風花舞う新春オフ〜一徳防山から編笠山縦走
 平成15年 1月 2日(木)
【天候】晴れたり曇ったり一時小雪
【同行】別掲
三角点『一徳防』から一徳坊山と旗倉山(右)
その奧に大阪市街が広がり、遠く六甲迄見渡せる


 ナカニシヤ出版から発行されている「大阪50山」の頁を当てもなくめくっていた時、
ふと目に付いた一徳防山の項。西側がザレて切れ落ちていてなかなかのスリルとある。こ
の辺りは岩湧山や三国山に登ったきりでとんとご無沙汰の山域。しかも滝畑のダム湖に車
を置けば周回できそうな、というわけで少々気になっていた山である。すると、もぐもぐ
さんとだめちゃんが歩きに行くという。便乗させて頂いて私の今年の初歩きに。(^^/
天候にも恵まれ、かくして今年の新春ミニオフは出発進行となったのであります。

 地下鉄、南海と乗り継いで8時12分に河内長野の駅。小生とは6分違いの地下鉄だっ
たもぐさんとは南海の急行で同じ電車。これもi−MODEのお陰。あんまり携帯は好き
じゃないが、こんな時は格別便利であります。

 駅前のロータリー。同じ様に河内長野駅で降りた十数人の登山客は金剛山へ向かうらし
く、並んでバス待ちをしている。すると、見覚えのある臙脂色の軽が目の前を過ぎていく。
鴨肉コンビだ。車中で「地元やからドタ参あるかも」「いや、信州へ遠征しててずっと連
荘やろしなぁ」などと噂しあっていたのだが、それが現実になるとは。そのパワーには正
直脱帽です。が、「ってことは今日は歩くのきっと早いぞぅ。となると一番スタミナない
のはこの小生ってか?」こりゃ新年からえらいことになりそうだ。笑った顔のその裏で、
少し不安に顔を歪める小生であります。(^^;

 集合時間きっかりに、だめちゃんの車もやってきてこれで全員集合。寒いだろうからと
途中のコンビニで焼酎や清酒を仕入れて車2台で滝畑に向かう。トンネルを抜けて左に折
れた所が滝尻の集落。広まった路肩に車を止めようとすると、派手な帽子を被った小父さ
んと4頭の犬がいる。ハンターだ。北側の山でやるんだという。一徳防山へ登るんだとい
うとそっちは大丈夫だというので一安心。その間に人懐こい犬とは友達になってしまった。

 さて、1台の車はここにデポ。もう一台で更に北上して日野へ向かう。コミュニティバ
スの中日野のバス停付近に山手に登る道がある。角に道標発見。暫く斜面を登って民家が
尽きた所にある涸れた池の土手に駐車。車外に出ると思ったより寒い。急いで準備を整え
る。
日野の取付き。深く掘られた道は
古い生活道だったのか

 展望はないが落ち葉が深々と積もった思ったよりいい道である。深くえぐられているの
は、昔から生活道として使われてきたに違いない。要所に時折現れる河内長野テクルート
と刻まれた道標がある。周囲は手入れの悪い杉桧林や広葉樹の林が続く。山腹を巻いたり、
小さな起伏を越えたりで、だらだらと歩く割に高度は上がらない。その分、距離は捗るが。

 幾つ目かの道標が立つ所で、漸く東側が開けた場所に出る。大きくすそ野を広げている
のは金剛山。頂上付近は雪雲らしい灰色の雲。それが晴れると白い斑模様が現れた。霧氷
が綺麗だろうなと思うしりからこちらにもチラチラと白いものが風に吹かれて落ちてきた。

 植林帯を抜けて雑木の小さな尾根筋に出る。倒木があって踏み跡が錯綜しているが、T
字路で高圧鉄塔が近いことから右は旗倉山への踏み跡らしい。旗倉山へは往復20分程ら
しいのだが、展望がないとのことから、多数決で寄っていくのは否決となった。(^^;

 そこから直ぐに『見晴岩』。思ったより小さな岩で確かに東側が見晴らせるが、特筆す
る程でもなく、本当にこれがその岩?って声もちらほらあったが、他に似た岩もなくやっ
ぱりこの岩だろうということに落ち着く。

