東多紀アルプスは早春の名残雪
 
平成17年 3月 5日(土)
【天候】曇り時々小雪のち晴れ
【同行】別掲
雪を被る堂々たる三岳の姿


 先月、葛城山で鴨鍋を堪能したばかりにもかかわらず、またまた鍋大好き人間にはこた
えられない企画が水谷さん他の方々によって実現の運びとなった。その主役は言わずと知
れた冬の山の味覚の王者ともいうべきイノシシだ。冬の多紀アルプスを楽しんだ後、最寄
のコテージで一泊し、本場篠山のボタン鍋を心ゆくまで味わおうという真に贅沢な企画に
加えて、温泉とエフェメラル鑑賞、更に十割そばのおまけがついては、もうこれ以上の企
画は考えられないでしょう。(^。^)/ それでは、その顛末をば語るとしましょう。

 このところ、週末ごとに寒波がやってきて通り過ぎていく。3月の声を聞けばもう大丈
夫と思いきや、5日からの週末も季節遅れの真冬並みの大寒波だとか。氷上の方では早や
木曜の夜から雪が降り出したとたぬきさんの情報。こりゃやばい、ノーマル、FRの愛車
じゃ、とてものこと大タワの坂道は登るまい。というわけで、急遽、水谷さんにSOSコ
ール、同乗をお願いすることとなった。6時40分、水谷さん宅へ。荷物を乗せ代えて次
の集合地は千里中央。7時過ぎ、二輪草さん夫妻の車と合流、安全の為、中国道経由で篠
山へ向かう。

 大阪はいい天気だったのに、舞鶴道に入り、北へ向かうに従って灰色の雲と、靄が濃く
なってくる。昨晩降ったのか周囲は白く雪化粧だ。三岳の登山口がある火打岩からは、い
よいよ大タワへの峠道。登るに従って雪はますます深くなるが、スタッドレスの四駆の威
力は絶大、ぐんぐん登る。そのうちスリップしだしたという二輪草さん夫妻の車は路肩で
チェーン着装。その間に水谷車は大タワまで登るも、やまごさんの車はまだ到着していな
い。そこで一旦、二輪草さんたちの様子を見に下り、再び登り返すと、駐車場に人懐こい
顔があった。

 大タワの雪は15p程度。先週と違って湿った雪だ。風に流れる霧の粒が顔に当たって
冷たく痛い。こりゃ山頂は寒そうだぁ。ここで全員、水谷車に乗り換えて、さて次は列車
組を迎えにJR篠山口駅。定刻より10分程度遅れたが、その頃には駅集合の面々が首を
長くして待ち構えているのだった。

 ようやく揃った総勢15名。それぞれ車に分乗して多紀アルプス登山口の一つ、栗柄口
へ移動する。以前来た時には排水施設の建物の横に車を置いた記憶があるが、丁度車道の
路肩に数台程度の広場ができていて助かる。ワイワイと出発準備を始める面々。小生は先
週の千町ヶ峰と同じく、レインスーツとスパッツのいでたちで完全武装?ある。

栗柄口の藁葺き民家も雪化粧

 車道を少し西へ戻った先の農家の前にあぜ道が取り付き。雪と土で足元が少し悪い。(
千町ヶ峰で折角、靴が綺麗になったのになぁ)呟きながら進めば、右手を谷川が流れる。
その川との間の空間に数本の白梅が花を咲かせている。雪が積もった花弁が寒そうである。

梅も早春の雪に寒そう

 それからしばらくは植林帯を歩くことになる。すると例の雪爆弾がむくむくと脳裏に浮
かぶ。(笑)思わず童心に帰って遊んだら、皆さんの顰蹙を買ってしまった。ひらにご容赦!
m(_ _)m

 沢を2,3度渉って谷筋を詰めていく。雪の中ながらも明快な道である。途中、休憩を
取りつつ、急登を我慢して574m標高点へ取り付き、矢代への道標が出ると稜線である。
この付近は雑木。早くもたわわに壷型の蕾を用意し始めているアセビや、リョウブ、ミツ
ツツジなどの枝に張り付いた白雪が美しい。数度のアップダウンを繰り返しながら徐々に
高度を上げる。藤岡ダムへの道は相変わらず藪のようだ。そして最後の急登をこなして、
露岩のある狭い西ヶ岳の山頂である。11時半だし、ちょっと早いがここで昼食。雪の上
にへたり込んで湯を沸かす。今日は忘れずカップ麺を持参。(^^; この時期、暖かい食べ
物は旨い。コーヒーも沸かして一息つく。その間も、ガスが晴れず三岳の雄姿は見られな
い。
西ヶ岳山頂で一息入れる面々

 西ヶ岳の下りはきつい。しかし、背丈ほどもあったクマザサも綺麗に刈り払われていて
歩きよい。先程までガスが薄まって下界の景色が見えていたと思ったら、一転して霰が落
ちてきて、バラバラとササや常緑樹の葉に当たる音がかまびすしい。が、それも直ぐにや
んで、再びガスが切れると、ようやく前方に三岳のピラミダルな姿。山頂のアンテナまで
認められる。振り返れば西ヶ岳とその東のピーク。

