東、西床尾山〜快適尾根と激登降
 
平成16年 9月21日(月)
【天候】曇りのち晴れ
【同行】別掲
821m峰に建つ山の家と東床尾山


 何処へ行こうか決めかねていた敬老の日の前日。MLの中を覗くと似たような思いをし
ている人がいるもので、掲示板に書き込みあり。何処か候補は?の問いかけに、それでは
というので、かねて気になっていた床尾山連山は如何?と提案する。それで急遽決まるの
がこのMLのいい所。忽ち8名が挙手。慌てて地形図のDL等をして資料を集める。

 当日はどんよりとした曇り空。澱んだ空気が蒸し暑い。6時過ぎ、みずさんの車にピッ
クアップしてもらって、あかげらさん、もぐさんの計4名、集合地のJR和田山駅前に向
かう。福崎から播但連絡道を北上するに従って、播但の山々には丹波は霧というよりも靄
が立ちこめ出す。360度の大展望が今日の目的地での楽しみの一つなのだが、視界の延
びは期待できそうにないようだ。

 和田山駅にはみーとさん、鴨ちゃん夫妻の赤いRVが先着していて、暫くするとたぬき
さん夫婦、見送りのやまごさんが到着。いつもながら時間に正確な低徘の面々である。(^^/

 車3台に分乗して円山川の右岸を北上し、糸井橋で東に折れる。夏の海水浴、冬の蟹で
走り慣れた道である。その際に利用する出石への抜け道を左にして、今日は更に山懐へ潜
り込む。結構奥まで集落があるものだ。次第に左右から山並みが迫ってくると、田畑も棚
田状になり、やがてそれも絶えて、売れない別荘用地を抜けると、糸井川は崖の間を急流
が白く岩を噛む峡谷を呈する様になる。不動尊の祠の奥のゴルジュにかかる不動の滝を見
て暫く、左から谷が合流する手前に、テーブルが置かれ、車も数台駐車できる路肩の広ま
った部分がある。ここが西床尾山の登山口で左から合流する谷が羅漢谷らしい。先着して
いたワゴンから降り立ったパーティは西床尾山から登る気らしく、すぐに木立の中に消え
ていった。

 久方ぶりに8人と大勢が集まった今回のオフ隊。がやがやと林道を奧へと歩いていく。
薄紫のツリフネソウが群れ咲き、アケボノソウが白い星形。ボロギクは本当に名前通りの
姿。マツカゼソウは華奢なアジアンタムにも似た葉姿を風に揺らせている。

 林道の分岐。車はここまでは入れるようだ。右はまだ工事が続く峰越林道。大カツラへ
は左の古い林道で600mとある。

峰越林道と別れて左へ。車はここまで入る

 杉林を抜けて東屋のある広場。と、前方に巨大な箒を逆さまにしたかのような大カツラ。
カツラといえば、以前、篠山は藤坂の大カツラを見物したことがあるが、こちらの方がか
なり大きい。柵が張り巡らされ、その中へは立ち入り禁止で近づくことは出来ないが、大
きさを実感するのは、むしろ遠くから眺めた姿である。樹高35m、東西南北ほぼ30m
四方はある枝張り、幹周19m、中心部の空洞は6畳敷という国指定の天然記念物。樹齢
2千年というのは大袈裟にしても千年は経ているであろう古木だ。主幹は既になく周囲に
ヒコ生えが林立しており、注連縄が張られている。風向きによってフワリとバニラに似た
芳香が感じられた。
国指定天然記念物の大カツラ

 登山道はこの大カツラの左側から橋を渡って、本格的な山道となる。マツカゼソウの群
生を抜け、暫くは右に渓流を見ながら山腹を登っていく。幾度か流れを横切り、杉林の下
を進む。あまり急坂でもないのだが、風が無く湿度が高い所為か汗がやたらに出て眼鏡が
曇る。先頭を行くみずさんがスギヒラタケの収穫に時折、立ち止まってくれるので助かる。
(^^;
大カツラの横から登山道は矢印の方向に向かう

