梅ほころぶ中山連山縦走

平成14年 2月16日(土)
【天候】 快晴
【同行】 途中からWMさん
点名『平井』のピークから見るCa330mピークの
ガレ場。このコースのハイライトの一つです


 久しぶりの快晴無風。しかも明日は雨という予報。ところが行き先が前日に決めなかっ
たものだから、なかなか決まらない。時間だけが容赦なく過ぎていく。低徘のみんなはど
うだろう。掲示板を見るともう出発した後だ。追いかけるにももう遅いしなぁ。そんな時、
頭に浮かんだのが中山。前回は暑い最中に清荒神へ下った覚えがあるが、今回は初コース、
縦走路を東へ歩き阪急山本駅へ出る算段。梅も見られるし、尾根歩きの掉尾を飾るガレ場
もあるしと、結構バリエーション豊かじゃないか。そうと決まれば早速用意である。

 阪急中山駅近くの駐車場。料金は千円と高い。が、車上荒らしや駐禁取締りにビクつく
事を思えばと無理矢理、懐の心細さを慰める。とほほ。

 中山寺は沢山の人出。梅見客と思えば、中風防ぎの大根炊きの日であったようだ。大き
なテントの下でお年寄りが煮た大根をパクついていた。(食べたいなぁ)

 信徒会館横から奥の院へ向かう。右手が梅園。大阪城公園は満開だったのに、やはり都
心に較べ寒いと見えて、まだちらほら咲き。それでも紅梅が青空に映えて絶妙なコントラ
ストである。

青空に映える中山寺梅林のほころびかけた紅梅

 一旦下って足洗川の谷を渡る。中山寺に庵を結んだ儒学者卜部左近の墓の前を過ぎて、
住宅沿いに登っていく。「左本山道」と彫られた道標。享保19年と云うから、今からざ
っと300年前。徳川吉宗の時代だ。ここから一丁二丁と沢山の石仏が参道に鎮座する古
い道が続く。
享保19年建立の中山寺奥の院への道標

 ツツジとシダが茂る尾根に出ると六甲方面が見渡せるようになる。甲山がお椀を伏せた
よう。ふと右手に赤白ポールを発見する。ん?やや?三角点。点名『中山寺』173.4
mの三等三角点であった。今まで気付かんかったなぁ。

 夫婦池公園の展望台には早くも昼食を広げるハイカーも居て、春を思わせる陽気に今日
は殊の外、盛況の様子。横の説明板に見入る。曰く「宝塚自然休養林 252haの国有林」
道理で植林がないのか。納得する。

 あんまり使われている形跡のない林道を横切って、奥の院分岐を右に向かう。中山最高
峰まで2.2km。

 常緑樹に替わった樹相が再び雑木林に替わる。山頂展望台の東屋から少し北へ入ると、
手摺のある展望地からは大峰山が大きく立ちはだかり、右前方には小さなコルを隔てて中
山最高峰がようやく目に入るようになる。まもなく到達した最高峰の三角点辺りでは、昼
食のグループ等があちこちで車座になっている。こちらも空きを探して昼食の用意。湯を
沸かす。すると何処かで見たような顔が。偶然と云うのは面白いものである。実は中山を
テリトリにしておられるWMさんであった。

 当方がカップラーメンを食べている最中も、WMさんは無線のコールに余念がない。そ
の熱意が通じたのか、まもなく半国山のかねちゃんと繋がった。

 阪急山本駅へ下る予定を話すと、WMさんも同行頂けるとのこと。満願寺への道標に従
い、フェンス沿いを東へ。アップダウンの少ない良く踏まれた道が続く。周囲はアカマツ、
ネズ、ツツジ、ネジキ、リョウブ等からなる雑木林。その中を所々で踏み跡が分岐、五月
台に降りるルートではフェンスが破られている。

 向井山分岐を過ぎ、高圧鉄塔を巻いて南へ。ふと見ると南小浜線とあった。ということ
は城山の南にあった高圧線と同じ。ここへ繋がっているとは知らなかった。

 縦走路途中にはなかなか展望のいい場所がある。とくに南側がよい。ガレた岩場では、
左にゴルフ場、右に宝塚の市街地が一望である。振り返れば歩いてきた稜線。中山最高峰
も大分遠くに隔たる。

 満願寺西山(点名『最明寺』)は尾根の北から見るとちょっとしたピーク。三角点へは
40〜50m登って平坦になった縦走路から10m程、横道に逸れる。横道の入口にピン
クのテープがあったが、三角点にもそれが巻かれてあった。プレート類は無し。展望も少
々西側が見える程度で、雑木に囲まれほとんど無し。