 高圧鉄塔を抜けると鞍部に出る。扇畑谷と大ザオ谷を隔てる扇畑乗越と呼ばれる場所ら
しい。その乗越を過ぎる頃になると、漸く傾斜も厳しくなり小刻みなアップダウンも出て
くる。ツツジの多い尾根道は関電の巡視路を兼ねているらしく、所々にあの黒いプラ階段
が現れる。この付近でガイド本には偽ピークに騙されるとあったが、そんなもんあるんか
ぁと多寡を括っていたら本当にありました。登り切ったら向こうに次のピークが...。(^^ゝ

 偽ピークを抜け、西側がガレて切れ落ちている稜線を抜けてきつい傾斜一登りすると、
漸く非常に狭い一徳防山の山頂である。ガイドにあった様にここも西側がザレ場で切れ落
ちている。土質が宝塚の蓬莱峡に似た花崗岩質だからであろう、風雨に曝されザラザラと
白く脆い。路肩も雪庇のようで踏み外すと危ない感じである。その脆さの為に三角点も4
00m南東のピークに移されたのだという。しかし展望は素晴らしい。先着の単独小父さ
んが景色を愉しんでおられた。我々もそれに倣う。槇尾山の間からはりんくうゲートタワ
ー。大阪湾の向こうは六甲。大阪市街は全て見渡せ、遠く箕面連山も霞む。嶽山から生駒
山、矢田丘陵、葛城山に山頂付近が白い金剛山。しかし何といっても南の岩湧山が黒々と
大きい。

 南の高圧鉄塔付近は風がない日溜まり。そろそろシャリバテの面々、ここで食事の手も
あったが、お昼にはまだ間があるので、三角点ピークまで歩を進める事にして、右手に岩
湧山、左手に金剛方面を望みながら狭い尾根道を進む。ミツバツツジが多く、3,4月の
春もいい道であろうと想像される。ほとんど高低差もなく難なく三角点ピーク。高圧鉄塔
の足元に、残念ながら角が欠けた三等三角点があった。一体誰が何の為になす仕業なので
あろう。常識では考えられない所業である。

 ここも素晴らしい大展望。十分堪能した後、風を避けて鉄塔下の南西斜面で昼食とする。
ここで持参した焼酎、清酒の出番。冷えた体がホカホカと暖まってくる。こりゃーええわ
ぁ。これからもこの手で行こうと、もぐさんとベクトルが合う小生である。

三角点ピークの南側、逆光の中に大きく
広がる岩湧山。山頂のカヤトの原が望める

 若い桧の植林を左にしながら、徐々に下って鞍部。少し登り返すと左前方に存外、高度
差のある編笠山のピラミダルな姿が目に入る。ヤブツバキが多い道を更に進むと、道標の
ある峠。十字路になっていてそれぞれ行き先が書かれているが、何か一寸おかしい。間違
った部分を削ったり悪戯書きもあるので注意です。

 編笠山へは直進であるが、この登りは半端ではない。今までワイワイと話が弾んでいた
のだが、何時の間にやら黙り状態。当方は周囲も目に入らず、ひたすら目の前の斜面を登
るのみ。が、だめちゃんはと見るとどんどん先に行くし、後からは鴨肉隊が追いかけてく
るしで、「弱みを見せてものかわ」と立ち止まって息を整えたいのを何とか我慢する。傾
斜が緩んで「頂上でーす」の声を聞いた頃には、実は息も絶え絶えの状態であったのでし
た。

 その編笠山には三角点はなく、杉と桧に綺麗な赤松林の中の東西に長い山頂を持つ。そ
の一角で小休止。そこでもぐさんから『タツガ岩』を見落としているので行こうとの提案。
さっきの鞍部まで下った所がタツガ岩への道と早合点した小生。思わず、
「デポした荷物の番してますわ」
まあ、そうも行かず、「ええい!ままよ。いてまえっ」
しかし、タツガ岩は100m程戻った左手の分岐。府立長野高校の道標もあるではないか。
さっきは全く目に入らなかったのになぁ。

タツガ岩でオットット。ミニ大蛇ーと云われるが、
それ程でも...でも落ちれば勿論...

