風花舞う明神山・小明神グルッと周回
 平成15年 2月 1日(土)
【天候】曇り時々晴れ、小雪
【同行】hiro(まつだ)さん
農業公園から小明神を従えた明神山を望む


 播磨の名山の中で未踏だったのが、夢前町の明神山。低徘仲間のhiroさんが行くという
ので、ご迷惑ながら相乗りさせてもらいました。

 同伴するはずだったもぐさんがインフルエンザで急遽リタイア。突然のナビゲータ不在
でこりゃ困った。が、とりあえず現地へということで7:30桃山台に集合。hiroさんの
車で登山口のある夢前町は「夢さき夢のさと農業公園」へと向かう。

 広い駐車場には1台の車もない。北方には明神山の尖峰が小明神を従えて聳えている。
準備をしていると1台の車がやってきた。眼鏡を掛けた若手の単独兄さんであった。

 案内板を確認して岩屋川沿いに舗装路を北へ向かう。山の端にロッジ風の建物には、な
んと露天風呂設備。高い位置にあるとは云え、脱衣場もなく女性が白昼入るのには少し勇
気が要りそうであります。(笑)

 岩屋池の堰堤が見えてきた頃、A、Bコース分岐点に差し掛かる。左にコンクリート橋
が架かり、植林帯へ地道が吸い込まれている。勿論、我々はAコースを選択である。

 50m程進んだ頃、登山路は地道から分かれて、右の山肌に取り付く。すぐに高圧鉄塔
の下に出て、尾根筋の急登となる。この急登、エンジンのかからぬ身にはつらい。殆ど直
線状に登っていくと岩稜に出た。左側がすっぱり切れ落ちている。次に現れた岩稜は丸っ
こくて「象の背中みたいやなぁ」と話していたら、誰しも考えることは一緒らしく、『マ
ンモスの背』と表示があった。トラロープが渡してあるが、雪がある時は遠慮したいとこ
ろだ。(^^;)この後、砂岩の崖のような箇所や赤松林を抜けて高度を稼いでいく。左手の
谷を隔ててチェーンソーの音が聞こえると思ったら、小さなピークの立木に鉈の入ったザ
ックが2つ懸けられてあるのに気がついた。

Aコースのハイライト『マンモスの背』を登る

 少し顕著なピーク。『西の丸』とある。道はここから方向を変えて、いよいよ明神山の
南尾根上を辿るコースとなる。

 コルククヌギとも云われるアベマキやツバキ、ネズミサシが目立つ狭い尾根を歩いてい
く。途中には一刀両断されたようなノコギリ岩や「夢展望台」と呼ばれる展望岩がアクセ
ント。とりわけ「夢展望台」からは駐車場や「夢やかた」が一望。歩き出した登山者が蟻
の様である。知らぬ間に442mピークは過ぎてしまったようだ。

 Bコースとの合流点を抜け莇野(あぞの)分岐を過ぎると、胸突き八丁の登り。ゴロゴ
ロ転がる大きな石の合間には残雪も現れる。ツバキ等常緑樹が目立つ樹林の中を、再びバ
クバクと存在感を誇示する心臓を宥めつつ登った先は岩が目立つ明神山の山頂であった。

岩に雪が残る明神山山頂。この北側には更に雪が...

 三角点横の岩に立つと、ほぼ360度の展望だ。生憎、雪雲が北から急速に接近してき
て、視界が延びない。それでも雪彦山の岩壁がほの見える。七種三山は相変わらず眺めら
れ、南には広畑の高炉の煙突や播磨灘、日生の島々が霞んでいる。

 山頂には先着の初老の団体さんで賑やか。池付近に車を置いているそうだ。移動するの
かと思ったら、酒瓶やビール缶に、弁当を広げだした。こりゃ長引きそうなので、山頂を
後に、北東に見える小明神に向かうことにする。

