注腸検査初体験
平成16年 6月15日(火)
天候: 晴れ
ハコネウツギ



 勤務先で実施された成人病検査に引っかかり、この度、注腸検査を初体験してきました。
今回はその体験記です。

 成人病検査は35才以上は2年に1回と規定されていて、胃カメラも過去2回経験して
いますが、注腸検査は今回が初めてです。潜血反応があったと連絡があった時は流石にび
っくりしました。で、説明を聞きに行くと、半年位の間に精密検査を受けろと産業医。し
かし自覚症状も皆無で、なんやかやと仕事に紛れて気がつくと、検査からすでに3ヶ月。
一緒に宣告された同僚も受診したと云うし(勿論、問題無しでした)、新聞でも大腸ガン
という文字がいやにに目に付くし、しかも胃を全摘した後輩が亡くなったという訃報を耳
にして、流石に暢気な小生も「こりゃいかん」。
重い腰を上げて、指定されたS病院へ検査の予約に行ったのでした。

 内視鏡が一番確実なのですが、なにせ混んでいて待ち時間が3ヶ月。そこで、バリウム
はと聞くと、こちらは2週間待ちでよいとのこと。とりあえず「それを」と注文したので
ありました。

 さて、注腸検査が明日という日を迎えました。検査を受けるに当たっては前日から用意
せねばなりません。即ち検査食という、繊維質の少ない、脂肪分が殆ど無いものを摂取せ
ねばなりません。朝食は粥と味噌汁。昼食はゼリー、クッキー、紅茶飲料。夕食はなんと
ポタージュスープのみ。但し、間食というのがあって、葛湯、クッキー2片、カルピスを
適宜、飲食できます。しかしながら1日の摂取カロリーは1000カロリー。ダイエット
には如何に意志力が必要かを実感しました。なにせ、こっちの思惑に関係なく家族は旨い
ものをこれ見よがしに食べるのですから。(笑)でも考えようによっては胃カメラの時よ
り楽かなぁ。ポカリ等を飲んでも良いのですから気が紛れます。

 午後9時半。下剤。これが辛い。尾籠な話ですが寝てる間も催すと起きねばなりません
から、おちおち寝てもいられません。私の場合、朝も含めて都合6回もトイレへ行きまし
た。(^^;

 さあ、当日を迎えました。予約時間の9時10分。S病院の消化器センター受付で登録
を済ませます。まず腸のレントゲンをということで1枚、X線写真を撮った後、別の部屋
へ導かれて、脱衣室で青い検査着に着替えます。そうそう、この時、尻に穴の開いた紙パ
ンツを履かねばなりません。夜の風俗で「スケベ椅子」ちゅうのは知っていますが、「ス
ケベパンツ」てのは初めてです。(笑)

 腸の緊張を取るという注射を若い看護婦から受けた後、しばらく待機です。この時間が
長いんですなぁ。こういう時にあれやこれやと妄想するんですね。「もうあかんのんちゃ
うか?」とか「どんな検査やろ?痛くないかな?」等々。

 「○○さん」呼ばれて、ドキッ。カーテンを開けて検査室へ。入ってみると、胃のバリ
ウム検査と同じ機械が鎮座しています。当然といえば当然、腸だけのX線装置ってのもな
いはずですわね。

 検査台に乗ると機械が動き出し、水平になります。横向きになれといわれてその様にす
ると、今からバリウムと空気を注入するという。おもむろにアヌスに熱いものが突っ込ま
れた様な感覚に続いて、便意を催す感覚が襲って来ます。しかしそれが過ぎると、何かが
挟まっている様な鈍い感じがするだけで痛くも痒くもなくなります。検査前は馬にするみ
たいなでかい注射器でバリウムを注入するのかと思っていたから、少しく拍子抜け。そん
な考えを中断するが如く、背中から「今から空気を入れますのでお腹が張りますよ」とい
う検査技師の声がすると思ったら、プクプクとポンプの動く音がし始めます。すると忽ち
何か腹の中で風船が膨らむような感覚がよぎります。しかし、人から聞くほどつらい感じ
はなく、後は胃のバリウム検査と同じ。仰向け、うつ伏せ、右横臥位、左横臥位と、満遍
なくバリウムを内壁にこすり付ける動きをとることになります。

 ところで、この間、先程の若い看護婦に我がアヌスを見られてしまったわけですが、殆
ど羞恥の心がないのはどうしたことでしょう?医者側と患者・受検者側という立場以外に、
歳を経る毎に羞恥心というものが薄れていくからでしょうか?それなりの地位もある壮年
が、公然猥褻で逮捕されるというのも何だか分かる気がして....。ということは、こ
の小生もその予備軍?ギクッ!

「はい。終了です。」の声にほっとします。
「少しお腹に力を入れてぇ」といわれるが、何かが出そうでいまいち力を入れられない。
それでもスポッと管が抜かれてようやく今回の検査が終了となりました。

 更衣室で着替えて暫く待機していて下さいと看護師の若いおねえさんに言われて、検査
室を出ます。心なしかやや内股。「あっ。アヌスの周りが何か冷たい感覚」恥ずかしい、
不覚にも漏らしたのだろうか。さっき腹に力入れてと云われた時かなぁ。えらいこっちゃ
と内心、忸怩たる思い。更衣室で確かめたら、尾篭な話で恐縮だけれど、バリウムが少々
垂れていたのでした。
「ああ、よかった。」

 着替えを済ませて座っていると、ややあって、くだんのおねえさんがやってきました。
カルテと患者カードを持って会計へ行って下さいとのこと。普段どおりの食事でいいが、
水分を十分に摂るように云われます。便秘は大丈夫かと訊くと、胃と違って大腸だから食
べ物と一緒に1〜2日で自然に出るし、バリウムの中に下剤が含まれていますとの回答。
帰りの電車とかで催したらどうしようと少々不安ではありましたが、それも杞憂に終わり、
無事帰宅と相成りました。後は異常無しの結果が出ればいいのですが。検査結果は半月後
です。

 ところで今回の検査で思ったことです、ダイエットというのはかなりの持続的な強い意
志力が必要であることがよく分かりました。検査食だけでは当然空腹なので、ついつい食
べたくなってしまいます。少し恵まれていたのは、繰り返しますがサイダーやコーラ、砂
糖水の摂取は検査当日7時迄は許されていたことで、これである程度は紛らわせることが
出来た点です。たった一日でこれだから、現代人は先の戦争中みたいな事態にはとても耐
えられないでしょうねえ。

■追伸
 さて、肝腎の結果です。予約時間に合わせて病院に行き、待合いの椅子で待っているの
はいやですねぇ。ついつい最悪の結果を予想してしまいます。そんな最悪な状態なら前も
って連絡があるはずだと思い直したり、いや待てよ。やっぱおかしいとかなんとか。

 小生の前に診療室に入ったおじさんが少し暗い顔をして出てきました。続いて「○○さ
ん」のコール。ついに順番が来ました。

 診療室に入って丸椅子に座ります。若い医師の前にはシャウカステンに大腸のX線写真。
おもむろに「ポリープが2つ見つかりました。こことここです。」が、幸い大きさは4o
と6o。「1p以上なら切除するんですが、この大きさの場合、すぐ取ってくれという人
も居られますし、様子みる人もいますよ」とくだんの医師。ポリープ全てが悪性でも無し、
小生暫く考えて答えます。「暫く様子見ますわ」

 というわけで、1年後に再診してもらい、その際、大きくなっていれば内視鏡で切除と
いうことにしたのでした。



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