達磨ガ峰からフトウガ峰へ耐暑登山 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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達磨ヶ峰北西の鞍部から フトウガ峰(右)と段ヶ峰(左) |
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7月から8月にかけての時期、炎天下の低山は暑くて歩けたものではない。但し、標高 が800m程度あれば、日が翳ればそうでもない。というわけで、台風の影響で「曇り」 の予報を信じて向かった生野高原。ところがあにはからんや、着いてみれば全くのピーカ ン。暑いのなんのって。(^^; でも、高原に出た後の草っぱらを吹き渡る風は涼しく、灼 熱地獄から極楽へとはこのことかとの思いでした。 いつもは「晴れてくれ」と祈るところを、今日は適当に「曇ってくれよ」と祈る。その 願いも空しく、青空が広がるばかり。播但道は生野ランプで降りて、トンネルを潜ってす ぐの交差点を生野高原ゴルフ場の看板を目印に右折する。結構な勾配のジグザグ道だ。一 気に高度を上げ、杉谷コースの入口を目指してゴルフ場前からホテルカッセルの前を行き 過ぎた植林の中。栃原へ降りる道との分岐点の辺りである。無情にも「工事中通行止」の 標識がある。 「?」 この先、少々は進めそうであったけれど勝手もわからず、ここは素直にUターンして、縦 走路の登山口である生野荘跡を探す。幾つか山手へ登る道を窺った末、案内図の看板が立 つ道を発見する。何のことはない。車道分岐に「段ヶ峰登山口」のプレートもあるではな いか。 国民宿舎だった生野山荘は完全に取り払われて更地。その空き地に何台かの車が止まっ ていて、横には簡易トイレもある。奥の空スペースに車を止めて、準備を終える。 登山口には「クマ注意」の看板と共に「車上荒らしが頻発、注意」の看板。おっと、そ うそう、ETCカードがささったままだ。
マザサをバリカンで無理やり刈り取ったような直登道だ。標高差は350m。最初は涼し いと思われたが、風が止まって、アッという間に汗だく。セミの声も厚さを倍化させる。 暑さに地面に落ちてバタバタしているセミさえも鬱陶しくなる。それでも、門柱のように 立つ岩の間を抜ける頃には、ややジグザグの道になって少し楽になる。立ち止まって汗を 拭き拭き、時折、そよいでくる風が救いである。ところが、上がるに従って、木立が少な くなり、疎らに立つ赤松とカヤトのような草むらになってくる。風が止まるとムッとする 草いきれと直射日光。暑〜い。タオルを首筋に垂らして日除けにして帽子をかぶり、なん とか日光をさえぎる。でも湿気が少ないのか、日陰に入ると結構涼しい。松の木陰に入っ ては休憩の繰り返しである。(^^; でもアブのうるさいのには閉口。虫除けを噴霧するが、 汗で流れてこれじゃぁ効き目が薄いよなぁ。(^^; 左手に笹に覆われた斜面が見え出すと達磨ヶ峰の肩。この辺りが一番暑さで苦しい所。 左に折れる。道標には達磨ヶ峰10分、フトウガ峰100分、段ヶ峰145分とある。ま だまだ先は長いのだ。このまま直射下のままならどうしよう?まあ達磨ヶ峰まで行けばと りあえず三角点が踏めるし、あとは行ける所までと腹をくくる。
っきの「肩」の方がよく、千ヶ峰や生野の銀山湖が望める。南方向はゴルフ場のグリーンと 栃原の集落と緑の水田が綺麗。潅木の下でしばし休憩。ちょっと元気が出てきた。
段ヶ峰のなだらかな姿が大きく見えてくる。但し、遠い。まだあんなに距離があるのかと 思うが、無理することもなしととまたまた居直るのである。(^^; 高さ20mもあろうかという細い円柱状のアンテナ施設の立つ草原を抜けて、前方には Ca940mのピーク。フトウガ峰までに2つの峰ありと案内にあったが、その一つだろう か。そこを登りきると、あな嬉しや、コナラ、コシアブラ、アカマツ、リョウブなどが混 生する林の中の道となった。
