貴公子花紀行〜ヤマシャクヤク憧憬、再びカトラ

平成14年 5月12日(日)
【天候】 うす曇り
【同行】 二輪草さん夫妻
念願のヤマシャクヤクにやっと会えました


 かねて実物を見たいと思っていたヤマシャクヤク。それが金剛山に自生しているという。
更にクリンソウも咲いていると聞いては行かずばなるまい。しかも金剛山をテリトリーに
している低徘のメンバーNさんから、ご丁寧に地図迄戴いたとあっては....。(笑)

 ところが、最新情報では惜しいことに数日来の雨で花が溶けてしまったという。しかし、
しかしである。なんと一輪咲きかけのものが残っていると云う朗報が....。

 9時過ぎ、シイタケセンターの駐車場。昨日とうって変わって雨の心配がない今日は、
人出も多いだろうと予測していたが、案の定、駐車場は満杯。が、早朝登山を終えた車が
折良く出庫してくれた。しめしめ。

 支度して、大半の人とは逆に、茶店を左に折れて林道長谷線。薄曇り。昨日までの雨に
洗われ新緑が一段と冴えている。しかも少しひんやりとした空気はハイク日和。

 林道ゲート。先行する団体の初老パーティは右に折れて水源地の建物の方へ行ってしま
った。そのまま直進して山腹を巻く様に進むと、前方に何やら野草を撮影しているご夫婦
が。近づくと何処かで見かけた顔だ。その時の会話の再現。
「二輪草さんじゃないですか?」
「はぁ?」
「貴公子です」
「あぁっ!どうも〜っ!」
てな具合。奇しくもミニオフになりました。

 セトへの分岐を右に曲がり、いよいよカトラの沢に入った時である。沢に横たわる朽ち
た丸太に思いかけずサクラソウに似た花。
「あっ!クリンソウやっ!」
二輪草ご主人、小生、登山靴が濡れるのもものかわ。他の物も目に入らず状態で、俄然、
撮影モード。が、これで例えこのまま帰ることになっても、当初の目的の半分は達した事
になる。満足だ。

 カトラの滝付近。オフの時はミツバツツジの赤紫だったのが、今ではヤマツツジの朱色
に変わっている。季節の移ろいの早い事よ。そこかしこで囀る野鳥。あれはミソサザイ、
あれはオオルリ。二輪草さんが教えてくれるが、聞き分けられないもどかしさ。

 水場で小憩してカトラのお花畑下のテラスに登ると、既にニリンソウもヤマエンゴサク
も殆どない。でも咲き遅れた花がちらほら。新たにユキザサが白い采配状の花を付けてい
る。そして左の沢にちらちらと赤い物が見えたと思えば、なんと超満開のヤマツツジ(写
真)。次から次へと新たな命が燃えていく。

カトラ谷の支沢で咲き乱れるヤマツツジ

 Nさんの指示だともうそろそろだなぁ。それらしい倒木があちこちにあるが、最後に見
つけたそれを目印に、手元の地図で確認し指示された方向へ曲がる。肝腎の黄色いテープ
はついに発見できなかったが、涸れ沢を横切りほの暗い平坦地に出ると、白いものがポワ
ッと浮き出ているのを見つけた。
「おぉ?あれやぁ。あったぁ。」

 直径10p近い、ケシに似た薄いレースのような花びらは日持ちはしないであろう。そ
れだけにそのはかなさが健気である。全部で20株以上はありそうで、若い苗もあり、こ
のまま順調に株を増やしていってもらいたいものだ。

 さて、Nさんの地図によると、もう一つの目的、クリンソウの群落は下の様である。お
花畑を戻ることにする。

 左側に分岐する沢は無いかと探っていると、下から何やら手元の紙を見ながら二人連れ
が登ってくる。でその手元を覗くとメールのコピーの様であったが、それに気付いた件の
二人連れから先に問いかけられる。
「低徘の方ですか?」
「そうですが....。」
「NKです。」
「ああっ!そうだったんですか。何かそれらしいなぁと思ったんですが。(笑)」
ベストのワッペンで気づかれたらしい。花の金剛山で2組目の遭遇である。Nさんのメー
ルを手懸かりに、もうクリンソウを見られたそうな。綺麗でしたの感想に期待も高まる。

 お別れして更に降っていくと、左手にそれらしい涸れ沢が現れた。明瞭な踏み跡もある。
そこを辿ると30m程先の沢にピンクの花が群れている。十名程の団体さんが先着してい
て賑やかだ。
クリンソウ