点名『最明寺』の四等三角点
縦走路を少し西へ入ります

 一息入れる。が、WMさんが現れない。後戻りしても姿が見えないところを見ると、先
へ行かれたのだろうか。

 南東方向に小さなアップダウンを繰り返すと、高圧鉄塔の建つ台地に出る。大きな立ち
木が無いので、ほぼ360度の大展望である。東に愛宕原のゴルフ場、川西の新興住宅街、
五月山連山。阪神高速の吊り橋が目立つ。南には伊丹空港の滑走路、六甲の山並み。視界
が良ければ海に浮かぶ船も見えるのだが...。

 鉄塔のフェンスには愛宕原ゴルフ場を経て満願寺の道標がある。山本駅へは尾根に沿っ
て直進らしい。尾根は徐々に高度を下げて行く。生えている木々も数が減って露岩が目立
ってくると、岩場がぐっと傾斜を増して落ち込むようになる。今日のハイライトの一つが
この岩場。が、取っ掛かりのない岩ではなく凹凸のあるざらついた岩で、あまり滑る感じ
がないので不安はない。更にロープも備えてあり適当に灌木もあり、愉しみながら降りる
ことが出来る。ふと下方にWMさんの姿が目に入る。三角点に寄っている間にやはり先行
されたようでだった。

 民家の屋根が近づいてくる。降り立った所は、東へは満願寺、西は山本駅へ出る小さな
峠であった。南に高圧鉄塔の立つ小山があるので、WMさんを誘って寄ってみる。関電の
巡視道を5分も登れば頂上の四等三角点ピーク(点名『平井』)。今日はこれで4つ目の
三角点タッチである。

 このピーク、ほんの小さな高みだが、展望は思いのほか良し。何といってもさっき降っ
てきた岩場が良く見通せる。おりしも数人のハイカーが下降の最中。豆粒の様だ。右に目
を移せば妙見山、高代寺山が眺められた。

 峠に戻って山本駅へ向かう。常緑樹の多い里山の雰囲気。なだらかな山道である。小さ
な涸れ沢沿いに降ると、左から満願寺からの道が合っする。角に廃屋が一軒。やがて辰巳
橋と土で出来た珍しい山門が現れた。大聖不動尊とある。左に進むと最明寺滝の渓谷。折
角なのでここでも寄り道する。

 200mばかり谷を遡ると、岩に囲まれた場所に突き当たって、右から優美な滝が流れ
落ちている。最明寺滝。高さは約10m。左手の大きな岩の割れ目に不動尊が祀られてい
ることといい、滝の形といい、丹波の独鈷の滝によく似ている。信者らしいおじさんが一
人、掃除されていた。
丹波の独鈷の滝に似た最明寺滝

 この辺りの川沿いには占いをこととする宗教施設らしき家が幾つか。これはどこか生駒
山の西麓に似ている。旧家と新興住宅が入り交じった間を凡そ20分も歩いただろうか。
ようやく阪急宝塚線の山本駅であった。

 電車で宝塚方面に戻る。清荒神に車を置いているというWMさんとは中山駅で別れる。
ぽかぽかとしたハイク日和。梅もほころんで春ももう間もなく。思わぬ邂逅にも恵まれた
充実の1日でした。しかし、この稜線も開発の嵐に何時まで持ちこたえられるであろうか?
そういう意味では、バブルは二度と来て欲しくないものである。



【タイムチャート】
10:00自宅発
10:40〜10:45中山駅付近の駐車場
10:50中山寺
11:07点名『中山寺』(173.4m 三等三角点)
11:20〜11:22夫婦岩公園
11:30中山寺奥の院分岐
11:42中央展望所
11:55山頂展望所
12:07〜12:50中山最高峰(478.2m 二等三角点)
13:21〜13:26Ca390mピーク
13:38〜13:41Ca340mピーク
14:01〜14:10満願寺西山(361.6m 四等三角点)
14:20満願寺分岐の鉄塔
14:35〜14:37満願寺・山本分岐のコル
14:42〜14:47点名『平井』(231.8m 四等三角点)
14:50満願寺・山本分岐のコル
15:05〜15:15最明寺滝
15:40阪急山本駅


中山のデータ
中山最高峰は蒸し風呂状態を参照下さい。
満願寺西山のデータ
【所在地】兵庫県宝塚市
【標高】361.6m(四等三角点)
【備考】 中山連山中の一峰です。東側をゴルフ場、西側を新興住
宅地に浸食され、些か可哀想な感じがします。山頂は展
望がありませんが、縦走路の前後は良い展望が得られま
す。
参考エアリアマップ『北摂の山々』  


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