寄り道しつつ中山縦走路 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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中山縦走路から向井山 |
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行き先を直前まで決めかねている時に時々訪れる中山。北摂では最もポピュラーなコー スの一つだけれど、駅からも近く、阪急の清荒神や山本、JRの武田尾と繋げば、相応の 歩き応えが得られる山域でもある。今回は適当に寄り道しながら、縦走路を山本まで歩こ うという趣向。終わってみれば師走とは思えない暖かさの中、総歩数は1万8千。結構充 実感のある山歩きができたのでありました。 近場だからという思いが多分にあったようで、もっと早く出るつもりがなんのかんのと。 挙句は10時半過ぎの遅い出発。いつもの様に阪急中山駅前の駐車場へ車を置く。駐車3 時間超は千円だったはずだが、今日は7百円。値下げしたのか、まあこの位がリズナブル でしょう。(^^; 今日も岩田帯を授かりに、また、安産のお礼にと赤ちゃんを抱いた夫婦連れが多い。そ ういえば小生も何回か来たなぁ。娘の七五三もここで祝ったっけ。ついこの間のような気 もするが、その娘も今年は成人式だった。 石段を登って左に折れ、信徒会館の横から奥の院の参道が延びている。足洗川を渡って 卜部左近の墓の前を抜け、セメント舗装の階段道をしばらく登れば、見晴らしのよい明る い尾根道になる。歩く度に落ち葉がカサコソ。丁毎に前垂れや帽子を着せてもらった石仏 達がこちらを眺めている。夫婦岩公園ではハイカーがあちこちで昼食の真っ最中。そうい えばもう正午なのだった。
と決めていたわけでもないので、今日はこの道を辿ってみることにする。 くねくねと尾根から下っていく道は直ぐに分岐。山懐へ向かいそうな左を選択する。シ ダが茂り、林の中でやや暗い道は徐々に下っていき、何処まで下るのかやや不安になる頃、 左の茂みの奥に堰堤が現れる。(堰堤方向に踏み跡がある)それを左に見て流れを渡ると、 道は右に曲がって行き、50mも進むと道標の立つT字路に出た。山頂展望所1.7km、 中山 1.6kmとある。どうも梅林の広場から繋がる道らしい。ここを左に折れると、ま た堰堤がある。ここでも左へ道が分岐するが、ひたすら足洗川を絡みながら登っていく。 聖徳太子の馬の脚を洗ったのでその名がついたという足洗川は遡るに従って、時々小さな 滝を懸けながら徐々に水量を減らしていく。その間、落葉樹が主体の明るい場所、常緑樹 が多いやや鬱蒼とした場所、そうかと思えばやぶ椿がぽっぽっという感じで咲いている所 など、なかなか変化のあるコースだ。時々、東尾根コースへの分岐点が出てくるが、そち らも一度近い内に歩いてみたい。
にガードレール。何のことはない。中山桜台の最上部に位置する住宅街なのだった。幻滅。 幸い、コースは谷から住宅街とは逆の左の斜面へ登りだす。こちらはツツジや松主体の明 るい南斜面。登るに従って、振り向けば市街地が大きく眼下に広がる。額が汗ばむ頃、傾 斜は収まって、何やら石碑が目に入る。天宮塚。昭和10年建立とある。聖徳太子の修行 地だそうだ。天宮塚のある山は下から見れば綺麗な円錐形をしているとのことなので、一 種、神奈備山でもあったのだろう。それと太子伝説が融合した感じだ。
ぐに山頂展望所。流石にこちらはすれ違うハイカーが多い。右手にこれから延々と続くフ ェンス。一寸無粋なので、適当な所で見つけた脇道に避ける。これがまた細いがいい道。た だ、山腹を巻きながら少しずつ高度を落としていくのがやや不安。これまた適当な所で斜 面を登らねばと注意していたら、小さなテープと直上している細い踏み跡。張り出す雑木 の枝を腕で払いのけながら登っていくと、中山最高峰と思いきや、その直ぐ北の赤土のザ レたコブ山だった。あらぬ方向からの闖入者に、憩っていた小母さん2人がびっくりして いた。
