芦生逍遥〜三国峠から枕谷、上谷 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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自然林の中、枕谷の緩やかな流れ |
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先々週に続いて再び芦生。今日は「あの谷もいいよ」との声を前々から聞いていた枕谷 へ。ついでに上谷にも足を伸ばしてのんびり逍遥してきました。 ピンポイント予報では朽木村はほぼ終日小雨の予報だったけれど、案外高い雲で、時に 薄日も漏れてくる。比良には雲がかかるが何とか降られずに歩けそうだ。夜半に降ったの か、路面の濡れた林道を北上して、地蔵峠への林道ゲート前には着いたのはほぼ10時半。 先々週と同程度の車が駐められている。 トイレ施設の所から少し戻って、ブナ原生林の説明板のある沢の横が三国峠の取付き。 始めはブナを見ながらの遊歩道。朽木山の会の道標の立つ箇所から急な踏み跡が山肌を登 っていく。秋雨前線が北上した為だろうか、猛烈な湿気に早くも汗が額を濡らす。立ち止 まっては汗を拭う回数が増える。足元には直径10pはあろうかというオオイワカガミの 深緑の艶やかな葉。所々に丈は低いが立派な花を付けたヤマジノホトトギスが気分を慰め てくれる。 暫くのアルバイトでアシタバの目立つ稜線上に出れば、後はほぼ平坦。小さなアップダ ウンを繰り返して尾根を西へ辿る。三国峠の山頂部分を巻くようにして尾根を進み、北か ら一旦、小さな鞍部に下りて登り返す。さっきから人の声が聞こえていたが、山頂には先 着の男女2人組のハイカーが休憩中であった。 これで三度目の三国峠。展望はあまりよくない。生杉の集落はよく見えるが、北にそび える百里ヶ岳は山頂部分はガスの中。当然、青葉山は望めず、かろうじて東に蛇谷ヶ峰。 南に傘峠のこんもりした姿が眺められる程度である。 こんな調子だから雲行きはあまり宜しくない。降らぬ内に早めに昼食とした。先着の2 人組はここで昼食にするかどうか思案している。 「蒸し暑いですねぇ」声を懸ける。 「ほんとに」 聞けば守山市からだとか。置かれたザックには鉈が装備されている。 「ヤブ用ですか?」尋ねると、小父さん笑いつつ 「いや、それもあるけど、熊にバッタリ対面した時用にね」 先々週は傘峠だったと云うと、そこで熊に出会ったことがあるという。木に登っていた熊 は慌てて逃げていったそうだ。傘峠の南、三国岳から天狗峠付近が最も熊の生息数が多い そうだから、今更ながら遭遇せずに良かった思いだ。 そんな四方山話をしていると、サワサワと雨が降り出した。山頂では避ける所も無いの で、早々に撤収して枕谷へ向かうことにした。山頂からは3本の道があるが、その中で西 南に降りていく道が枕谷への道。よく滑る土の道だが、暫くするとイワカガミの目立つ山 腹を巻く道となって、落ち葉に覆われた枕谷の源頭に降り立つ。谷の右岸を水平に歩いて いく内に、左手に見える谷は意外に深い。そしていつの間にか水音が響くようになる。す べて雑木で覆われた静寂の谷は、新緑や紅葉の頃はそれこそえもいわれぬ素晴しい彩を見 せるに違いない。大きなブナの所で、道はUターンして谷へ降りていく。谷へ降りてから 気づいたが、ここは向こう側からも流れがやってきて沢が出合う地点なのだった。
しずつ増していく。その流れを何度か渡り返す。苔むした倒木。水辺にはトリカブトがも う花を開いている。芦生のはやや色が薄いようだ。ぽっかりと開いた感じの広場を過ぎる と、枕谷の流れから少し離れて平坦な杉林を歩くようになる。少々道をはずすが、何処を 歩いても一緒、すぐに踏み跡に復帰することが出来る。杉林が更に広がる湿潤な雰囲気の する場所に出てくると、その真ん中に道標があった。地蔵峠0.2q。道理で何となく見 覚えのある場所だ。 直進すれば間もなく中山神社。その先の木橋を渡れば林道終端で、左に行けば長治谷小 屋である。今日は右に曲がって上谷を少し遡ってみる。 杉林の中の木道は泥濘の中だ。途中、右手の上谷の流れが蛇行して淵になった箇所があ る。数匹の魚が透明な薄青い水の中を悠然と群泳している。アマゴ系の魚かなと暫く眺め るが背鰭から見てどうもカワムツらしかった。 野田畑谷の湿地手前で流れにかかる木橋が橋桁倒壊の為に落下している。が、渡れぬも のでもない。野田畑谷へはその先で右の薄い踏み跡を辿るのだが、今日は左の明快な方の 道を進む。 ここも静寂の谷だ。沢の音、鳥の声。人工の音がまるで聞こえない。時折、カケスであ ろうか、「ジャッ、ジャッ」という不気味な声を立てる。前や後ろで「バサリ」と音がし て驚いて見やるとトチの実が転がっている。直撃されたら痛そうだ。(笑) そういえば今 年は豊作らしく、栗に似た実と殻が沢山落ちている。ということはトチノキの下を歩くと 危ない?(笑) それにしてもでかい。さし渡し1mは優に超えるトチノキだ。そう思って 眺めれば、あちらにもこちらにもトチの大木。負けじと太いミズナラも高く枝を伸ばして いる。
る箇所を越えると次第に水の流れも細くなってくる。遡行しだして50分近く。GPSで 現在地を調べてみると、クツベ谷の付近。杉尾峠までの全行程の3/4位だろうか。まだ 往復1時間近くはかかりそうに思われたので、適当な所で引き上げることにした。さっき の中山神社近くの道標では杉尾峠まで50分とあったが、小生の足ではとてもとてもその 時間では無理の様だ。概して芦生の道標に書かれた所要時間は超健脚向じゃなかろうか。 (笑) それに上谷を遡行するなら、何度も沢を渡渉しなけれければならないので登山靴よ り長靴の方がよさそうである。 実は往路で目を付けていたのだけれど、伐採木を腰掛に丁度よい感じに輪切りにして並 べてある所があった。(岩谷の東付近)思ったとおり腰掛に最適だ。湯を沸かしてコーヒ ーブレーク。少し疲れた体には甘いものが何よりである。 野田畑出合まで戻ってくると、ついに本格的に雨粒が落ちてきた。少し急いで杉林の中 に避難する。結構な降りであったが、雑木の枝が自然の傘になってくれて助かる。(^^; 雨は幸い地蔵峠に着く頃には上がった。後はゆるゆると林道を下るだけ。ゲート前にはも う数台の車が残っているのみであった。 帰路。湖西バイパスで南下するに従い、また雲行きが怪しくなってきた。稲妻が走る。 名神も50qの速度制限をしているらしい。小生が芦生の近辺に来ると不思議と帰途は雨 になる。丁度いい。車を天然シャワーで洗って帰りましょう。(笑)
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