晩秋に遊ぶ裏六甲地獄谷から森林公園
 
平成16年11月14日(日)
【天候】曇り
【同行】別掲
森林公園の長谷池は正に錦繍


 Naさんの裏庭を巡ってみませんかとのお誘いに乗って、この日曜日は裏六甲の地獄谷
から森林公園へ。今年は台風の当たり年で、紅葉は例年に比べると物足りない年ではある
が、それでも谷筋などで、ハッとするような鮮やかな色に出会え、期待以上の充実の一日
となったのでした。

 考えてみれば、六甲へは今迄余り足を向けていないのだが、向ければ向けたで裏六甲ば
かり。(笑) それだから、六甲には裏にも表にも地獄谷があることさえも知らなかった六
甲音痴。岩登りもあるのかなと、電車待ちの谷上駅でMさんに聞いてみたらそれは「表」
で、今日は沢歩きと森林公園をセットにした紅葉狩りがメインだそうだ。Noさんに差し
入れ頂いた「黒牛」の「冷や」もあるし、昼食時が楽しみとは、遠い昔の遠足気分を思い
出す。(^^;

 久しぶりに足は電車。約束通り7:04、江坂発の地下鉄乗車。が、梅田駅でもJR大
阪駅でもMさん、Noさんとは合流出来ず仕舞いで、ようやく神戸市地下鉄三宮駅で合流
する。「北神急行ってこれ何?目ん玉飛び出る高さや」などとワイワイ云いながら谷上駅
へ。更に神鉄に乗り継いで大池駅に降り立つ。

 住宅地を山際へ向かえば、Naさんがお待ち兼ね。Sさんは急用とかで残念ながら不参
加。結局、計4名の文字通りのミニオフが始まった。(笑)

 暫くは住宅地の中。四つ角には所々に「地獄谷道」と標識がある。何だか地獄の一丁目
へ導かれる気分。(笑) その住宅地を出外れると阪神高速の高架が見えてくる。新しく敷
設された車道を暫く歩き、右に降りるコンクリ階段を伝って、阪神高速の高架下のフェン
スの間を抜けていく。何となく慈尊院から雨引山へ取付く前の高野山の町石道に似た雰囲
気だ。

 高架をくぐると、幅5m位の谷川が現れた。地獄谷の流れだ。ここにはオフィシャルの
案内板があり、コース確認に便利である。取付きを過ぎると感じの良い緩やかな一間幅の
落ち葉道になる。左に沢音を立てて地獄谷の流れが谷底深く流れたり、すぐ近くを流れた
り。その間にも昔ながらの里山らしく幾つも枝道がある。木々は黄色に色づいたものが多
い。中でもタカノツメと呼ぶ三裂した薄い葉を持つ落葉樹が目立つ。花は概して少ないが、
晩秋を彩るキク科の花ではノコンギクが目を引く。

落ち葉の地獄谷道

 何度か沢を渡渉しながら上流へと向かう。砂防堰堤が所々にあるのは横を巻きながら越
えて行く。平たい座るに適した岩などを見物しつつ歩いていけば、次第に小滝が連続した
ミニ渓谷の様相を呈してくる。地獄谷四十八滝と呼んでも良い位で、岩盤を滑る「滑滝」
や一人前に釜を持つ滝もある。その内最大の滝は第四堰堤を越えた先の、以前、沢登りし
ていたMeさんが足を滑らせた曰くつきの「地獄大滝」。兵庫登山会の標識も架けられて
いる落差5m程のなかなか優美な滝である。因みに、Meさんは幸い大腿部の軽い打撲で
済んだので念の為。
黄葉の地獄谷。この縁を歩く


 谷の二股。右の谷の先には堰堤。左に直角に折れて更に進む。やや暗い人工林だが、そ
の先には日本庭園を思わせる岩とヒメザサ、山桜、アカマツの広場があった。Naさんが
一番好きな場所だという。この辺りから、時折、目の覚めるような紅葉が現れる。カメラ
片手のMさん,Naさんの足取りは一段と遅くなる。先日の廃村八丁は終始これだったの
だなと妙に納得の気分であった。(笑)

 途中、本道と別れて小笹の小さな尾根を直登でショートカットし、水平になった地獄谷
道に戻る。ゆるゆると歩いていけば別荘地に出て、その取り付け道を左の三国池方面にヘ
アピン気味に折れる。この辺り、道が錯綜していて、不案内な者には今どのあたりである
のか良くわからない。Naさんに導かれるまま、気がつけば三国岩の近くである。(^^;

 岩の横手に踏み跡がある。笹をゴソゴソと掻き分けて岩の上に立つ。「三国」と云われ
るだけあって確かに眺望のいい岩で、やや霞んでいたものの、淡路島や神戸港が見渡せた。

 ところでエアリアマップによれば、ここには三角点があるはず。そこで宝探しをしてみ
ることにした。岩の北側のブッシュを抜けると意外や広い道がある。目を左右に振りなが
ら、そのまま道なりに行くと空家のような夕映山荘。結局、今日はGPSも持参していな
いこともあって、三角点は見つからぬままとなった。(自宅で調べた結果では山荘の東北
の地点に所在するようであった)

 少し戻って、三国池に寄る。結構大きな池であるが、とりわけ冬景色がいいそうだ。こ
こも氷を取る為に掘った池であろうか。(アイスロードはそれらの氷を運んだルートなの
です)

