春めいて播州三草山
 平成15年 3月21日(金)
【天候】快晴
【同行】単独
下久米の茶畑から望む三草山塊。
中央の露岩は『狼岩』


 播磨平野の北東部に位置する三草山は源義経が平家を奇襲した三草山合戦で有名な山。
主な登山コースは3つあり、数年前に三草コースで一度登ったことがあるが、450m足
らずの低山にも関わらず、結構骨のある山であった記憶がある。今回はもう2つのコース、
鹿野コースと畑コースを繋ぎ、朝光寺を巡って戻ろうという趣向。久々の快晴に恵まれて、
素晴らしい山歩き愉しむことが出来ました。

 三連休の初日とあって、どこも混みまくり。おまけに予算消化の為か、あちこちでやら
ぬでも良い道路の掘り返しをするから、これが渋滞に輪をかける。お陰で自宅から下久米
の駐車場まで1時間半も要してしまった。(苦笑)

 登山口の表示の100m程過ぎた先に数台止められる空き地がある。簡易トイレつき。
2台の先着車。早速、準備を整える。笹鳴きするウグイスの声。白梅がほころんでいる。
オオイヌノフグリのサファイア色の花。タンポポの黄色。今まで枯葉色のモノトーンであ
った畦は、春の色に染まり始めている。

 墓地の横で道が分岐している。一寸分かり難いが、ここは山側に向かう左をとる。道は
すぐさま岩混じりとなる。何となくガスの臭いがすると思ったら、早くもヒサカキの小さ
な花が咲き始めているのだ。ツツジも芽を膨らませおり、つい先頃までの寒さとはうって
変わって一気に春めいてきた感じだ。

 再び分岐。ここには案内標識がある。左は昭和池への道らしいが、あまり使うなという
意味なのか表示が消されている。

 コシダの繁る広い道を辿ると間もなく、傾斜が増した露岩混じりの先にベンチの置かれ
た展望地に出る。振り返ると雄岡山、雌岡山が古墳の様に盛り上がる播磨平野が一望。西
の三角点峰がピラミダルで綺麗だ。道標には「山頂まで2600m、麓700m」とある。ここか
らは暫く平坦な道。Ca210mの稜線である。すぐに平成6年の銘のある石造りの三草山
神社の鳥居をくぐる。木々の間からは西に数曽寺山塊、南にゴルフ場、茶畑が眺められ、
茶畑の手入れをする農機具のエンジン音が遠く聞こえて来る。

 さて一旦下って登り返すと233m峰。ここで右に大きくカーブすると再びシダの茂る
やや細まった平坦尾根。左前方には三草山への山並みが眺められる。まだまだ先は長いわ
あ。(^^;)

天狗岩手前の尾根から三草山(中央)

 るんるん気分で歩いていくとコンクリ擬木の階段のあるザレ場に行き当たる。ほんの少
しの間だが急登をこなせばまた平坦となる。

 ところでそろそろ天狗岩のはずだ。地形図を眺めると天狗岩の手前のピークには三角点
がある。そこで注意していると、道が緩く左にカーブする地点の手前に右に折れる薄い踏
み跡を発見。雑木に鉈目もある。手元のGPSは右手を指し、距離は10mを切っている。
しかしここから苦戦。コシダが繁ってなかなか判然としない。あちこちシダを踏み分け探
索するが埒開かず。そこでもう一度戻って再アタック。すると一旦縮まった距離が再び増
加する地点で、サルトリイバラの棘もものかは、GPSが指す方向へ飛び込むと、あった!
保護石に囲まれた真新しい四等三角点。やったぜーぃ。(^^;)

シダに覆われた中でようやく見つけた
四等三角点『天狗岩』

 ホッと一息。ガサガサとシダの間から出て、登山路に復帰する。三角点は見つかったが
肝腎の岩が判らない。鞍部のベンチに座っていたご夫婦も判らないとのたまっておられた。
しかしこの付近からの展望はよい。昭和池の緑の水面、荒れた数曽寺山塊。遠く地平には
千ヶ峰、笠形山、明神山、七種山等が居並んでいる。なんと段ヶ峰と思しき高原には白い
雪まで眺められた。

天狗岩と376m峰との鞍部から眺める昭和池
と数曽寺山塊。地平右奧に笠形山

 再び北に振った尾根道は虎ロープの岩盤もあるが、概して緩やか。最後にやや急になっ
た登りを我慢すれば、畑コースと出会って、見覚えある懐かしい山頂は直ぐであった。

 おおっ?意外や山頂には誰もいない。「山頂占領だぁ!」と思いきや、夫婦ハイカー等
が次々登ってきて結局、山頂のベンチは埋まってしまった。残念!甘かったぁ。(^^;)