 「助右衛門桜」の表示。沢向かいの左の斜面に山桜らしい姿。といってもそれほど大き
な木ではない。更に進むとやや開けた場所に出るが、右手は新しい林道の芝生の生えた斜
面である。左手に説明板があり「衣谷鉱山跡」とある。この一帯には金鉱脈があって、昭
和初期まで掘っていたとのこと。そういえば床尾山の「床」は鉱床、「尾」は山のこと。即
ち鉱床のある山。東にある山は鉄鈷(かなとこ)山でいずれも鉱山に関係のある名前であ
る。

 鉱山跡から10分程で分岐に出る。直進は山の家、右は尾根コース。ログハウスは西床尾
山へ縦走する際に通過するとの事なので、右の尾根コースを選択。沢と分かれて尾根に取
り付く。ところがこの尾根コースが半端ではなかった。道標に30分とあった通り、東床
尾山の南尾根を30分間ひたすら登るコースなのである。それもかなりの急斜面。時折、
ずり落ちそうになりながら一気に高度を稼ぐ。イワカガミの多い尾根で、春は咲き乱れる
花で慰められようが今は目立つほどの花は殆ど無く、黙々と登るのみ。それでも周囲の山
が低くなり、左の木の間越しに山の家の姿が眺められるようになると山頂は近いことが分
かる。何度か小憩を摂りつつ汗を拭き拭き、時たま頬を撫でる風に助けてもらいながら、
林を抜け、最後はジグザグを切り出すと潅木のない東床尾山の山頂に飛び出した。

 土止めに植えたという金糸梅が幾つか花を残している。その間を抜けて一等三角点の標
石横に立つ。が予想通り白くかすむ視界。「澄んでいればなぁ」そうであれば遮るものの
ないパノラマを欲しいままに出来るものを。少し悔しい思い。それでも丹但国境の鉄鈷山、
去年の春に歩いた夜久野町の深山、三角錐の三岳山などが東から南にかけ望める。西には
山の家のある821m標高点峰から西床尾山の稜線。北には出石の街並みが広がる。

明るい東床尾山の山頂。奧は西床尾山

 日差しが出てきた。遮る物がないのでこれは暑い。涼しいところで一服をと西へ向かう
ことにする。少し山頂から降りたところから振り返ると、岩湧山の山頂風景と少し似た感
じがした。

 広い稜線道だ。軽四輪なら十分走れるほど。昔は木を切り出していたという古い作業小
屋のピークを後にして、西南に進むと821m峰で、往路で別れた山の家コースが合流し
てくる。その南には「床嶺の家」と名づけられた立派な山小屋が立つ。そのまた南側は岩
がゴロゴロしており、その真ん中に直径10p位のコナラが1本。なかなか感じのいい場
所なのでここで早めの昼食タイム。東に先ほどまでいた東床尾山。頂に3つ白く動くのは
登山者らしい。

 暑いので恒例ラーメンは断念。(あたりまえか)たぬきさんから梨、メロンを頂き喉の
渇きを癒す。あれやこれや俎上に乗せて、1時間近くワイワイと楽しい時を過ごして12
時前、西床尾山へ向かって後半の部。あまり高低差のない幅の広い雑木の尾根が続く。木
々は雪の重みの為か、軒並み根元で曲がっている。そんな中、赤松が群生があって、庭に
でも植えたいような枝振りのよい赤松もある。781m標高点峰の手前は桧林。やや踏み
跡は薄くなるが、それは皆があちこち歩き回る為だろう。そして781m峰には松の倒木。
この頃になると、遠かった西床尾山が徐々に近づいて来るのが分かる。

両床尾山の間は快適稜線が続く

 芝栗のイガが一杯落ちている。中身のないのは動物が食べたらしい。この辺りは動物の
豊富な領域の様で、床嶺の家付近ではアカゲラさんがリスの食べかす、通称「エビの尻尾」
を見つけている。