食を始める。やや風が出てきて寒い。30分ほどで食事を終えて縦走路へ向かうことにし た。 相変わらず無粋なフェンスだ。左右両側にある。これさえなければ雑木の回廊なのにな ぁ。徐々に高度を落としながら1Kmばかり進むと、左側のフェンスが途切れ、展望台地に 立つ高圧鉄塔が見えてくる。そろそろこの辺りかな、左側を注意していると、赤テープの ぶら下がった明快な踏み跡が見つかった。関電の巡視道らしいが火の用心の標識はない。 これらしいと当たりを付けて踏み込んでみる。 小さな沢の源頭を抜けると、後は山腹をトラバース気味に巻いていく。枯葉の絨毯が敷 き詰められた小気味良い道だ。徐々に左にカーブすると前方に大きな赤白鉄塔が現れる。 左上部はゴルフ場らしく、頭上の茂みの向こうに東屋のような、物置のようなくすんだ建 物が見える。その建物の横、赤白鉄塔のある付近が向井山の最高峰らしいが、残念ながら フェンスで囲まれ近づくことが出来ない。更にそのフェンス沿いに進む。するとまた明快 な踏み跡(巡視路)が現れ、右前方には別系統の高圧鉄塔を肩に乗せたピークが望まれる。 どうもその峰が三角点峰らしい。巡視路はその鉄塔まで行きつくと次第に下りだし、三角 点峰の山裾へと降りていく。暫く辿るも三角点峰への取り付きはなさそうなので、引き返 して、とりあえず鉄塔の足元の広場に登ってみる。 枯れたカヤトの茂みの向こう。三角点峰はヤブのようだなぁと思案していると、カヤト の何となく薄い部分がある。踏み込んでみると、おや?薄い踏み跡があるではないか。く すんだ古い赤テープも見つかった。間違いないというわけでテープを追う。そのお蔭でや や鋭角にジグザグに曲がる部分もあるが、難なく四等三角点に到着することが出来た。こ こもどういうわけか国土地理院が処分保留としている三角点であるが、細い雑木に三角点 到達を示すテープが巻かれてあるだけの簡素な山頂である。向井山は北側から見ると急斜 面の山であるだけに展望を期待するが、周囲はヤブで展望皆無だ。しかしながら先程のカ ヤトの広場からは北から東にかけての展望がよく、ゴルフ場から川西のニュータウン、高 代寺山や妙見山が見渡せた。
高圧鉄塔の展望台地からが中山縦走路のハイライト。左右に展開する眺望を少し紹介する と、阪神市街の向こうに大阪湾。大阪空港の滑走路を飛び立つ旅客機。六甲山系に中山連 山。北には北摂の主な山。とまあ、なかなかのものだ。 幾度かのアップダウンをこなしてようやく満願寺西山のピーク。ゴルフ場のフェアウェ イに近い手前の鞍部ではロストボールが転がっているのを発見。くわばらくわばら。 3時半過ぎ。夏なら暑い盛りだけれど、まもなく冬至を迎えることとて、何となくもう 夕暮れ間近の如く薄暗い。大阪空港の滑走路は早くもオレンジ色のライトが煌々と灯され ている。今しも一機のジェット機が着陸の態勢に入った。 あの山火事から3年近く。大分緑も回復してきているけれど、炭化して黒ずんだ松の立 ち木はなんだか墓標のようだ。「火の用心、山が泣いています」の立て看板が鉄塔のフェ ンスに括ってある。原因はどうせハイカーの煙草のポイ捨てに違いない。折角、いい空気 を吸いに山に来てまで「煙草を吸うな!」といいたいところだが、かくいう小生も禁煙す る前は、山でも吸っていたのよねぇ。(^^ゝ。 眼下に新興住宅地の居並ぶ甍を見ながら、岩の斜面を下るのも変な感じ。だが滑ると大 怪我の可能性もある。足元に注意しながら慎重に下ると満願寺と山本を結ぶ峠だ。 峠を西に、低い里山を越える不動明王の参道もなかなか風情があったのだが、しばらく 来ない間に新しい砂防堰堤ができていて、何だか公園の中の遊歩道然とした雰囲気に変わ っていたのには少し惜しい気がする。そうして、うすい暮色が西の空に現れだした頃、阪 急の山本駅はすぐそこであった。寄り道しつつの中山。色々探検すると面白い里山であり ました。
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