寒風ものかは小野アルプス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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惣山から眺める小野アルプスの ハイライトの紅山。紅岩の馬の背が見事 |
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小野アルプスとは余り聞き慣れない名前である。それは小野市と加古川市を区切って東 西に延びた、最高でも200mあまりの低山の集まりである。だが、その一つ、紅山にあ る紅岩は南側に並行して走っている山陽自動車道からも眺められ、気づく人も多いのでは なかろうか?その小野アルプスを地元のしまださんが案内してくれるという。MLで流し たところ、小生含め7人の有志が集合した。以下はその印象記である。 大阪駅発8時ジャストの新快速。加古川でローカル線の加古川線に乗換える。2両編成 のディーゼル車はワンマンカーで、のんびりと加古川沿いに田畑と小高い丘の間を縫って 走る。ところで、今回の目的地への最寄駅である小野町駅は無人駅。切符はどうするんだ ろうとみていると、無人駅では列車の降り口は運転席直後の1箇所となり、運転士兼車掌 が運賃箱へ切符を客がそれぞれ入れるのを確認するシステムである。基本的にバスと一緒 なのであった。初めての見聞するだけに一寸面白いものがある。 小野町駅前には既にしまださんらが待っていて、同日にあるJACの例会の集合地もこ こなので、芳村さん夫妻にも久しぶりにお会いした。無沙汰の挨拶を交わした後、途中で の再会を約して、今日の出発基点の鴨池公園横の駐車場へ松田さんの車で移動する。 沢山の鴨が水面に浮かぶ鴨池。車外に出た途端、ブルッときた。肌を刺すが如き寒風が 吹き抜ける。水溜りが完全に凍っている。「これはきついわ」「早よ歩きださんと寒いで ぇ。」異口同音の面々である。 さて、今日のコースであるが、小野アルプスは福甸峠から紅山までの西部、岩倉峠から 惣山を経てアザメ峠までの中部と、その東からNTTドコモの電波塔ピーク迄の東部に分 けられるのだという。しまださんの想定は紅山から東側を縦走し、更に『しまだワールド』 のおまけとしてもう二つほどピークを越えるコース。ところが佐竹さん始め全縦するとい うメンバが5名も現れ、当初通りに行くのは小生としまださんだけ。(^^; 紅山頂上で合 流することを粗々に決めて、鴨池のほとりで別れる。
事の途中なのか大きく広げられた地道には霜柱。ぐしゃぐしゃ云わせながら張られたロー プを潜って雑木の中へ歩いていく。左手には田畑が広がり、前方に惣山や紅山が居並ぶ姿 はまるでエジプトのピラミッドを思わせる。右手に現れた溜池の横を抜け小さな谷間に向 かう。すっかり葉を落としたコナラやクヌギ、常緑のイヌツゲ、ヤブツバキ、ヒサカキ等 が混生する林は清々しい。整備の為に刈られた雑木の枝があちこちに束ねられている。し まださんに依ると道幅も倍くらいに広げられているとのことだ。
は時間があるので見物に行くことにする。私製の標識に従って進むと小野市の石標があり、 岩倉2号墳と説明がある。その奥に羨道の入り口がぽっかりと口をあけている。自然の傾 斜を利用した古墳の、高さ1.5m程の羨道に潜り込むと、中は結構広い玄室で、綺麗に 揃えられた自然石の石積がなされている。築造は6世紀前半というから聖徳太子の時代の ほぼ百年前。人力しかない時代に大した技術力である。 元の道に戻り南に向かう。と、右手に紅山の南稜にあたる紅岩が姿を現わし始めた。聞 きしに勝る大きな岩尾根ではないか。そしてまもなく岩倉峠に達する。ここには東の惣山 と西の紅山への道がある。右に折れて予定通り紅山南コースへ向かう。
やーな予感がする。潅木の斜面を登り切ると、いよいよ紅岩の馬の背が眼前に全貌を現す。 なるほど紅岩といわれるだけあって赤い斑紋がある岩。流紋岩という種類の岩らしい。 「へっ?こんなん登れるのぉ?」 が、近づいてみるとホールド感のあるゴツゴツした岩で、しかも乾いており、さっきの懸 念は杞憂、ほっと一安心である。
一気に視界が広がって良い景色だ。しかしじっくり見るのは頂上に着いてから。とっかか りを探しては上へ。ところが強風にあおられて帽子が飛ばされそう。頭は気になるし、手 は疎かに出来ないしというわけで苦労しながらようやく頂上に立つ。正月のお飾りが立ち 木の枝に結んである。その下に何故かグリーンの冷蔵庫。「?」 足下の山陽道の騒音が少々うるさいが紺碧の空の下、素晴らしい展望だ。東に六甲。光 る海には明石海峡大橋、そして淡路島。加古川が白くうねり、その流れを追って右手に目 をやれば加古川の製鉄所。権現湖に城山、更に山頂がもっこりした高御位山が目立つ。 ひとしきり展望を楽しんだ後、全縦組を迎えに広い尾根筋を西へ辿ることにする。ツツ ジなど丈の低い雑木やウラジロシダの繁る明るい道が続く。殆どアップダウンは無い。3 00m程進んだろうか?前方に赤いヤッケが鮮やかに枯葉色の中に浮き出してきたと思っ たら、全縦組の一行である。「おおっ。遭難せずに上がってきたか」と冗談も飛び出す中、 全員揃った所で再び紅山山頂へ。小休止の間にまたまたあれこれ山座同定を楽しむ面々で ある。 下山はここでも東コース組と南コース組に別れる。東に見える最高峰、惣山山頂で再び 合流する手筈にして、それぞれ下山開始。 東コースも短いがなかなかの急斜面。木々につかまりながら滑らぬよう慎重に降りる。 あっという間に下った所は先程の古墳への道の途中である。 遊歩道から惣山へは直登コースと山腹コースがある。小生勿論山腹コース。ジグザグに 高度を稼いでいくコースだが、階段が多いからだろうか、事の他、堪えるコースである。 息を切らせて登ると物見櫓風の展望台に出る。強い北西風に恐れをなして、展望台へは往 かずに南北に長い山頂部を南に進めば、ここにも大きな露岩があり、やっぱり松飾りが枝 に結んであった。暫くすると南端の最高点から南コースに挑んだ佐竹さんとみやびさん達 が現れる。惣山の東の支尾根に見えていたJAC隊も上がってきて、ここで再び芳村夫妻 とご対面であった。