 近畿自然歩道の標識のある山道に出る。道は六甲縦走路でもあり、今日は労山主催の全
縦大会の日。そろそろ第一陣と遭遇する頃だなと思ったら、予想に違わずハイカーがやっ
てきた。低徘のメンバも参加している由、今はどの辺りなのだろう。

 子供たちの歓声が下から湧き上がる中、階段道を下っていくと車道に出る。全縦の世話
人さんがコース案内をしている所を横切って車道を暫く。神戸市立自然の家の前で車道か
ら分かれて、水路の横の小道をたどる。アジサイの小道と呼ぶべき小道で、水路の向こう
側にはアジサイが植わっている。やがて遠くからさんざめく笑い声が聞こえるようになれ
ば穂高湖だ。穂高湖はダムによって堰き止められた湖というよりも池で、生田川の水源。
摩耶山付近を散策するハイカーのメッカみたいな場所らしく、多くの中高年ハイカーが食
事中だ。風もなく鏡のような水面には「逆さシェール槍」がくっきりと映っているのが印
象的である。湖畔の黄色く色づいた木々など、暫く景色を眺めた後、池に突き出た桟橋に
空いた場所を見つけて腰を落ち着けた。

鏡のような穂高湖の湖面には逆さシェール槍

 Naさんがおもむろに深鍋に豚汁の用意。水500ccを用意せよとはこれだったのだ。
その間に、「黒牛の冷や」を廻す。馥郁とした香りが鼻腔をくすぐる。
「う〜ん。フルーティ」
昔、これとよく似たC.ブロンソンのCMがあったなぁ。(笑) 今度は味噌のあったか〜
い美味そうな匂い。これには勝てず、臆面もなく二杯もお代わりしてしまう小生である。

 さて、満腹したところで、後半は徳川道で森林公園へ。穂高湖の南から広い道が西へ延
びている。これが徳川道だそうだ。厳しい所もなく、家族連れのハイキングにはもってこ
いの道である。徳川道は日米修好通商条約締結による兵庫港の開港で懸念される外国人と
参勤交代の行列との摩擦を防ぐ為、慶応3年(1867)に1ヶ月の突貫工事で造られた
との事である。解説板が置かれた辺りにはその名残の「ごぼう積み」と呼ばれる野面積み
の石組が残っている所もある。今歩いている石段もそのとき造られたものかもしれない。

しっとりとした徳川道

 その徳川道の途中に右手の笹原の中の立ち木にテープが巻かれていて、「新穂高」の案
内プレートが架かっている。標高600m程の形のよい山である。槍といい穂高といい、
余程、アルプス好きの御仁が命名したのに違いない。

 やがてシェール道との合流点。暫く進むと大きな渓谷の上部に出る。生田川の源流の谷
である。すぐに桜谷の分岐。左に進めば摩耶山。右に折れて川を飛び石で向こう岸に渡る。
ここからはもう平坦道。ナツツバキの群落、マメガキなどを観察しながら歩けば、トゥエ
ンティクロスで、川原の向こう側は森林植物園の東門に出る。

森林公園にて。まるで彩織

 東門から野鳥観察池への渓谷沿いの紅葉はなかなか圧巻。朱色から赤、深紅と色とりど
り。そしてカモシカ園から長谷池へ出た途端、水際の錦繍はもう素晴らしいの一言であり
ました。(冒頭の画像)

 池端のテーブルでコーヒーブレーク。Noさん持参のブランデーを垂らして至福のひと
時だ。時を忘れて四方山話の花が咲く。誰かクシャミをした人は居なかったかな?(笑)

 森林植物園は広大で全部廻るには優に半日はかかるだろう。針葉樹林園、野草園なども
あって、植物好きにはこたえられない場所である。木々にはプレートがつけられてあるか
ら名前を覚えるのにも良い。植物好きの一行、あれは、これはと薀蓄を傾けている間に、
もうバスの時間が近づいている。慌てて正門に向かい、4:15のバスに間に合ったのだ
った。

 遠来の我々3名は三宮まで市バス。Naさんは北鈴蘭台まで植物園の無料バス。本日の
ミニオフもバス停で散会となり、無事18時前、帰宅。シャワーを浴びて、余韻に浸りな
がらビールを飲む。錦秋の裏六甲、予想外にいいものでした。Naさん、セットアップあ
りがとうございました。

■同行 なかいさん、のりかさん、もぐさん


【タイムチャート】
6:40自宅発
8:25神鉄大池駅
8:55地獄谷取付き
9:10地獄谷西尾根分岐
9:17〜9:21滝のある広場
9:40〜9:44地獄谷大滝
10:00砂防堰堤の二又
10:50第二砂防堰堤
11:10三国池分岐
11:25〜11:35三国岩
11:53神戸市立自然の家
12:15〜13:05穂高湖(昼食)
13:10徳川道
13:45桜谷出合
14:30森林植物園東門
14:30〜16:00森林植物園
16:15森林植物園バス停


地獄谷のデータ
【所在地】神戸市北区
【標高】300〜700m
【備考】 裏六甲の代表的なハイキングコースの一つです。主なコ
ースに地獄谷道、東尾根コース、西尾根コースがあり、
植林がほとんどなく、雑木に覆われた山道は四季折々の
姿を見せてくれます。最寄は神鉄大池駅です。
【参考】
エアリアマップ『六甲・摩耶』



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