貴公子花紀行〜しめはやっぱり金剛山

平成17年 5月 8日(日)
【天候】晴れ
【同行】単独
ニリンソウのお花畑


 毎年この時期は、金剛山が華やぐ時期。GWの〆に行ってみようか。HPを確かめてみ
たら、去年も同じ日に登っているのだった。(^^;

 いつものように金剛山登山口バス停向かいの茶店の駐車場に車を入れる。おりよく1台
分の空きがあった。

「花見にきたけど、今日は人が多いやろねぇ。」
「そうでんなぁ。天気ええしねぇ。山の上の桜も咲いてます。そこの川向かいの藤も満開
で、みんなに見てもろうてますねんけどなぁ」
店のおばあさんは元気だ。

 なるほど、おばあさんが自慢するだけあって、黒栂谷の流れの向こう側に、大きな房に
なった藤の花が無数に垂れている。それを眺めている間にも多くのハイカーが後ろを通り
過ぎる。確かに絶好の日和だし、GWの最後だし、今日の人出は並大抵じゃなかろうなあ。

 黒栂谷の道は先日の雨の影響か、じっとりと濡れている。アケビの花を愛でたり、スイ
バの軸を齧ったりしつつ、林道をゆるゆると歩いていく。セトへ出る黒栂道と分かれて右
へ、小さな広場を過ぎるとカトラ谷を遡行する道である。コチャルメルソウ、ヤマルリソ
ウ、カンスゲ、ヤマブキ。それぞれ花をつけている。ロープを渡した小さな崖を登る辺り
はイチリンソウの小さな群落があるのだが、今年も健気に咲いている。足場が悪いので、
写真が撮りにくいのが幸いしているのか。頭の上には花筒の中に黄色い模様を持つクリー
ム色の花が鈴なり。オオツクバネウツギだ。これは盛りの時期に出くわしたみたいだ。デ
ジカメで撮影している間にも、次から次へと引きもきらずハイカーがやってくる。この谷
も有名になったものだ。これもインターネットの普及の影響なんだろうな。昔は口コミの
みだったものが、一気に爆発的に広がるようになった。中高年の登山ブームも背景にある
のであろう。

 滝を左に見て右の沢に移る。そろそろニリンソウの白い姿が現れだした。去年はやや盛
りが過ぎていたけれど、今年はどうだろう。

 水場で岩から流れ出る清水を備え付けのコップで1杯。甘露、甘露。一息ついて古い砂
防堤を越える。まずはクリンソウに挨拶をしに行こうか。
「あれっ?」
咲いている個体は2、3。それもちらほら咲き。開花が遅れているらしいが、個体数自体
も減っているような。急峻な傾斜地にあったから去年の台風による風雨や土砂に痛めつけ
られたのだろうか。それとも....。

 続いては、ニリンソウ畑。おお、咲いている、咲いている。これは時期がばっちりだっ
たようだ。ユキザサ、エンレイソウ、ツルキンバイも今が盛り。ヤマツツジは赤い蕾が見
えるが、咲くのは数日後だろう。ヤマシャクヤクも健在。何時見ても優雅。盛りの個体は
少なかったけれど、散ったのもあれば、まだ蕾もあって、今しばらくは愉しめそうである。

 そろそろ国見城址の広場に移動しよう。最後の急斜面。ここでもツクバネウツギが満開。

 六地蔵からの道と合流して左へすぐの広場は八重桜が盛り。金剛桜の花は薄緑色で若葉
の色に隠れて、存外目立たないものだ。まだ12時前なのに広場にはあまりに人が多いの
で、売店で缶ビールを買い求めて、広場の上部に新たに出来た広場に移動、大阪南部の景
色が眺められるベンチに腰かけて、まずは栓をプシューッ。

 山頂の気温は13℃。座っていると汗が冷たくなって寒い。コーヒーを飲んで腰を上げ
る。金剛山には三角点のある湧出岳、最高峰の葛木岳(これは神社の境内地で立入禁止)。
他に大日岳というのがある。ここは未踏だったので寄り道していくことにする。というほ
ど大層な事でもないのであるが...。その前に辺りをグルリ一周。葛木神社の裏を抜け
てブナ林に出ると、大和葛城山が見晴るかせ、山頂のツツジ群落が赤く染まっているのが
はっきり見える。あっちも人が多いだろう。

葛木神社裏から大和葛城山
山頂付近がツツジで赤く染まっている

 裏参道で葛木神社。転法輪寺への石段を降りて行くと、法螺貝の音色。見れば、修験者
の一行が先達と問答を行っている最中。これは面白いと近づく。兜金を被った白装束の修
験者が十数人。那智青岸渡寺の刺繍文字の入った上衣を着た人や女性も1名混ざっている。
先達の「しからば、○○とは如何に...」というような感じの問いに「そもそもこれな
る○○は」と返すのである。滅多に見られない光景である。

行者の問答風景

 再び国見城址の広場に戻って、セトへ下る道を採る。しばらく行くとヤマブキソウの群
生地。上から見ても点々と鮮やかな黄色が目立つ。それからまもなく分岐。右の植林の中
に古い水道施設の建物を見る。それを右にとればまもなくY字路になり、立ち木にテープ
が巻かれ大日岳とあった。左(北)に折れると、5分も歩けば台地状になった大日岳に飛
び出す。通常、大日岳といえば険しい尖峰が多いのであるが、ここはなだらか。そのまま
進めば六道の辻を経て水越峠方面への太尾道である。この辺りは雑木のいい雰囲気で人も
少なく、西に河内平野、東も少し開けて、音羽山塊や額井岳がたたなづくのが眺められる。
地形図では無線中継所があるはずなのだが見当たらない。「???」代わりにハナニラが
二輪、風にそよいでいた。

大日岳の山頂広場

 セトへの道に戻る。雑木林が植林に変わり、大きな石のガラガラ道がジグザグに下りだ
すと、まもなくセト。ベンチが一脚。その後ろの木に手製の案内板が架けられている。黒
栂道はここで、植林の中を西へ急降下する。ひたすら下れば、やがて再び雑木道。左から
水音が聞こえ出し、道の横を沢が並行する。この辺りにはラショウモンカズラの群生地が
あるはずだが。と、探すまでもなく青紫の花が目に付いた。カトラ谷との出合いはそこか
らすぐである。

 砂防堤の左岸を通り、千早赤阪村の取水施設横の道で帰る。しいたけセンターの前の豆
腐屋で豆腐と、厚揚げを晩酌の肴にと買い求め帰途につく。GWのフィナーレに相応しい
花一杯の金剛山でした。


■花々の写真集金剛山の花園にて〜2005〜を見る


【タイムチャート】
8:00自宅発
9:15〜9:25金剛山登山口バス停横(駐車地)
9:52黒栂道分岐
10:25水場
10:30〜11:10花観賞
11:25〜12:45国見山山頂〜転法輪寺〜葛木神社
12:50四つ辻
12:55〜13:05大日岳(1094m)
13:10四つ辻
13:28〜13:30セト
13:48黒栂道分岐
14:10金剛山登山口バス停横(駐車地)


金剛山のデータ
       青葉輝く金剛山』を参照下さい
【参考】金剛葛城自然歩道ダイヤモンドトレール地図



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