貴公子花紀行〜金剛山で貴婦人に逢う
平成16年 5月 8日(土)
【天候】晴れ
【同行】単独
咲き始めたクリンソウ


 子供の日に訪れた伊吹北尾根では、前日の雨でヤマシャクヤクの花が見られず仕舞。そ
こへ金剛山から開花情報。渡りに舟と二年ぶりに貴婦人との対面を果たしてきました。

 いざ出発という時になって、「あれ?車の鍵?」何とか見つけたら今度は「カメラの予
備電池は?」といつもながらのドタバタ。なんだかんだと時間だけが過ぎていき、漸く7
時半過ぎに出発である。フーッ。

 いい天気だ。少し暑くなりそうだとカーラジオの予報。いつもの様にシイタケセンター
(まつまさ)の前の駐車場に入ろうと思ったが、一寸出遅れて満車かなと、金剛山登山口
バス停前にある茶店付属の駐車場に入れる。(実際はそうでもなかった)

 茶店のおばあさんと立ち話。
「この頃、天気不順だんなぁ。暑うなったり寒なったりなぁ。年寄りには堪えますわ」
「そうですねぇ。明日は雨で気温ぐーっと低くなるみたいですよ」
「そうだっかぁ、風邪ひかんようにせんとなぁ。年寄りは治り難いよって」
こんな四方山話もいいもんだ。

 シイタケセンター横を過ぎ、千早本道と別れて左の林道を登っていく。エンゴサクやキ
ンポウゲが咲き誇っている中を、林道ゲートを越え、コンクリート橋を渡って右にと登っ
ていく。土石流防止堰堤を過ぎ、もう一度コンクリート橋を渡る。歩いていると日向は流
石に暑い。もう額には汗が滲むが、植林帯の日陰に入ると、空気が乾燥しているからか涼
しい。横を流れる沢音が心地よい。

 いつしか地道になると、林道長谷空谷線を分けて間もなく、黒栂道との分岐の突き当た
りである。右に曲がっていよいよカトラ谷。

 2年前に沢中の倒木上で咲いていたクリンソウの姿がない。枯れたのか、流されたのか
はたまた盗掘されたのか。ちょっと心配。

 花崗岩質の明るい谷をゆっくりと登っていく。そろそろ花々が目立ちだした。鮮やかな
黄色い花。キジムシロかと思えばツルキンバイである。少し形の悪いニリンソウがある。

 何度も流れを渡り返していくに従って、谷は徐々に険しさを増していく。小さな滝の左
にはロープがあるが、使うほどのこともない。倒木が累積する場所は右岸に巻き道。そし
てカトラ谷最大の滝は右手に巻くが、ここはロープがないと少し登るのに苦労するところ
だ。路肩の崖っぷちに白い花が沢山咲いているのを見つける。葉の切れ具合からみてイチ
リンソウだ。しかも別嬪揃いときている。これは撮らねば。ユキザサも「撮ってくれろ」
と横で咲いていたのでこれもカメラに納めておく。

 二股の谷の右側沿いに登れば直ぐに水場に出る。備え付けのコップで水を汲み一息つく。
ところで今日は出会う人が少ないようだ。この先もと思っていたら例の花園ではやっぱり
結構な人出でありました。(笑)

 古い堰堤の上に出る。この辺りから花が多くなる。堰堤で堰き止められた土砂が育んだ
のであろう。ニリンソウ、コバイケイソウ、ユキザサ、ヤマエンゴサク、ミヤマハコベ。
まずはクリンソウを愛でに。

 少し時期が早いようではあったけれども、それでも数本が紫がかった紅い花の環を何重
にも掲げている。園芸種かと見まごうばかりの姿である。サクラソウ科の花々は清楚でそ
れでいて豪華でいいものだ。

 続いてお目当ての貴婦人ヤマシャクヤク。ニリンソウのお花畑は広大だ。大阪にこれ程
の規模で残っているのは他には無いであろう。それからの小生は、花から花へと渡り歩く
蝶さながらに、あちらこちらと渡り歩くのでありました。

 国見城址の広場はさすがに人が多い。金剛桜は盛りを過ぎて、八重桜が見ごろを迎えて
いる。転法輪寺の方から法螺貝の音が響いて来る。練成会の事務所の前に肥満犬。まるで
ボンレスハムみたいな格好だ。よたよたと寄ってきてはまたふらふらと軒下へ戻って寝転
がった。

 売店で缶ビールを買って、国見城址の広場の下手、井戸のある広場の八重桜の下にある
ベンチが空いていたので早めの食事とした。食後のコーヒーを飲んだ後、12時に近づくに
つれて、次々と上がってくるハイカーで徐々に混み始めた広場を後にする。

 下山は高畑谷を降りることにした。城址の広場を右に見て、井戸のある広場を出ると、
左右に道は別れ、右を降りていくと往路と同じカトラ谷へ出るようだ。ここは左にとると
すぐに見覚えある六地蔵、木立の中に小さな墓地がある。ここは以前、カトラ谷から登っ
てきたのだった。太いブナの木や熊笹の茂る原を抜けると、一帯は人工林となり、広い尾
根沿いに下る道となる。その突端付近で分岐があり、右の雑木林へ下りていく踏み跡があ
る。後で聞いたところによると松の木道と呼ぶそうだが、ここも無難に左の道を採る。

 木の根道を急降下すると、水場。樋を伝って流れる清水を飲んだが結構うまい水だ。こ
の辺りから左の沢に沿った道となって、小さいけれど岩縁りを伝うところもある。

 道というよりも沢の中の石を伝い歩けば、小さな滝が出てきたりで、夏は納涼コースだ
ろう。更に降りると再び分岐。左は登っていくような雰囲気があったのでここは右を選択
した。左は、これも後刻聞いたところによるとツツジ尾谷コースと呼ばれるものらしい。

 やがて再び植林帯となると、前方に白っぽい建物が木の間隠れに現れる。千早赤阪村の
配水所の建物で、道なりに左に行けば往路の林道ゲートはすぐであった。

 今日も名物豆腐を土産に買って帰る。これを肴にビールで晩酌。筍も400円で売って
いたけれど、これも買うべきだったかな?皐月の空の下、花巡り。お目当てのヤマシャク
ヤクにも会えたし、ハナイカダにも邂逅してなかなか充実の半日でした。


■花々の写真集金剛山の花園を見る


【タイムチャート】
7:35自宅発
8:45〜8:55金剛山登山口バス停横(駐車地)
9:05林道ゲート前
9:25黒栂道分岐
9:55水場
10:00〜10:55花鑑賞
11:02青崩道合流
11:05国見城址
11:15〜11:55山頂広場(昼食)
12:22水場
12:35分岐
12:47林道ゲート前
13:00金剛山登山口バス停横(駐車地)


金剛山のデータ
       青葉輝く金剛山』を参照下さい
【参考】金剛葛城自然歩道ダイヤモンドトレール地図



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