 それにしてもクリンソウは清楚な花だ。下部から順々に咲きあがっていくので長い期間
楽しめそうで、これじゃ花壇に植えたくなるのも人情。しかし自生種。大切にしたいもの。
また多くの人の靴に踏まれるのも一寸心配といえば心配。NKさんによれば、エビネもあ
ったそうだがこれは見逃した。

 次はヤマブキソウだが、前回のオフにお目にかかったこともあり、うまくいけば帰路の
セト経由時に見ることができようということもあって、二輪草さん達と相談の結果、この
まま沢を詰めることにする。コバイケイソウのみずみずしい葉っぱを分けて、急斜面を行
くと、上でもクリンソウが咲いている。

 登れば登るほど更に傾斜が増すのに加えて、しかも泥土。滑って歩きにくい。ロープと
立木に助けられ何とかひっくり返らずにクリア。だが、ふと気づくとその斜面の横に沢山
のヤマシャクヤクがあるではないか。足許ばかりに注意がいって全く気づかなかった。し
かもこちらは盛りを今過ぎたばかりという感じで花もしっかりしている。ラッキーであっ
た。

 大阪平野を見晴るかすテラス状の部分で一息入れ、ややぬかるんだ土の踏み跡をしばら
く頑張ると、明快な尾根道に飛び出す。黒栂谷の鳥羽口にある林道ゲートを右に曲がるコ
ースをいけばここへ出てくるのだという。側には鮮やかな赤いヨダレかけが目立つ六地蔵。
ふと奥を眺めると墓地で、卵塔があるところを見ると転法輪寺の歴代住職の墓のようであ
った。 
転法輪寺の歴代住職の墓地入口に立つ六地蔵
真っ赤なよだれかけが印象的です。

 どっちへ行けば頂上方向か分かり難かったが、杉の大木が生えているところであろうと
左へ進むと、見覚えあるカトラ谷からの道に出会い、そこからすぐに国見城跡であった。

 国見城址の広場にある金剛桜はもう散り果てている。が、新緑を求めて相変わらず多く
の人出である。幸い奥のベンチがあいていたのでそこで昼食とした。

 偶々、同じ時間に食事中のNKさんからミカン、二輪草さんからはタン塩の差し入れを
頂き、これはビールが要るなぁ。売店へ一走りして一缶購入。400円也。しかし蠅が多
いのには閉口する。

 後刻聞けば、同じ頃、フェアさんや低徘の大家さんも金剛山しかもカトラ付近だったと
いう。会うことが出来ず残念。

 帰路はセトを経由。国見城址の標識の横から降っていく。幅約1mのしっかりした道は
暫く雑木の中。すぐに左手斜面に鮮やかな黄色が点在している場所へ行き着く。地図にあ
ったヤマブキソウの群落である。想像以上の数の株、花は直径4pはあるので良く目立つ。

 ヤマツツジも至る所で満開。新緑の中に朱色のアクセント。足許にはチゴユリ、ユキザ
サ、スミレが群れ咲いて良い雰囲気である。

 やがて雑木が途切れて植林の中の道へと変わり、ベンチの置かれてある辺りが「セト」。
ここで青崩道と分かれて西へ降っていく。ギンリョウソウは無いかと探すが見つからない。
マムシグサや花も終わったミヤマカタバミがクローバ型の葉を広げているばかりである。

 下から沢音が聞こえだすと傾斜が緩やかになってくる。沢を横切った後、暫くは沢と並
行して歩く。砂防堤のある辺りではラジョウモンカズラらしい花が見られたが、ここから
は往路のセト・カトラ谷分岐はすぐであった。

 この辺りにも花は多い。ガクウツギにヒメウツギやタニウツギ。キンポウゲ科の黄色い
花に野生のミツバまであった。それらを愉しみながらゆるゆると登山口に戻る。

 金剛山は千早本道を歩いただけで、もう登りたくなくなるのが常と思えるが、こんな良
い道も残されていたのだ。これだけ豊富な花が咲き乱れる山とは知らなかった。やはり奥
が深い山。念願の花との邂逅、低徘のお仲間との邂逅。実りある一日であった。おまけに
シイタケセンターの前の店で、二輪草さんから豆腐とヒロウスも戴きました。二輪草さん、
NKさん有り難うございました。最後に、詳細な地図を戴いたNさんにも感謝です。



【タイムチャート】
8:10自宅発
9:20〜9:25シイタケセンター駐車場
9:50カトラ谷・黒栂谷分岐
10:20〜10:25水場
10:40〜11:25お花畑周辺うろうろ
11:35高畑道出合(六地蔵)
11:45〜12:25国見城址(昼食)
12:56セト
13:20カトラ谷・黒栂谷分岐
14:00シイタケセンター駐車場



金剛山のデータ
青葉輝く金剛山』を参照下さい。



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