 案内板には10分と書いてあり、木々に覆われた山頂も指呼。ところが問題はその稜線。
岩で出来た厠の様な『またぎ岩』までは良かったのだが、そこから暫くが岩尾根の急降下。
しかも北側で誰も踏んでいない雪が残っている。つるつる滑って危ないことこの上なし。
不覚にもアイゼンを持ち合わせず、単独なら完全にここで撤退していたことだろう。だが、
なんとhiroさんが、氷上の愛宕山で使った滑り止めの他にアイゼンを携行しておられ
た。お借りする。

 慣れない上に、強い風と降り出した雪で寒いのとで装着するのに手間取る間に、滑り止
めを装着したhiroさんは小明神へ先行。なんとかアイゼンを固定できた小生、暫し遅
れて後を追う。痩せ尾根も『くさび岩』を過ぎるとようやく広まって鞍部となる。そこか
ら再び少々の登りをこなすと小明神の頂上。立派な山名プレートが懸かっている。雪が積
もった6畳程の小広場である。が、樹々に囲まれた外観通り、展望は皆無。しかし風が防
げるのでここで昼食とする。

 さっきまでの暖かさは何だったのか?北からやって来る雪雲に日が陰ると、一気に気温
が低下した様だ。鼻水垂らしながら、湯を沸かし、カップ麺が出来上がる迄、焼酎で体を
暖める。

 これから向かう北東方向には夢前町のプレートが懸かっていて、曰く「下山不向き。不
明瞭な部分があり、ガイドなしでは立入禁止」とある。単独なら戻っていただろうが、そ
こは二人連れ。「行ける所まで行ってみるかぁ、駄目なら戻りゃあいいしね」てな具合で
そのまま進む。が、これが大変。一旦、足を踏み込めば、戻る気を無くす急降下の連続。
もう、前へ進むしかない。森閑とした静けさ。10p程残った雪の上には鹿やウサギの足
跡のみ。幸い、赤い大柿布の他に、Dコースと書かれた白いテープがあり、ピンクのポリ
紐も結んであって、それを目印に進む。確かにこのコースは読図が難しい部分が多く、こ
の目印が無ければ迷っていたに違いない。

 深く掘れた半トンネル状の直降部分を抜けて549mピークに着く。木々の間から小明
神。僅かの間にもう100m近く下ったのか。

 右へ曲がれという指示だろう、トラロープが張ってある。地形図でも尾根は90度ドッグ
レッグしている。展望の無い常緑樹の多い雑木林を進む。テープは尾根筋を忠実にトレー
スして行き、小さなアップダウンを繰り返す。すると、Dコースと書かれた白テープに『
これよりヤブゾーン』と書かれたものが現れた。なるほど、ササや潅木の枝が今までより
煩わしくなってくる。が、所々、雑木に鉈目が入っているし、歩き難い程でもない。しか
も刈られた枝が転がっていて、未だあまり萎れていないところを見ると、ほんのつい最近、
手が入った感じだ。「待てよ?ひょっとして、ハンター用に鉈目が入れてある....?」そ
う考えると少し背中がゾーッと。でも、今だからいいけど夏場は繁りそうで歩き難いだろ
う。長い物も沢山出てきそうである。(笑)

 踏み跡は一枚岩の崖を巻いたり、岩頭を乗越したりしながら、徐々に高度は下がってい
くようだが、前方に新たなピークが次々に現れてきてきりが無い感じがする。その内に現
れたのが胎内潜りの岩。太った人というよりもザックを背負った大人は通過が無理。(笑)
上に体を持ち上げて越える。

虎ロープを持ち、胎内潜りの様な狭い岩の割れ目
を行く。太った方は通れません(笑)

 桧の幼木帯とコシダに覆われた幾つ目かのピークに行き着く。ふと見ると白いポールと
石標。「ありゃ?四等三角点?」急いで地形図で確かめる。点名『西山』の342mピー
ク。が、三角点ピークの割に展望は無い。南側が崖らしく、ゴルフ場の敷地なのか造成
地が斜め左下に見える。

 小休止後、シダの中のトレースを南西に進む。暫くすると、馬の背の岩稜が現れる。こ
こから見る明神山は雄大だ。谷を隔てて幾筋も南の稜線が並行しているのが綺麗に見える。
その内の向こう側の稜線がAコースの稜線で、マンモスの背、西の丸、夢展望台がよく分
かる。
四等三角点峰『西山』の北稜から見る明神山の
長い稜線。Aコースは奧の稜線を歩く

