青空に浮かぶ雲の動きが速い。

記念碑台付近の林は霧氷の花

 三井倉庫の山荘前から車道に出てシュラインロードへ。そのシュラインロードともお別
れして、今度は六甲山ホテルの裏を行く間道へ。暗い針葉樹の林を抜けると、六甲最高峰
方面が見えてくる。その手前、桜の林だろうか谷を隔てた向い側は、4月かと見まごうば
かりの時ならぬ満開の雪花。そしてまもなく、一面の白い絨毯を敷いたみたいな記念碑台
の駐車場に出てくる。流石にいつもの喧騒はなく、ブルームの像も手持ち無沙汰のようで
ある。
記念碑台の駐車場は銀世界

 ブルーム像の裏手にある四等三角点(点名『記念碑台』)にタッチして、ベンチで食事。
カップヌードル、焼酎のお湯割で暖を取る。メインディッシュはローソンの焼き鯖寿司。
これは安い割りになかなかいける。

 ドライブウェイと別れて、六甲山小学校横からゴルフ場を抜ける道。これは去年のキム
チ鍋オフの時も歩いた道である。ところが、なんだか足の付け根の筋肉に違和感があって、
心なしか足が重くなってきた。雪道は意外に脚力を消耗するようだ。

 みよし観音からガーデンテラスを抜けNTTの無線中継所を過ぎる。右手に海。大阪方
面の視界が良い。生駒から大和高原の山並みが波打っている。二上山は認められたが、金
剛、葛城は雲の中である。雪でも降っているのだろうか。

下山は極楽茶屋跡から紅葉谷へ

 再びドライブウェイに出会うと、極楽茶屋跡。魚屋道から番匠屋畑尾根を周回した折、
この辺りで昼を食べたっけ。あの時はまだ茶屋は開いていて、缶ビールを買った覚え有り。

 番匠屋畑尾根と紅葉谷分岐付近の林の中では、食事や休憩中のハイカーが多い。地獄谷
と違って流石はメインルート。次々と上がってくる人たち。そして道も林道ほどもある。
つづら折れのこの辺りは六甲に僅かに残されたブナ林で、その説明板も立つ。凍り付いて
はいないけれど急な下り道だ。安全の為、アイゼンを装着しておく。

 百間滝への別かれ道。水量が多くないとの事なのでこれはパスし、更に谷沿いの道を下
っていくと、登山道から左に別れる道に七曲滝へとの道標を見出す。こちらに分け入れば
右手は結構深い谷で、進むに従って道は崖をへつって次第に細くなっていく。ロープが渡
してある所は道幅は30cm位か。しかも真北側である所為か崖から染み出した水が、岩肌
が完全に凍り付いている。朝なら道も凍っていただろうが、多くのハイカーに踏まれた今
は融けだしてシャーベット状。それでも少しビビるシチュエーション。(^^; 10m以上
は下にある蟇滝を見ながら、アイゼンで足元を確保しながら進む。向かいから深い廊下状
の谷が合流する部分で左に折れて谷底に出る。狭いV字の谷を浮き石に気をつけながら行
くと、枯れ谷の右手の崖に見事に凍った七曲滝が姿を現した。

 有馬四十八滝でも指折りの滝は高さは凡そ10m。幅は5m見当か。滝を流れる水は一
面につららのようにぶら下がり、下からは氷が鍾乳洞の石筍さながらに成長している。そ
れはいわば無数の氷のシャンデリアだ。自然の造形はなかなか壮観。ライトアップすれば
さぞや綺麗にちがいない。

自然が造ったシャンデリア
七曲滝の氷瀑。人と較べて下さい
もっと近づいてみる。
シャンデリアの奥に水しぶきが

 はじめは数人だった見物客も、下山のついでに寄っていくのか、ハイカーが増えてきた。
その中には、まむさんの顔も見えるグループも。世の中、本当に狭いもんだ。そんなこと
で、記念写真を撮ったり、なかいさんに頂いた熱いコーヒーを飲んで一服していたけれど、
そろそろ皆さんに場所を譲らなくては...。

 白石谷が現れ、白石の砂防堰堤を過ぎれば、湯槽谷峠からの道との合流点は近い。やが
てロープウェイの駅が見えてくれば有馬の街だ。ところが街中の坂道はいまだに凍結して
いて、却って山の中よりも危ないのだった。(笑) 観光客が行き交う旅館街を抜け、炭酸
煎餅や温泉饅頭を買ったりして神鉄有馬駅には丁度3時。冬至間近の陽は赤みを増して、
もう西に傾いていた。

 六甲耐寒オフ。ザックのペットボトルは薄く凍っていたのだったが、といっても歩いて
いればそれ程寒くはなかったなぁ。それにしても初めて見る氷瀑はなかなか見事なもので
した。


■同行 なかいさん、のりかさん、水谷さん、もぐさん、レオさん(五十音順)

【タイムチャート】
7:00北急桃山台駅西ロータリー(集合地)
7:36神鉄有馬口駅(駐車地)
7:50神鉄六甲駅
8:25地獄谷入口
8:50地獄谷西尾根分岐
9:05〜9:10地獄谷第四堰堤(小憩)
9:20〜9:32地獄大滝
10:44ノースロード出合
10:52シュラインロード出合
11:20〜12:00記念碑台(昼食)
12:37〜12:45ガーデンテラス横
13:05極楽茶屋跡
13:44七曲滝分岐
13:50〜14:10七曲滝
14:20七曲滝分岐
14:30湯槽谷峠道出合
15:00神鉄有馬駅
15:20神鉄有馬口駅(駐車地)


地獄谷のデータ
【備考】晩秋に遊ぶ裏六甲地獄谷から森林公園をご覧ください
【参考】
エアリアマップ『六甲・摩耶』



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