深まる秋に高見山
 
平成16年10月24日(日)
【天候】曇り時々晴れ
【同行】長女
高見山山頂の高角神社前にて


 「明日、山行くの?」長女からの突然の問い。
「ああ、行くけど。なんで?」
「私も行く」
どういう風の吹き回しか、長女が山について来るという。理由はダイエット。まあ理由は
何であれその意気込みや良し。(^^)/

 当初は別の所へ行くつもりだったけれども、長女の為に初心者向きだけど山歩きが堪能
できて、なおかつ展望もいい山ということで、小生も山を始めた頃に初めて遠征?した高
見山にターゲットを変更。残念ながらガスが出て展望は思うに任せなかったが、下山後の
「たかすみ温泉」も含めて、長女はそれなりに楽しんでいたようだ。でも、最初にしては
少々きつかったか、筋肉痛に悩んでいたようだから、またつきあってくれるか否かはヤブ
の中だなぁ・・・。(^^ゝ

 少し遅めに7時半過ぎ出発。行楽日和にもかかわらず順調に走る。R166に出て、木
津トンネルを抜けると近畿のマッターホルンの異名をとる高見山がその三角錐の姿を見せ
る。
「今日登るのあれや」
「・・・。」
見た目ほどはきつくないのだが、少しびびったみたい。(笑)

 高見山にはこれで3度目ながら、今回は小生も初めての平野コースを選択。「たかすみ
温泉」の看板を目印に下平野方面へ左折する。平野川の清流沿いに10分程遡れば、下平
野バス停。その前に数台駐車できるスペースがある。

平野川に架かる丹ノ浦橋を渡って左へ

 準備を終えて民家の間を抜けて、平野川に架かる赤い丹ノ浦橋を渡る。左に折れると、
民家の左に「平野登山口」の標識があって、湿った植林の下、小さな沢沿いに1m幅の小
径が伸びている。

 稲妻型に高度を稼いでいく。丸太で補強された階段道だ。時折見かけるのはセンブリや
ヨメナの白い花。その間、砂防堰堤を二つ右手に見る。長女はどんどん先に行ってしまう。
高見山の山頂までは3.1q。
「あんまり飛ばすと後でバテるでぇ」

良く手入れされた杉林を行く

 山腹を辿るようになると、右下深くに聞こえていた谷川(大谷)の音が徐々に近づいて
くる。それがやがて目の前の流れとなって現れると、橋がある。人影に驚いたか10cm位
の小魚が素早く岩陰に隠れた。クマザサと渓流とよく手入れされた植林の道が尚も続く。
沢音と小鳥の声のみの静かな場所だ。その人工林の中に別格の主のような黒い杉が立って
いる。高見杉といわれる樹齢700年の杉だ。ここは周囲を尾根で囲まれ、幾筋かの沢が
集まってくる盆地のような形状をしている為、大風などから護られてきたのであろう。根
元の周囲を柵で囲って保護してあるが、まだまだ樹勢は旺盛らしく見受けられた。
「幾星霜 在りて床しき高見杉 夢千年の 昔を語る」

 杉の横の避難小屋で一服。丸太を組み合わせたベンチがある。水分の補給と杉をバック
に記念撮影だ。
高見杉をバックに記念撮影

 ようやく山道らしくなってきた。沢と沢の間に支尾根があるのでそれを登っていくのか
なと思えばそうでもない。コアジサイとクマザサの間の道を進むと再び沢に出、今度は橋
が無く渡渉することになる。渡って作業小屋の横を抜けると、今度は本当に支尾根へ取り
付く道となった。大小の石がゴロゴロする道はやや歩きにくい。所々にある杉の切り株に
白く目立つのは今話題のスギヒラタケ。腎臓はとりあえず正常なので、ちょっと失敬しな
がら歩く。

 いつしか辺りはアカマツ、リョウブ、アセビ、コナラなどが混ざる雑木林となって、少
し傾斜が緩んだ所からは、やっと左斜め向こうに高見山の姿が眺められるようになる。更
に一登りすれば道は自然に左へ曲がるが、前方に白い標識があるのでそのまま直進すると、
それは『乳岩』の説明板で、その左の鞍部が見覚えある小峠コースとの出合いであった。

