御嶽山〜栗の花匂う播州路
平成15年 6月14日(土)
【天候】雨
【同行】単独
播州清水寺山門。杉木立の奧に御嶽山最高点がある


 梅雨入りだぁ。世の中全体がじっとりと、温室に入ってしまったではないかと思われる
湿気。体中にカビが生えそうな気分だ。こう天候が芳しくないと気勢も上がらない。とは
云いつつもやっぱり何処か歩きたいし。で、毎年この時期、雨でも行ける所を探すのだが、
なかなか適所が思いつかない。藪は嫌だし、岩は滑るし....。そして当日までに行先が決
まっていないと、時間だけが容赦なく経過していき、とどのつまりが行きそびれて後悔の
臍を噛むことに。(笑)

 こういう時は古道か参道だ。待てよ、その時ふと思い浮かんだ場所がある。何かのHP
で見たような。何処だったかなぁ?そうそう播州清水寺。そういえば今年の春、三草山か
ら案外綺麗な山容を見せていたっけ。お参り兼ねて行ってみるかぁ。カシミールの地図と、
国地院の地図を印刷して早速出発。

 実はこの清水寺は三度目の訪問。1回目は30年も前になるか、親父に連れられてバス
で。2回目は10年余り前、西国札所巡りを車で。そして今回。

 舞鶴若狭道三田西ICで降りれば、結構早く清水寺の参道下の駐車場に着く。生憎、雨
が降り出した。駐車している車無し。ということは、こんな雨の中、下から登る物好きは
居ないということか?そんな物好きを尻目に観光バスが通り過ぎていった。

 ドライブウェイの料金所の手前左手に参道がある。石仏が3体と祠に入った地蔵さんが
1体。向かって一番右の石仏は法道地蔵。法道仙人は清水寺の開基で役小角に匹敵する超
人。この辺りの寺は全部この法道仙人が開基といっても過言ではない。祠のお地蔵さんは
なんと東京は小石川幼稚園にあった小石川地蔵だそうだ。H14/4に閉園したのでここ
に移したのだという。清水寺の住職が社町で初めて幼稚園を開いたというから、その縁で
ここに鎮座しているのだろう。かなり古そうなお地蔵さんではあった。

参道口にある石仏群。右端が法道地蔵

 山腹を稲妻型に登る参道は思ったほどきつくない。丁石も置かれていて目安になる。だ
が、所々にある旧参道の名残は直登で結構、厳しそうである。

 砂防堰堤を過ぎて、杉林の中の道は概して展望はない。鬱蒼とした杉林や草蒸す部分を
過ぎると、ゴロ石が目立つ道になって、暫くでヘアピンの角にお地蔵さんが立つ辻。丁度
五丁石標辺りだろうか。お地蔵さんの左右に石の道標もある。左の石標は「右、くめさか、
左、三田道、中山道」と読めた。右の石標は「へんろみち」とあって、一乗寺へ続く道だ
ったのだろうが、寺僧の墓地から先は草蒸す道だ。

五丁石付近にある道標と石地蔵

 東屋を過ぎてすぐ、目の前にフワリフワリと杉の枯葉が上下している。傘でつつく。蜘
蛛の巣に偶々引っかかっていただけのことだったが、そのお陰でそこに立ち止まることと
なって、「稚児岩」に気付くことになった。南北朝末期、北朝方に攻められた赤松氏範が、
五男乙若丸を落とす為、ここで別れたのだという。良く見れば高さ10m程の縦に割れた
岩がそそり立っているが、表面に蔦が茂って分かり難く、杉の枯葉のダンスでもなければ、
きっと通り過ぎていたに違いない。

 そこから清水寺の境内はまもなくである。法華山道と彫られた大きな石標の立つ踊り場
から100段はありそうな石段が延びる。左は庫裏だろうか、白壁の塀が続く。苔むして
滑り易い石段をゆっくり登り詰めると右手に懐かしいものが。郵便ポストだ。懐かしいと
はよく見ると間違いで、これは戦前のものでは無かろうか。右から左に「郵便」とある。

戦前のものと思われる郵便ポスト

 さて、御嶽山の最高部へと向かう。納経所となっている大講堂の裏に廻ると、石段を登
って根本中堂。更にその奧が高みになっている。廃墟跡の様な平坦地は大塔跡で、石の礎
が残っている。五智如来が祀られていたが、明治40年火災、大正12年再建、昭和40
年の台風で全壊して現在に至る。その更に奧がまだ高い。地道があるので辿ると、左手に
登れそうな所がある。上がってみると地下に埋められた浄化槽の様な施設があって、その
奧は杉のヤブ。手元のGPSは541mを表示。地形図では最高部はCa540m。という
わけでここで了とした。

 尚、四等三角点は駐車場の端のフェンスから直線距離で約100m。雨の中、50mは
降らねばならないし、早々と断念であった。(^^;

 あちこち寺の境内を散策しながら、往路で見つけた東屋へ戻って食事。午後は付近の湿
地で花探しだ。食後のコーヒー含めて30分で切り上げて下山である。

 来た道を降っていると、麓近くのベンチで遍路の小父さんを見つける。四国八十八ヶ所
じゃ珍しくも無いが、西国三十三ヶ所では一寸珍しいんではなかろうか。お気をつけて。

 車に戻り装備を解く。それでは次の目的地、西光寺山の麓へ。
 以下、詳細は『貴公子花紀行〜湿地の花を求めて』にて。



【タイムチャート】
9:00自宅発
10:20〜10:30清水寺登山口駐車場
10:32〜10:33参道口
11:00〜11:05五丁地蔵
11:08東屋
11:09〜11:12稚児岩
11:17法華山道分岐
11:18〜11:40清水寺
11:45御嶽山(Ca540m)
12:15法華山道分岐
12:20〜12:50東屋(昼食)
13:15参道口
13:18清水寺登山口駐車場


御嶽山のデータ
【所在地】兵庫県加東郡社町
【標高】540m
【備考】 三草山と西光寺山の間に位置し、山頂部には西国三十三
ヶ所の二十五番札所、播州清水寺があります。大講堂の
回廊からは、晴れた日には淡路島、明石海峡大橋も眺め
られるということです。清水寺へはJR三田駅から神姫
バスが出ています。
【参考】2.5万図『比延』



   トップページに戻る

inserted by FC2 system