がら軽井沢に来た気分とは少々大げさかぁ。でもさっきはホトトギスも鳴いていたから、 この辺りでは託卵される鳥も多いことだろう。 青い鹿除けネットが見えてきたと思ったら右が大きく伐採された斜面に出る。涼しい風 が吹く場所なのだろう。時折、ちらちら前方に姿が垣間見えていたご夫婦らしいハイカー が食事中。その横を抜けて斜面を30mほど下る。下りきった所には尼崎山の会の道標が あって、「最低コル」の表示がある。北に行けば菖蒲沢を経て生野駅とあり、薄い踏み跡 がみえるが、ネットの囲いの中だけに、いずれ消えていきそうな感じがする。ここで小休 止、バナナパンを1本。
のかと思えば、左に折れて山腹をほぼ水平にトラバースする道。左は手入れが全く行き届 いていないヒノキ林で、右はアセビとササの繁茂する草っ原。しばらくそんな水平道が続 いた後、最後の登りが待つ。日光の直射を受けて暑いが、風が出てきたのと、周囲の展望 が開けてきたのでさほど気にはならない。ポツンと大きな岩の向こうに、またアンテナ施 設。そこが頂上だろうとシャリバテの体を励ましたら、まだ先があった。50m位先に標 識が見える。もうほとんど水平なので助かる。標識の横の草むらに格好の小さな石があっ たので腰掛け、まず一息入れる。お茶を飲んで落ち着いたところで、さぁ食事にする。
というが、デジカメのシャッターを押してくれろと小生に頼んだ後、西へ歩いていかれた。 驚いたイナゴやバッタが左右に飛び跳ねる中を、沸かしたコーヒー片手に少し歩いてみ る。流石に生野高原、大展望だ。アセビ以外は高さ30cm程度のササが覆っているだけ。 なだらかな丸みを帯びたうねりを見せて、西に段ヶ峰。山頂の松の木がちょこんと見える。 その横に少し顔を出しているのは今年の冬に雪中ハイクした千町ヶ峰だろうか。南は杉谷 に降りる尾根の向こうに平石山から高星山に続く稜線。アンテナの林立するのが暁晴山。 北西に見える高山は氷ノ山か?北東から東には粟鹿山や千ヶ峰が居並んでいる。多紀アル プスまで見えるそうだが、今日はちょっと無理。 段ヶ峰へはここから往復1時間半。行って行けぬ距離ではないが、未踏でもなく、高原 の雰囲気はフトウガ峰で十分味わえるし、少し早めに戻りたいこともあって、今日はここ まで。それでも段ヶ峰方面へ少し歩いてみる。すぐに杉谷コースとの分岐で道標がある。 段ヶ峰へは右に曲がって緩やかに降りて登り返して行くようである。道端には、オトギリ ソウの他に赤紫のママコナに似た花が目につく。唇弁の中の飯粒が黄色い。ミヤマママコ ナらしい。とりあえずデジカメに収めておこう。
出している所があるではないか。小さな湿地のようになっていて、ミズゴケの中に、黄色 い小さな花が点々とある。モウセンゴケかミミカキグサの一種かとも思えたが、帰宅して 調べたらコケオトギリであった。しかしこんな山の上に水が湧くとは不思議なものだ。 行きに較べて帰りは得てして速いもの。ちょくちょく小憩をとりながらも順調に達磨ヶ 峰に戻って、お茶を全部一気に飲み干す。うめぇー。だけど、人心地ついたと思ったら、 急に脛がヒリヒリする。見ると赤く無数の擦過傷のような。半ズボンで来たから、道の両 脇の草の葉っぱで擦られたらしい。こりゃぁ、風呂で沁みるやろなぁ。 こんなに急だったのかとあらためて思う達磨ヶ峰の斜面。炒られるような陽光。相変わ らず、足元から蝉やバッタがバタバタ。20分ほどで登山口へ。止まっている車ももう1 台のみであった。 このくそ暑いのに、何もわざわざ。でも歩いてみれば、また行きたい。ほんとに山は不 思議ですなぁ。
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