ンビニに寄れずだったので水了軒のお握り弁当。高いだけあってなかなか美味い。熱々の 味噌味のカップラーメンと絶妙のハーモニー。そこへなんと芳村さんからバームクーヘン の差し入れ。これが食後の一服に沸かしたシュガーレスのレギュラーコーヒーにぴったり。 有難うございましたと (^^)/ のんびり憩う小生。だが、しまださんが言う。「まだ行 程の1/3や。今日は電波塔のまだ向こう迄やでぇ」ひえー。そいじゃ急がなぁ。という わけで先を急ぐ面々でありました。 一旦下って登り返す。共同アンテナが立つ惣山支尾根のCa170mの無名ピークは北側 が開けていて、六甲連山から北摂の山々、一際目立つ西光寺山が眺められ、北西には明神 山、七種山、笠形山に雪を被る千が峰等が綺麗に見えた。 惣山の東の鞍部は明るい雑木林で、自然公園の東入口300mの道標がある。再び登り 返す。三等三角点のある総山で、三角点は縦走路の真ん中にある。暫く休んで初めはやや 急なものの、直ぐに緩い下りの林を辿れば、惣山への案内標識のあるアザメ峠に出る。ア ザメ峠は小野市来住と加古川市見土呂を結ぶ古い峠のようだが、今は車道が走っている。 正面には新しい祠に守られてお地蔵さんがあって、石に「莇最寄」と掘られていが、これ が「アザメ」の漢字表記らしい。が、とても読めたもんではない。(笑) さて、小野アルプスの東半分の入口は、この車道を北に50m程歩いた辺りにあって、 溝状に掘れた沢沿いに切開きがある。しまださん曰く、以前は1m進むに1分を要する程 の猛烈ヤブであったそうだが、今は嘘の様に整備されている。すぐに尾根。真新しい石標 があって、『両来住』、『都染』との刻字。境界標らしい。 暫く尾根沿いに進んで右に下る。鞍部に薄い踏み跡があったが、青く澄んだ池があると しまださん。再び緩い登りになる。落ち葉のフカフカ道。『イカの木』があったのはこの 辺りだったろうか。何の木か知らないがイカの足の如く10本の幹を持つ株立ちの木であ った。所々に立てられた石標に導かれて登った辺りが安場山(点名『来住』)で、四等三 角点があるはずだが、踏み跡から外れた下草の茂る部分にあるのでやや見つけ難い。 安場山を下る。少々きつい下り。そしてすぐにまた登り。一体幾つあるんや?とこれで もかこれでもかと続くアップダウン。低山なれど侮り難しの小野アルプスであります。 Ca150mのピーク東端は東方向の展望良し。惣山からはあんなに離れていた電波塔が 直ぐ間近に眺められ、またまた一気に下って少し登り返せば直ぐに電波塔山に行き着く。 電波塔はNTTDoCoMoの中継アンテナ施設で、ここが小野アルプスの東端に当たるそう だが、勿論しまださんの案内だけに今日はここでは終わらない。ここからが『しまだワー ルド』。といっても今回は踏み跡がちゃんとあり、その入門編といった感じ。(笑)山頂 の取付道路のカーブする辺りに踏み跡が認められ、それを辿っていくのである。シダが繁 っているが踏み跡はしっかりしている。きれいな雑木林の鞍部を登り返すと北と東側が土 砂採取場として大きく抉り取られた辺りに出る。抉り取られて赤土が剥き出しになった部 分を雛壇状に整地して、申し訳程度に松の苗が植えられているのが不釣合いである。 ここからは抉り取られた部分の境目をトレースして行く。土砂崩れ防止用なのか、地面 の要所にはワイヤーが張られていて注意しないと躓き易い。左に湾曲して現れた次のCa1 20mの高み。頂上に窪みがあり、その周りを石が円状に敷設してある。炭焼き窯の跡な のか、はたまたストーンヘンジなのか。面々の話は尽きない。そこからは林の中の溝状の 踏み跡を進んで分岐を左に折れる。更に進んで民家の横のコンクリート道に飛び出すと、 ゴールの黍田町の白雲谷温泉のスタンドはすぐそこであった。 デポしてあった2台の車で黍田町を後にし、途中、JR加古川線沿いのダチョウ牧場を 見学して鴨池公園へ。左手には歩いてきた小野アルプスを見晴るかすことが出来る。標高 は低いが多くの山を乗り越えたから、その累積標高差は相当なものだろう。その証拠に結 構、膝が笑っている。 「結構歩いたんやぁー」寒い風が吹き抜けるにも関わらず、今は心地よい充実感である。 古墳あり、岩あり、海や雪山を見ながらの稜線歩きあり、そして最後に『しまだワールド (入門編)』あり。変化に富んだ小野アルプス。こんな山歩コースが近くにある人達は幸 せだ。案内いただいたしまださん始め、同行の皆さん、感謝です。 ■同行 佐竹さん、しまださん、まつださん、みやびさん、やまごさん、 GORYUさん(五十音順)
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