貴公子花紀行〜向山で再びツツジ三昧

平成14年 4月13日(土)
【天候】 薄曇りのち俄雨
【同行】 別掲
折良く満開のヒカゲツツジに会えました


 春の丹波は日本の原風景。里山は新緑に包まれ、沢山の花が咲き乱れる。今日はその丹
波は向山のヒカゲツツジオフ。

 実は職場環境の変化、風邪の影響もあって、やや体調が優れず、直近まで行くか行かぬ
か決めかねていた。しかし天気が良いのに家にいても後で悔しい思いをするだけだしと、
思い切って出かけることにしたのだが、一昨年にも劣らぬヒカゲツツジとミツバツツジの
歓迎を受け、参加して良かったとの思いを殊の外、強くしたオフとなったのである。

 4月は何かと物入りが多く、集合地の水分れ公園までは地道。それでも2時間弱、9時
20分には何とか集合地に着いた。笑い声がすると思ったら、主宰のたぬきさん夫妻を中
心に参加者の輪が出来ている。何と今日は23人の参加だという。更にかねちゃんも後か
ら合流して、総勢24名。葛城山忘年オフ以来の大人数ではないだろうか。

 次々と集まってくるメンバ。和気藹々の自己紹介を終えて、やおら、10時10分過ぎ
出発。観音堂コースから登るのは一昨年と同じ。猪除けフェンス沿いに、タチツボスミレ
咲く尾根筋からいきなりの急登である。エンジンのかかる前だから余計きつく、早くも額
に汗が伝う。小生だけが顎を出しているのかと、内心不甲斐なく忸怩たる思いだったが、
後で聞くとそうでもなさそうで、やや安心といったところか。そういえば、2年前ものっ
けからきつかったとの思いが甦ってきた。

 滝山古墳のある二の山(298mピーク)で一息つく。先行していた他のパーティが休
憩中。総計30名近くが入り乱れてワイワイ。明日のJR主催のハイクもこんな感じであ
ろうか。古墳の主も寝てられぬと苦笑いしているかも知れない。(笑)

 一昨年の見覚えのあるミツバツツジが今年も健在。綺麗な花を咲かせている。その下を
くぐり、ポタリという感じで地面に落ちたヤブツバキの赤に見入りながら、岩座展望台、
亜炭展望台と適度な間隔で設けられている展望所では景色を楽しみながら、徐々に高度を
上げていく。その内に「今駐車場に到着。後を追う」と無線で連絡のあったかねちゃんも
追いついてきた。
御祓山に続き、ここでもコバノミツバツツジが満開

 標高400mを越えた辺りから、そろそろ主役はミツバツツジの藤色から、お目当ての
ヒカゲツツジのクリーム色に交代のはずであるが、今年はどうであろう?気になるところ
であったが、鞍部から三の山(Ca470m)を越え、急な下りに入った頃である。左手遙
か下だがクリーム色の花が木の間がくれにちらついているのが視界に入った。おおっ?咲
いているではないか。更に同じ頃、前方からも歓声が上がる。タイミングはばっちりの様
だ。
いずこを見ても満開のヒカゲツツジでした

 四の山(511m)の登りからほぼ平坦な道になると、あちらこちらにヒカゲツツジの
群落が眼につきだす。今年もクリーム色の沢山の花。日陰と云うだけあって、概して北側
斜面に群生している。それが深坂北峰(Ca520m)を乗り越えた辺りでは文字通りトン
ネル状態となる。ここまで来ると一行には少なからずツツジは食傷ぎみと見えて、少々の
ツツジの群落にはもう驚かなくなってしまっていた。(笑)

 ところで、今年は何故かタムシバの花を見ない。北摂の剣尾山や深山では咲いていたの
だが...。裏年なのであろうか?それなら良いのだが気になるところではある。

 向山山頂には丁度正午。それを知らせるサイレンも聞こえ、ここで昼食タイムとなった。
あちらこちらで準備をする面々。その間、タヌキさん持参の地酒小鼓、八木さんのワイン
の差入れでほろ酔い。笹倉さんのお菓子の小分け袋は小さい頃の遠足を思い出す。そして
極めつけは山頂での記念撮影。のりかさんの音頭で鴨肉隊のお披露目で盛り上がる。そう
そう忘れずに書いておこう。のりかさんの本物の鴨の焼き鳥の差し入れも旨かった。

 午後からは向山平でミヤマシキミ、アセビの花を楽しみながら蛙子(かえるご)のミニ
岩尾根筋を辿る。杉林の中の譲葉山分岐、珪石鉱山跡の残る珪石山分岐を抜ければ、まも
なく清水山(542m)。

 清水山には関電の反射板が無粋にでーんと構えているが、その切り開きのお陰で南方向
の景色はよい。しかし、この周辺の山々の同定は当然、北摂の様には行かない。天候悪化
で視界が伸びなかった所為もあるが、高見城山、三尾山、黒頭峰、篠が峰程度が分かるの
がせいぜいであった。