 ミニ大蛇ーと云われるらしいが較べるべくもない。だが、そこに立てば矢っ張り恐い。
代わる代わる登っては肝試しである。

 編笠山の山頂を南東方向から降りる。ここにも高圧鉄塔が建っていて、その展望もなか
なかのもの。ことに益々大きく屏風の如く立ちはだかる岩湧山の姿がよい。岩肌には白い
雪。西には白いドームを頂く三国山が望めた。

 消え残る雪を見ながら丸太階段を一気に下る。眼下に岩湧寺の甍と林道のガードレール
も認められる。左手にはどっしりと三角形の金剛山。やがて平坦な道になると手入れされ
た杉林の中となる。「杉木立の道」というそうだ。そして程無く林道出合に飛び出す。

 小休止の後、林道滝畑加賀田線を滝尻へ向かう。金山谷に沿って、編笠山の南面をなぞ
るように下る林道からは、所々に露岩や岩の崖が眺められる。そこに痩せた松がアクセン
トとなってまるで山水画の世界である。林道歩きといえば単調なものだが、景色が良いの
でそれ程辛くもない。気付かぬ内に現れた左手の沢の水量が徐々に増える頃、新しい立派
な民家が見えてくる。横谷分岐である。

 分岐を右に折れると間もなく横谷の集落。廃屋になった民家も多く、何となく荒れた感
じが否めない。垣根に使われている南天の赤い実が何だか寂しげだ。昔は休暇村の宿泊棟
として建てられたバンガロー風の建物も、ガラスが割れて朽ちるに任されている。廃村に
なるのも時間の問題かも知れないなあ。

 カワセミの青い姿をチラッと目の端に留めながら更に下っていく。ザーッと大きな水音
は、細流を集めて川らしくなった横谷川に懸かる権現滝。箕面の滝ほどもある堂々とした
滝で、降り口があるとの事だったが結局見つけられず。その姿は車道からチラと見ただけ
に終わった。

 眼下に滝尻の集落が現れる。大加茂さんの車も見えてきたが、ハンターの車はもう無か
った。だめちゃん達が車を取りに行っている間、こちらは残った焼酎のホットポカリ割で
体を温める。(^^;)

 ほんのりしてきた頃合いに2台の車が戻ってくる。空も心なしか茜色がかってきたよう
だ。解散後、だめちゃんに河内長野駅まで送ってもらったお陰で直ぐの急行で帰途につけ
た。風花舞う新春早々のミニオフ。昼食の焼酎も最高だった。楽しい時間を作って戴き、
同行の皆さんに感謝です。



■同行  大加茂さん、だめちゃん、みーとさん、もぐもぐさん(五十音順)

【タイムチャート】
6:55自宅発
8:12〜8:35南海河内長野駅前ロータリー
10:05〜10:10東側展望地
10:19〜10:26旗倉山分岐
10:40〜10:42見晴岩
10:45高圧鉄塔bP2
10:52扇畑谷乗越
11:10〜11:16一徳防山(541m)
11:34〜12:35点名『一徳防』(544.3m 三等三角点)
12:57編笠山手前の峠
13:12〜13:17編笠山(635m)
13:25〜13:35タツガ岩
13:40〜13:50編笠山
13:52編笠山山頂南の高圧鉄塔
14:00〜14:10林道「滝畑加賀田線」出合
14:46横谷分岐
15:15滝尻口



一徳防山のデータ
【所在地】大阪府河内長野市
【標高】541m(三等三角点『一徳防』544.3m)
【備考】 岩湧山の北に位置する独立峰です。面白い山名は有徳の
僧侶が隠棲していたからだとも云われます。山頂の西側
の風化が激しく、東へ400m離れた高圧鉄塔ピークに
三角点が移されていますが、新旧何れの山頂からの見晴
らしは特筆ものです。
編笠山のデータ
【所在地】大阪府河内長野市
【標高】635m
【備考】 岩湧山の北に位置する標高点ピークです。東西に長い山
頂の為、西から望むとピラミッド型の尖峰に見えます。
南麓は金山谷を足下に岩壁が続きます。
【参考】2.5万図『岩湧山』



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