 息子岩、国見岩、揺岩と登るに従って、次々に説明板が現れる。国見岩に登ってみる。
立ち木に邪魔されてよくは見えないが、それでも谷向こうの山は識別できる。でも神武天
皇の頃は、当然もっと原生林であったろうから国見は難しかったに違いない。(笑)

 標高1000mを越えるとヒメシャラの赤いすべすべした幹が目立つようになる。そん
な中、直径40cmはあろうかという大きな双幹のアカマツの片方が、無残にも折れて登山
道を遮っているのに出くわす。この前の台風の所為だろうか。台風といえば、今年は木々
の葉がカサカサとして、精彩がないような気がするが、その葉自体が風に吹き飛ばされて
少ない様子。今年は錦秋を飾るというわけには行かないように思える。

 笛吹岩は小生が初めて登った時も感動ものであったが、長女にも一寸したものであった
らしい。大峠への車道やR166を走る車を眼下に、重畳とした台高の眺めにびっくりし
ていた。

 笛吹岩から山頂までは一登り。まもなく展望台やヤタ烏を祀る高角神社が見えてくる。
ところが運悪く、山頂に着いたのと一にして、ガスが山頂を覆いだした。高角神社裏の三
角点付近から見えるはずの曽爾高原方面は真っ白だ。かろうじて西北の平野の集落が小さ
く眺められる。あそこから登ってきたと教えると、長女はしきりに感心していた雰囲気。

 些かシャリバテ、風を避けて北側の斜面に2m程下ってお昼にする。ガスが頭上を凄い
スピードで通り抜けていくが、不思議なもので、少し風下の山陰に入ると風がない。カッ
プ麺が美味い。ふと見るとコンビニで買った助六寿司は殆ど残っていなかった。今日は単
独行ではなかったのだ。とほほ。

 しばらく展望台でガスが晴れるのを待つが、南西方向、台高の薊岳、大峰の大天井岳、
大普賢岳らしき姿が時折垣間見える程度で、東側は全く白いベールの向こう側。ガス状の
水蒸気が顔に当たって痛い。急に気温も低下したみたいで少々寒い。これは温泉で温もら
ないと...。(^^;
明神平方面。ガスは晴れる気配もなく。

 というわけで、長女を促して下山にかかる。大峠周りで帰るかと訊くと、楽な方だと給
う。大峠経由だと、小峠からの登り返しがきついのでここは大人しくピストンとする。

 下りながら気づいたが、南面は前述した如く葉が落ちて空けたようになっているか、ま
だ緑の葉をしているかのどちらかだが、北面はそれほどでもなく、綺麗に色づき始めてい
るものもある。
色づきはじめた高見山北面

 登りではスイスイと登っていった長女も、下りは不得手なのか些か遅れ気味。大分、膝
が笑っているらしい。休憩を適度に取って降りることにする。日差しが出てきたので、振
り返ると、山頂付近は依然としてガスの中。早まったかと後悔しなくて済んで一安心。

 結局、平野コースを採ったのは我々だけだったらしい。小峠の往還は誰にも会わずであ
りました。赤飯お結びをおやつ代わりに食べて、さて、温泉に行くとするか。
 
 たかすみ温泉には2回目。今日は適当に空いていて露天風呂にはゆっくり浸かることが
できた。ロビーのTVでは新潟地震の現場。風呂でゆっくりしているのが何だか少し悪い
ような・・・。

 帰途、杉谷へ回り道して売店の草餅を狙うも残念ながら売切れ。
「しゃあないなぁ。」


【タイムチャート】
7:40自宅発
9:33〜9:35下平野バス停前(駐車地)
9:58第二砂防堰堤
10:25〜10:35高見杉
11:00〜11:05杉谷平野分かれ
11:20〜11:25国見岩
11:40〜11:45笛吹岩
11:53〜12:50高見山(1248.3m、二等三角点、昼食)
13:10国見岩
13:22杉谷平野分かれ
13:45〜13:50高見杉
14:25下平野バス停前(駐車地)


高見山のデータ
高見山〜錦秋の台高』をご覧下さい
【参考】エアリアマップ『大台ヶ原・大杉谷・高見山』



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