 小憩していると、ついに雨がぱらついてきた。展望もそこそこに鳳翔寺方面コースへ急
ぐ。始めは急下降だが、それも徐々に落ち着いてくる。赤プラ杭沿いに良い道がついてい
て、2年前に較べて格段に整備が進んでいる。あの時は途中で道が無くなったが、今回は
そんな心配もなさそう。

 ここでもミツバツツジが美しい。雨でなければ鮮やかな写真が撮れるところだが、いか
んせん、本降りになってきた。皆さん雨具の用意。幸い雑木の中は雨がかからないことも
あって、小生は面倒くさいので、ザックカバーのみにする。

 南多田の明願寺との分岐を過ぎる辺りは赤松が美しい。松葉の折り敷かれた滑りやすい
尾根道を降っていくと、目の前に折り重なった大きな岩が現れる。いそ部神社の岩座だそ
うだ。分水嶺にあるいそ部神社は水の神様だろうから、ここで水乞いの神事か何かが行わ
れていたに違いないが、今はその痕跡もない。濡れているので注意しながら登ってみると、
これがなかなかの絶景。石生から柏原へ広がる町が見渡せる。タヌキさんの家も見えるん
だそうだ。集合地の水分れ公園駐車場も指呼であった。

 岩座からは植林の中に入り、明確な道はいつの間にか消えてしまった。左手に沢と思し
きえぐれた部分が現れてきたが、在る人が岩座への参道ではないかという。云われてみれ
ば、過日、掃雲峰から天引へ降った時に現れた古道と良く似た形状をしている。ここも今
は忘れ去られた廃道のようである。

 明快な道はないが、がれた植林の間を何となく降っていけば偶にテープもある。廃道沿
いに歩けば間違いないようで、里近く、鹿か猪除けの柵の扉付近には、鳳翔寺登山口と道
標があった。

 白雲山鳳翔寺は何宗の寺なのだろうか?「葷酒不許入山門」の石碑があったから禅宗か?
いや、そうとも限らないかぁ。茅葺きの本堂と兵庫県最大といわれる栂の木のある清雅な寺
である。そのたたずまいは2年前と変わらない。本堂前の庭にはオドリコソウ、ハナニラ、
キランソウが見られ、何故かぽつんと一輪、レンゲが咲いていたのが不思議である。

笠を被った踊り子の姿を連想させるオドリコソウ

 そこから駐車場へは西へ数百m。ゆるゆると雑談モードで歩けば、北に縦走した向山連
山が屏風のようである。さっきの岩座も眺められる。踏破の後にはいつも思う。「良くま
あ、歩いたもんだ。」

 高谷川に架かる橋を渡る。石生辺りは日本で最も低い分水嶺で標高は100m足らず。
しかもこの高谷川の堤防が分水嶺なのだそうだ。そのアスファルトの中央の僅か数oの違
いで雨水は日本海と瀬戸内海に別れるのだ。『可哀想だよ ズボンのおなら 右と左に泣
き別れ』という都々逸があるが、それを地でいく話ではある。(笑)

 駐車場では皆さんの差し入れと、恒例、タヌキさんの黒豆パン。パンやお菓子片手に雑
談に花が咲くが、果てしもなく、キリのいい所でタヌキさんの音頭でお開き。

 いつ来ても丹波は落ち着く所。日本人に居心地良い部分が未だに残っているからではな
いだろうか?そんな里の春爛漫を満喫した一日でありました。鄙びた城下町柏原の陣屋跡
に寄って帰途につく。やっぱり来て良かったなぁ。たぬきさん、初対面の方々、そしてい
つもの皆さん有り難うございました。

※註)いそ部神社の「いそ」は、実際は山偏に石の漢字をあてます。


【同行】大加茂さん、かねちゃん、小林さん、呉春さん、笹倉さん、佐竹さん、幸さん、
    さとゆきさん、三文さん、椎谷さん、しまださん、たぬきさん夫妻、ときこさん、
    西山さん、のりかさん、松田さん、ミートさん、山喜多さん、山田さん、
    八木さん夫妻、米田さん(50音順)


【タイムチャート】
7:30自宅発
9:20〜10:10水分れ公園駐車場(集合地)
10:34〜10:40二の山(298m)
10:50いそ部神社分岐
10:53〜11:00岩座展望所
11:07三の山(Ca470m)
11:14〜11:16亜炭展望台
11:25四の山(511m)
11:45深坂北峰
11:58〜12:48向山(569.0m 三等三角点)
12:50向山平展望所
13:08五の山(最高峰 Ca580m)
13:24〜13:26蛙子展望所
13:32蛙子峰(562m)
13:35譲葉山分岐
13:46珪石山・清水山分岐
13:56〜14:05清水山(542m)
14:19明願寺・鳳翔寺分岐
14:42〜14:48いそ部神社岩座
15:00〜15:15鳳翔寺
15:20水分れ公園駐車場



向山のデータ
貴公子花紀行〜ヒカゲツツジの向山を往く』を参照下さい。

【参考】2.5万図『柏原』



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