 昼食の湯が沸くまで恒例、双眼鏡で展望を愉しむ。南には雄岡山、雌岡山に明石海峡大
橋と淡路島。西には明神山、七種山、笠形山、千ヶ峰。北は西光寺山に清水山。東は東条
湖ランドに六甲山系。春にしては非常に視界がよい。

 そんなこともあって、1時間以上も山頂でウロウロしていた。後から来た数組のハイカ
ーもみんな先に降りて行った。(^^;) こちらもソロソロ。畑コースの分岐まで戻って東
へ向かうことにした。

 すぐに井戸ヶ谷。山城があった時に井戸でも有ったのかな?ここから眺める山頂は、確
かに山城が在ったことを想像させる。

東の井戸ヶ谷付近から望む三草山
山城であったことがよく分かる
左の尾根に畑コース登山道が見える

 浮き石が多いので注意して急坂を下る。それにしてもチャートっていうのか赤い色の岩
が多い。それが風化して土状になると、テニスコートのアンツーカの様である。時々、左
手には堂々とした西光寺山。直下の谷は何を造っているのか赤土剥き出しの無惨な工事現
場が見える。でもこういう自然破壊はやめて欲しいものだ。(HMCとかいう新興宗教の
道場の様です)

 左に大きく曲がると「関西商品取引所 未来の森」と看板とベンチ。再び右に折れて一
直線に下れば、間もなく畑登山口に出る。ここにも三草山神社の木の鳥居がある。緑色し
た水面を持つ池の畔には駐車場があるが、車は皆無。親子連れが池で魚釣りしているのみ
であった。

 ここからは嫌な舗装路歩き。バサバサとコジュケイらしい中型の鳥が横切るのに驚いた
り、梅の花を愉しみながら歩くのだが、やはり車道歩きは殊の外、疲れるというよりうん
ざりする。なかなか目当ての朝光寺が現れてこない。近畿自然歩道の案内板があるので間
違いなかろうが、山の中より人里の方が歩き難いなあ。(笑)

 案内板のある十字路を右折するとやがて前方に日の丸が翻る寺の建物が見えてくる。あ
れが朝光寺かな?それにしては建物が真新しいようであるが...。門前で確かめると真
言宗吉祥院とある。朝光寺の塔頭ではないかと、見れば何のことはない。その向かいが朝
光寺であった。

文治5年(1189)建立の国宝の朝光寺本堂

 朝光寺は播磨では有名な法道仙人の創建と伝える真言宗の古刹。もとは裏の権現山にあ
ったのだが、平安末期の文治5年に現在地に移ったという。湿り気を帯びた感じの境内に
は札所巡りの石仏が散在していて、中には無惨にも首が落ちたものもある。本堂左には多
宝塔。慶長6年(1601)、池田輝政の再建だという。

 大きな水音が境内に響く。少々荒れた道を降りていくと鹿野川にかかるツクバネの滝が
ある。水が左右に二分された高さ10m程の滝。思ったより水量があるではないか。

 山門へ登る急坂を上がると国宝の本堂。靴脱ぎで孫と遊ぶお婆さんが座っていた。

 朝光寺を辞して鹿野川沿いの車道を西へ向かう。杉木立の狭い道を抜けると左手にゴル
フ場が広がる。そのフェンス脇に石の道標を発見。「左 朝光寺、清水寺」と読まれ、車
道が元来、古い参道であったことが判る。

ゴルフ場のフェンス横の道にあった
道標。左、朝光寺、清水寺とある

 橋を渡って右にカーブすると西側の視界が一気に広がった。右の三草山塊の裾野一帯に、
綺麗に丸く整形された茶畑が広がっているのだ。(冒頭の写真)その三草山塊に大きな露
岩が見える。あれが天狗岩かな?丁度、作業が終わった農家の方々が休憩されていたので
聞いてみる。
「あれは狼岩と呼んでる。天狗岩は向こう側やから見えんなぁ」

 茶畑の岡を下って左に折れると駐車場はすぐそこ。ザックを下ろして一息つく。一気に
春めいた5年ぶりに歩く三草山。雲一つない空にやや西に傾いた陽を受けた浅葱色の山姿
がくっきりときれいでした。



【タイムチャート】
8:45自宅発
10:30〜10:35鹿野コース駐車場(Ca110m)
10:40墓地
10:52〜10:56ベンチのある展望台
10:57石の鳥居
11:25〜11:30点名『天狗岩』(304.4m 四等三角点)
12:03畑コース出合
12:06〜13:12三草山(423.9m 二等三角点)
13:15畑コース出合
13:18井戸ヶ谷
13:40畑コース登山口
14:00〜14:10朝光寺
14:45鹿野コース駐車場(Ca110m)



三草山のデータ
【所在地】兵庫県加東郡社町
【標高】423.9m(二等三角点)
【備考】低山なれど骨ありの播州三草山』を参照して下さい
【参考】2.5万図『比延』



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