台風前にフラリと能勢妙見山
 
平成16年 8月29日(日)
【天候】曇り時々晴れ
【同行】単独
ケーブル黒川駅近くに架かる大堂越のプレート


 台風の影響であまり芳しくない予報が出ていた週末であったが、土曜そして今日と、そ
んな予報に反して、風は強いものの青空も出るまずまずの天気。てっきり悪天を予想して
いたから行く当てもない。でもこのままじゃ勿体無いしなぁ。というわけで、久方ぶりに
能勢の妙見山へフラッと出掛けたのでありました。

 家を出たのは正午前。1時間程走って黒川のケーブル前の駐車場に車を置く。今日は大
堂越経由で登り、上杉尾根で下ってくるという趣向。大堂越にコース標識はないが、ケー
ブルの駅の向かって左側が起点だ。早速準備を整えて歩き出す。丁度降りてきたケーブル
カーの窓から顔を出していた小父さんと目が合う。「この蒸し暑いのになぁ」、「へぇ、
あんなとこから歩けるの?」という二つの気持ちが入り混じったような表情である。

 一軒の平屋の家屋の前から水枯れの谷を渡って、右岸沿いに登っていく。この道は黒川
と野間を結ぶ峠道で、左手には野面積みの石垣があり、昔からよく歩かれていたであろう
風情を残している。その付近の右手の木の枝に「大堂越」と書かれた小さなプレート(冒
頭画像)。足元には咲き遅れの色あせたキンポウゲ。

 「昭和31年 大堂堰堤 兵庫縣」と銘板にある堰堤、そして奥大堂堰堤、更にもう一
つの堰堤を過ぎ、左から合流する沢に掛かる橋を渡ると、樹林の中の道となる。炭焼き窯
の跡を左手に見る。台場クヌギがそこかしこに。

 やがて石が転がる沢自体が道となった後に、その沢も薄れてくると、周囲は下生えのな
い杉桧の植林になる。その中をゆるゆると登りきれば、勢いのない笹に囲まれた大堂越の
峠である。
大堂越の峠。奧は黒川へ、左は妙見、
右は「振野」へ

 ここまで以前歩いた時より手入れされている感じだったが、この峠もそう思える。どう
も笹が枯れて下草が少ない所為らしい。以前は道らしきものがなかった三角点峰『振野』
へも踏み跡が出来ていた。

 涼しい風が吹き抜けて気持ちよい。流れた汗もスーッと乾いていく。暫くその風に吹か
れることにした。その間に単独小父さんが妙見山方向から下りてきて黒川へ歩いて行かれ
た。

 ここから妙見山へは雑木の中のつづら折れを登る。高く見えた隣の「振野」がだんだん
同じ高さに見えてきて、つづら折れの間隔がだんだん短くなってくると林道に飛び出す。
その林道を100mも歩けば、山上とケーブル駅を結ぶ道に飛び出す。道端に今年初めて
見るツリガネニンジンの花。

 山頂の方に向かっていけば墓地があって、北側の展望がよい。ここから見る剣尾山は、
のっぺりした横尾山に比べてなかなか姿が良い。あの僧兵に似た岩も見える。R173の
「はらがたわ」に向かう手前の赤い陸橋。高岳、大野山等、北摂のお馴染みの山がずらり
と並んで壮観だ。双眼鏡を出して暫く眺める。

墓地付近から妙見山頂。鉄塔奧に「星嶺」がある

 観光リフトの終点を右に見て車道を進む。下から新滝道が上がってきて、山陽自然歩道
の起点で合流するとそこは妙見宮の鳥居前の広場である。「兵庫県最東端の民家」と表示
のある茶店で缶ビールを買い(そういえば前回もここでビール買ったなぁ)、「星嶺」の
横の展望台のベンチに座って大休止とした。

 こちらからは阪神間の展望がよい。台風による強風で好展望が得られるだろうと予想し
たのであるが、あにはからんや、湿度が高い所為か白く霞んで期待ほどでもない。それで
も天台山、光明山やゴルフ場のある石堂ヶ岡から箕面、五月山など北摂の山並みの彼方に、
金剛から和泉山脈にかけて、更に六甲や大阪市街の向こうには大阪湾に浮かぶ船も見られ
る。涼風に吹かれ、缶ビール片手に暫し鳥になった気分である。

 小1時間の休憩の後は、妙見宮境内をぐるっと巡って再び参道に戻る。つぶれた廃屋も
暫く来ぬ間に更地になっていた。

 駐車場を突っ切り、尾根道の標識のある所から上杉尾根を下る。笹が刈り払われ、快適
な尾根道。左は初谷、右は新滝道のある谷である。妙見宮の崩れた御神塔の石や、大阪府・
兵庫県の府県境を現す金属標識などを見つけながら緩傾斜の尾根を下っていく。カラスザ
ンショウの大木のある八丁茶屋跡を過ぎ、天保時代のこれも崩れた御神塔を見る頃から、
少し坂は厳しくなる。この辺り、参道の古さを物語る深くえぐれた道である。

上杉尾根にある妙見宮の御神塔の残骸。
古い参道であることを示す

 ほんの1m先の木陰から突然羽ばたいたホトトギス科らしい鳥に肝をつぶしながら先を
急げば、トーテムポールに似た神像が祀られた祠から豊能町の水道施設横の登山口は間も
なく。白いセンニンソウの花が目立つコンクリ道で民家の庭の前を抜けるとR477に飛
び出す。ここから北へ、ケーブル黒川駅までは凡そ200mである。

 いつしかセミも主役はツクツクホウシ。ケーブル駅前の売店には早や栗が売られている。
暑い中にも何となく秋を感じる北摂山歩でした。


【タイムチャート】
11:45自宅発
13:00〜13:05ケーブル黒川駅駐車場
13:30〜13:40大堂越の峠(406m)
13:53林道出合
14:20〜15:00「星嶺」横の展望台
15:10上杉尾根コース
15:35八丁茶屋跡
15:55国道出合
16:00ケーブル黒川駅駐車場


妙見山のデータ
【所在地】大阪府豊能郡能勢町
【標高】660m(四等三角点)
【備考】汗だくの妙見山』等をご覧下さい。
【参考】エアリアマップ『北摂の山々』



   トップページに戻る

inserted by FC2 system