展望岩付近で西ヶ岳を振り返る

 登ったり下ったりを繰り返す。下りは雪で滑る箇所もあって緊張するが、なんとかアイ
ゼンを装着せずに進める。西の覗から栗柄奥への分岐に出る。雪に覆われた登山道に一筋、
獣の足跡。どうも小柄な鹿のようである。ここまで来ると三岳の姿も大分大きくなり、先
のCa700mの小さなピークからは、篠山盆地の南側に屏風を立てまわした如き大野山や
三国岳の姿。西には西多紀アルプスの三尾山、夏栗山、黒頭峰、鋸山などが頭を出してい
るのが望める。更に、北東には長老ヶ岳がなだらかな山容を見せる。

 Ca700mピークからは南東に方向を変え、一旦、グーンと下って、吊り尾根からキレ
ットや小さな岩場を楽しみ、高度差120m程を登り返すと三岳の山頂だが、ここが結構
厳しい登り。去年、西ヶ岳からピストンした時は、少し顎が出かかったのを思い出す。そ
れも杉、桧の植林が現れたら山頂は近い。

 こちらの方がやや雪が深い。雪に覆われた山頂の方位盤の周りには、大タワから登った
らしい二人連れの足跡がある。初登頂じゃなかったのが残念。しようがない。三岳西稜本
日初登頂ということにしておこう。(笑)

 再び霰がかなりの勢いで降りだした。先を急ごう。役行者が鎮座する石室横を過ぎて、
笹原を抜ける。この先がロープのある下りの難所。この辺りから眺める小金ヶ岳の姿が良
いのだが、今日はガスで裾の部分が尾を引くのみだ。

三岳山頂の東付近にて

 雪がなければ30分もあれば足りる大タワへの下山だが、今日は慎重に50分近くをか
ける。やや腐りかけた雪を踏んで、14時半前、大タワ到着。無事、全員下山となった。

 車回収の面々が戻ってきたらいよいよオフの大本命、ボタン鍋が待つコテージへ直行。
と行きたいところだが、その前に野菜調達係とボタン肉と日本酒調達係とに別れて材料の
仕入れ。男性連は肉と酒係。まず地酒秀月の一升瓶を3本。肉は若い雌イノシシ(ドンコ
と呼ぶそうだ)を地元の猟師の店で仕入れる。冷凍してあるのでゆっくり解かすのがコツ
だとか。そんな注意をそわそわと、一路、今日の宿泊先の丹波渓谷の森公園へ急ぐのであ
る。
渓谷の森公園のコテージ。今夜の宴会場所だ

 ここ渓谷の森公園は大野山登山で何度かやってきたことがある。泊まるのは初めてだが、
ロフトもあるコテージはなかなか快適だ。徐々に夕景も迫った頃、三々五々集まった面々
は15名。流石、ベテランの主婦揃い。手際よく野菜が準備され、前菜の簡単サラダまで。
小生などは邪魔をせぬようにとひたすら隅で冷酒を頂くのでした。(^^; そして午後5時。
味噌仕立てのボタン鍋宴会の開始。しばれる外界も鍋で温もる部屋の中では想像もできな
い。あれだけあった酒もワインも山盛りの野菜も、勿論肉も、次々とみんなの胃袋へ直行。
いやぁ、みんな健啖家だ。鍋が果てた後も、ワイワイと話が弾み、留まるところを知らな
いようであった。
宴も酣。喰った、飲んだ。酒壜が林立だ


 さて翌日。当初はご近所の山をもう一つという計画であったのだが、昨晩の飲み過ぎが
祟ったのか、面々今一つ元気がない。篠山マラソンによる交通規制もあるしで、あっさり
撤回。早春の花と温泉、そして手打ち十割そばという、どこかの観光ツアーも顔負けの豪
華ラインナップに変更となったのである。

 例の篠山市のスプリングエフェメラルの花園は、三週間前とは違って、ユキワリイチゲ、
セリバオウレン、セツブンソウの可憐な花が顔を出している。アズマイチゲは曇っていた
為か蕾。他の見物客は珍しくアマチュアカメラマンの1グループのみ。それと入れ替わる
ようにゆっくりと見物する。続いて、こんだ薬師温泉へ移動。一っ風呂浴びた後は、白髪
岳の麓の蕎麦屋へ。古い農家を改造した店は一寸見では店とは思えない造り。ケヤキの幹
をくりぬいた囲炉裏の周りで十割そばを食す。聞きしに勝るコシの強さ。かつおだしも絶
妙で、何杯でも食べられそう。けれど、少〜し高いのでそうも行かぬか。(爆)

 楽しかった欲張りオフもここでお開きだ。帰る車の背後にはどっしりとした白髪岳と松
尾山が並んで春を待っているようでした。皆さん、ありがとうございました。


■同行 呉春さん、幸さん、すみれさん、たぬきさん夫妻、たらちゃん、知ちゃん、
    nanaさん、なかいさん、二輪草さん&修ちゃん、のりかさん、
    まきたさん、水谷さん、もぐさん、やまごさん(五十音順)

【タイムチャート】
7:00千里中央(第一集合地)
9:10〜9:20JR篠山口駅(第二集合地)
9:35〜9:50栗柄口(登山口)
10:47矢代分岐
11:30〜12:05西ヶ岳(727m)(昼食)
12:45〜12:50西の覗分岐
13:29〜13:40三岳(793.4m 一等三角点)
14:27大タワ


三岳、西ヶ岳のデータ
冴え返りつつ多紀アルプス〜三岳、小金ヶ岳
早春の多紀アルプス〜三岳、小金ヶ岳
薫風そよぐ多紀アルプス〜西ヶ嶽』を参照下さい。
【参考】2.5万図『村雲』、『宮田』



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