 尾根は更に続く。やや薄くなった踏み跡を辿っていた時である。突然、ポリ紐が無くな
る。尾根に登ってみるが無い。最後にポリ紐を見つけた地点に戻って、GPSで現在位置
を確認。すると、真西へ降れば明神池の上流付近に出るらしい事が判明。次々続くアップ
ダウンに、いい加減うんざりしていた小生。ここでhiroさんと手入れの悪い杉の植林の急
斜面を降りることにした。

 暗い植林帯。滑る様に降る。苔の生えた倒木、枯れ枝に悩まされながら歩き易い部分を
選って行く。谷底はブッシュかもと懸念していたがそんなこともなく、左手下方に明るい
部分があるのに気付く。そちらを目指す内に、それが林道でその向こうに池があるのが分
かった。

 ホッと一段落。「ふーっ、やれやれ。」澄んだ池の水でアイゼンを洗い、冷たいお茶で
喉を潤す。木立を隔てて明神山が覗いている。

 林道を南へ向かって歩き出す。10分位だろうか、関電巡視道の標識が左にあるのを発
見。奧に白いテープらしき物があったので、Dコースの始点はここかなあと話し合ってい
たのだが、後で、地元の方の話からやはりここが取り付きらしかった。

 植林帯を抜けた所にある神元神社は、存外、立派なお社。嶽大明神の祠もあるが、これ
が昔、明神山頂にあったという神社らしい。樹齢500年という大杉の前に地元の方がお
られたので立ち話。これこれのコースで降りてきたというと、
「ハンターが入るので危ないよ」
そういえば、さっき軽四輪が犬を載せて林道を奧へ行ったなぁ。ああ、今しも奧で犬の鳴
き声が。

 神社の鳥居で折れ、水車小屋の角を曲がって10分。駐車場へ戻る。そこへ丁度降りて
こられた方がいる。これまた地元の方。Dコースの始点はやはり高圧鉄塔のある山からで
妙見嶽ということ。夢前町が小明神から谷コースを新設したこと、Dコースはブッシュゾ
ーンもある未整備コースであること等々。を教えてもらう。話は尽きないが、適当なとこ
ろで切り上げて装備を解いた。

 岩稜歩きに雪山歩き。バラエティに富んだ充実の山歩きが出来た今日の明神山周回。hi
roさんにはこの後、JR姫路駅迄送っていただく。アイゼンといい、アプローチの足とい
い、大変お世話になりました。感謝です。

 でもやっぱり冬は無駄でも雨具とアイゼンは用意しておくべきです。反省!。



【タイムチャート】
7:00自宅発
7:25桃山台駅
8:50〜9:00夢さき夢の里農業公園駐車場(Ca135m)
9:05B、Cコース分岐
9:10高圧鉄塔
9:25〜9:37マンモスの背
9:48
西の丸(425m)
9:52のこぎり岩
10:04〜10:05夢展望岩
10:12Bコース合流点
10:23莇野分岐
10:35〜10:53明神山(667.9m 三等三角点)
11:40〜12:15小明神(Ca610m 昼食)
12:35549mピーク
13:42〜13:45点名『西山』(342.6m 四等三角点)
14:05テープ見失い地点(Ca310m)
14:20明神池横の林道
14:35神元神社
14:50夢さき夢の里農業公園駐車場(Ca135m)



明神山のデータ
【所在地】兵庫県飾磨郡夢前町
【標高】667.9m(三等三角点)
【備考】 兵庫県夢前町の西に屹立する名山です。全山ほぼ雑木に
覆われ、山頂からは播磨の山々が一望でき、南には瀬戸
内海も望めます。麓の農業公園からはA、B、Cの登山コ
ースがありますが、お薦めはAコースです。山行記の中
のDコースはH15/2現在、未整備で距離が長く、中級者
以上向き、下山路に使用した方が良いようです。
【参考】2.5万図『前之庄』、『寺前』



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