滝見の湯〜勝浦温泉
平成16年 3月27日(土)
天候: 晴れ
同行: 家族全員
庭園露天風呂『滝見の湯』全景



前略

 だいぶ春めいてきましたね。花粉症のほうは大丈夫でしょうか。

 さて、今回の温泉探訪は一寸勝手が違っていまして、いつもの日帰りではなく、なんと
一泊旅行なのであります。目的地は暖かい所ということで南紀の勝浦温泉。

 今回は五条から紀伊半島を縦断しましたが、海沿いでも山越えでも勝浦は遠いですね。
まあ、山が笑う季節ですからカーブを曲がるごとに萌え出ずる木々の枝や山桜がホワーッ
と現れ、長丁場の山岳ドライブも楽しかったですが。

 適当に寄り道なんぞして、宿の『かつうら御苑』には4時半頃到着。部屋に案内しても
らって一服した後は、早速、お目当ての浴場に直行。夕食前に一風呂浴びて、腹を減らし
ておきませんとねぇ。(笑)

 浴場は二階。エレベータで降りて、云われた通りにずんずん行きますと真正面に赤い暖
簾。「あれかいな」と勇んで近づいていくと「もしもし」と声がかかる。「ほい?何でし
ょう」と怪訝な顔で声のする方を見やると、係りのおばさん。
「男湯はそっち、こっちは女湯ですけど」
おっと。デジカメも持っていましたから変に怪しまれたかも。危うくセーフでした。(^^;;

 暖簾を潜るとガラス戸の向こうに庭園露天風呂、そしてパッと海と緑の山が広がります。
脱衣場と浴場の片方が全面にガラス戸なのです。そそくさと服を脱衣籠に放り込んで、早
速、露天風呂へ向かいました。

 庭園露天風呂とでもいいますか、所々に石と松が配された中に10人以上は入れそうなの
と、四人位の小ぶりなのと二つの露天風呂があります。小さい方は少々ぬるめです。大き
い方には東屋が被せてあって、雨でも大丈夫なようになっています。湯は無色透明、さら
っとした感触、味も殆どないですね。ただ、微かに硫黄臭がありました。

 さて、この湯は別名『滝見の湯』と呼ばれています。その由縁を書いた展望図が立てて
あります。それによるとここから那智の滝が見えるそうなのです。妙法山、那智山、大雲
取山、烏帽子山、光ヶ峰の間に見えるとありましたが、夕刻近くでおまけに山陰にあると
あって、確認できませんでした。それで、まあ、人口に膾炙するとでもいうか、万人知る
ところの滝にあやかった名前をつけたのかなとも思いましたが、翌日、朝風呂と洒落込ん
だところ、今度は朝日に山の隅々まで照らされた為か、妙法山の右の方、山肌の禿げて見
える部分の右端に、一筋の白い帯が垂らされているように見えるではありませんか。ほん
とに那智の滝が見えたのでした。尤も、下半分は前衛の山に邪魔されて見えませんが、落
ち口から1/3程度が拝めました。なるほど、仲居のおねえさんも「ちょこっと見えます」
と云ってましたが、名前にうそ偽りはなかったのですね。

 体が火照ると大石の上にあがって、景色を眺めます。那智湾の向こうに朱塗りの那智駅。
白須鼻や駒が崎に打ち寄せる白い波を望見します。春霞のやや白っぽい青空に赤みが混ざ
り始めてきましたが、この明るい中で風呂に入るのは格別の趣ですね。岩の間の平戸ツツ
ジがもう花を開いて流石、南紀だという思いを新たにしながら、最後にもう一浸かりして
上がりました。(尚、浴場には露天風呂のほかに室内に大浴槽があります。)

 ああ、風呂上りのビールが待ち遠しい。因みにこの風呂、宿泊客でなくとも料金を払え
ば日帰り入浴できるようです。勝浦には結構、そんな旅館が多くていいですね。それでは
また。

草々 

 勝浦温泉『滝見の湯』のデータ
【所在地】和歌山県東牟婁郡那智勝浦町北浜
【泉質】単純硫黄泉
【温度】36℃
【効能】神経痛、凍傷、高血圧、糖尿病、婦人病など
【備考】 勝浦温泉の旅館「かつうら御苑」内の温泉です。庭園露
天風呂からは那智湾が見渡せ、はるか那智の滝も望めま
す。旅館併設ですが、日帰り入浴も可能です。
TEL 0735−52−0333



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