 西床尾山手前の急登が始まる手前で小休止を摂った後、最後の登りにかかる。凡そ60
mの標高差だからそれほどしんどくもない。山頂に着くと先着の数人の小父さんグループ
が食事中であった。

 こちらは東床尾山よりも僅かに高いが、東床尾山から山小屋、歩いてきた稜線が一望で
きる北東方面を除いて木々に阻まれて展望は良くない。しかし落ち着ける場所だ。無線組
は頻りに交信。岡山県に近い植松山のOAPさんからのクリアな声が聞こえる。

羅漢谷へは尾根を急降下

 羅漢谷へはテープに従って降る。(奥山、朝日への道もあるが未整備とあった)いきな
りの急降下だ。尾根の先端を目指して植林の桧にすがって降りていく。メンバの中には何
度が尻セードした人もいるようだ。こちらを登路に採るとかなりしんどいだろう。やがて
沢の音が下から湧き上がって来だすと、左の沢に水の流れが認められるようになる。沢か
らはようやく急降下も収まって歩きも楽になる。それにしても東西両床尾山とも共通する
のは最初は谷沿い、最後に尾根に出て急登するパターンの道であることである。ここでも
何度か沢を渡り返す。殆ど崩壊した古い炭焼き窯跡を抜け、鉱口がポッカリと口を開ける
箇所を過ぎると、間もなく精錬所跡。自然石の石垣が雑木に半ば隠れて見え、今歩いてい
る道も今は荒れているものの、石垣で補強されてあり、鉱石かなんぞを搬出した道である
ことが分かる。その間、支沢の流れを集めて羅漢谷の流れも大分豊かになり、所々に懸か
る小さな滝を見ながら下っていけば駐車地まではすぐであった。

金鉱の廃坑。右に羅漢谷の流れ

西床尾山登山口へ出てくる

 谷川に下りて顔を洗う。冷たくて気持ちがいい。着替えを済ましテーブルに座ると、た
ぬきさんから黒豆パン。いつもの店が閉店とかで黒豆の量が減った由。それでも十分美味
しゅうございました。m(_ _)m

 急遽にも関わらず、久しぶりに盛況のミニオフはここでお開き。成る程、近百に選ばれ
るだけあって、雑木の美しい山でありました。参加の皆さん有難うございました。



■同行 あかげらさん、加茂ちゃん、たぬきさん夫婦、みずさん、みーとさん、もぐさん
    (五十音順)

【タイムチャート】
6:00自宅発
8:20〜8:35羅漢谷出合(西床尾山登山口(駐車地))
8:47糸井の大カツラ分岐
9:57〜9:03糸井の大カツラ
9:17助右衛門桜
9:22鉱山跡
9:40山の家コース分岐
10:10〜10:16東床尾山(839.1m 一等三角点)
10:25〜10:27作業小屋のピーク(Ca820m)
10:38821mピーク
10:40〜11:25床嶺の家
11:52721mピーク
12:12〜12:35西床尾山(843m)
12:57〜13:10炭焼窯跡
13:18廃坑跡
13:40羅漢谷出合(西床尾山登山口(駐車地))


東床尾山のデータ
【所在地】兵庫県朝来郡和田山町、出石郡出石町、但東町
【標高】839.1m(一等三角点)
【備考】 朝来郡、出石郡を隔てる山塊にあり、標高では西床尾山
に譲りますが、山頂の展望は360度の大パノラマで、
氷ノ山、大江山、三岳山、粟鹿山、久見浜湾から日本海
迄が見渡せるという贅沢さです。東床尾山から西床尾山
に続く雑木尾根の縦走がお薦めですが、交通の便が悪く、
マイカー登山が便利です。
■近畿百名山■関西百名山
【参考】2.5万図『直方』、『出石』



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