氷ノ山〜氷の御山でかき氷

平成14年 8月16日(金)
【天候】 晴れのち曇り
【同行】 別掲
大段ヶ平から氷ノ山。中央の白い点に
みえるのが神大ヒュッテ


 低徘夏の風物詩ともなった真夏の『氷ノ山かき氷オフ』。去年は寝坊をして参加断念。
今年こそはと早々と参加表明。当日遅れじと、養父町の道の駅「但馬楽座」での前泊も考
えたが、大段ヶ平からなら楽ちんコース、しかも林道を車で登れるのだとか。但馬楽座で
たぬきさん夫婦と待ち合わせて、大段ヶ平まで先導頂くこととなった。

 実は氷ノ山には初見参。長らく行きたい山の一つであったが、今回ようやく実現。今春
の御祓山と時と同じく舞鶴道福知山経由で養父町の但馬楽座へ。6時前に出発して丁度8
時に到着すると、早くもタヌキさん夫妻の車。久方ぶりの再会は播磨の高星山以来だから
4ヶ月ぶりである。久闊を叙す。他にここに集合するメンバはいないとのことなので、ち
と早いが早速、起点の大段ヶ平へ向かって出発。

 R9を北上し、関宮町から八木川沿いに鉢伏高原方面へ向かう。心配した空も雲がとれ
て青さを増し、夏特有のカーッとした日射しも戻ってきたようだ。更に鵜縄への道に入る。
鵜縄は出合川が氷ノ山の山懐から初めて平地に飛び出す辺りに発達した集落で、流れを利
用したヤマメの養殖が盛んに行われている様子。程よい数の民家が寄り添った静けさが、
いかにも日本の田舎の佇まいである。

 二車線と広やかだった道も鵜縄の集落手前から狭くなり、人家が尽きた辺りからは植林
帯の中の林道鵜縄線となる。しかし、とても林道とは思えない立派な舗装路が続いている
のには驚いた。

 大分高度を稼いだと思われた頃、福定からの林道との三叉路。ここからは舗装が途切れ、
所々砂利道となるが、普通車でも走行に支障はない。

 周囲の山々の頭が下に見え出してきた。尚も山腹を巻きながら登って行くと、左手に広
い荒れ地が現れる。大段ヶ平(おおだんがなる)である。幕営していたのか無線運用する
人たちの車が数台ある。当方が準備する間にも何台かの車が上がってくる。その中にdame
ちゃんとつむぎさんが乗る車もあった。これで総勢5名。

大段ヶ平の登山口

 ここまで登ってくると吹く風は流石に涼しい。マツヨイグサにツリフネソウがその風に
揺れている。登山口は雑木林の中にぽっかりと口を開けたように薄暗い。入ってみると、
クマザサとブナやナナカマド、イワガラミなどが茂った清々しい緑で想像した程暗くはな
い。ほぼ真っ直ぐに緩い傾斜道を登っていく。白い装飾花の目立つのはガクウツギだろう
か。対生した葉を持つ黄色い花はオトギリソウ。ツルリンドウ、やや珍しいキツリフネ
そこここに揺れている。春には白い花を咲かせていたムシカリもルビー色の実を付けてい
る。早速、一行は撮影モード。残念なのは所々雑草地に出ると、畦道の如くオオバコやキ
ツネノボタンが繁茂していることだ。登山者の衣服に付着してきたに違いない。

ブナとクマザサに囲まれた清々しい登山道

 大屋町の立派な避難小屋を過ぎると、辺りには大きなブナの木が目立ってくる。でーん
と登山道の真ん中に立つものもある。前方が開けるとクマザサに覆われた氷の山東尾根に
連なる山腹が大きい。

 神大ヒュッテに出る。ここで右から福定からの東尾根コースが合流してくる。水場があ
るというので様子を見に行く。水場まで100mと私製標識があったが、人の上背よりも
高いクマザサを掻き分けて行くとそれ以上に距離があるような。しかもその水場、小さな
沢に申し訳程度の細流が落ちているだけで少々落胆。が、dameちゃんがタマガワホトトギ
スを発見。小生はといえばデジカメを持って来ず指をくわえて眺めるのみであった。ここ
は以前に熊が現れた所だと戻ってから聞いてちょっとびっくり。(^^;)

 神大ヒュッテを過ぎると、周囲は鬱蒼とした感じに変わって、逆立ちした蛸の足に似て、
幾重にも枝分かれした大きなアシウスギがあちらこちらに見られるようになる。古千本と
呼ばれる湿生植物群落のある地域で、登山道は木道となる。この湿り気、何となくマムシ
が出そうな予感がしたが、案の定出たそうだ。

古千本付近の木道を行く

 古千本を抜けると周囲は笹原帯となり、振り返れば一際高い三角型の藤無山が目立つ。
右手には鉢伏山が優美な姿を見せるようになり、登山道の縁へ行くと、ハチ高原のスキー
場や民宿が遙か下に見えている。行く手も大きく開けて、頂上にある関宮町の避難小屋が
赤茶色の切妻屋根を現す。頂上まではもう少し。と思うまもなく笹原の間を抜けて氷ノ山
の山頂に到着である。
笹原の中にようやく山頂避難小屋が見えてきた

 灌木とて殆どない山頂付近はチシマザサとヒヨドリバナらしい白い花を咲かせる植物が
目立つ。植生保護の為にロープが張られていて、その間をひらひらとアサギマダラやタテ
ハチョウの仲間が飛んでいる。それに煩いほどの赤とんぼ。

 角が少し欠けた大きな一等三角点にまず触れた後、あらためて周囲を見回す。氷の山越
から「ぶん廻し」と呼ばれる尾根道。三の丸へ続くなだらかな緑のドーム。これを「ズッ
コ」と呼ぶらしい。眼下の舂米(つくよね)の集落はもう鳥取県だ。なるほど兵庫の最高
峰、一等三角点の山だ。周囲は遮るものとてない。そうとなれば当然、更に遠くまで延び
る大展望を期待したのだが....。が、生憎、雲とガスでそれほど視界は伸びず。大山や日
本海はおろか、せいぜい扇ノ山まで。そんな中、南の藤無山と兵庫県下第二の高さの後山
は何とか認められた。
氷ノ山山頂から三の丸方面

 そうこうしている内にあちらこちらのコースを登ってきたオフ参加者が現れる。人数が
増え他の登山者の邪魔になるので、鳥取県が建てたロッジ風のエコトイレ付近に移動する。
この付近は旧陸軍測候所跡。尼工ヒュッテがあったがヘリポート建設の為に無くなったと
いうことであった。

 標高1500mともなれば日陰は寒い位。震えながら掻き氷を食べるわけにも行かない。
そこで日向を求めて、思い思いに場所を取って用意してきたものを取り出す面々。氷掻き
器4台、氷、ゆで小豆にミカン、シロップ。掻き氷屋の幟まで揃っているのである。氷の
幟を目印に遅れていた面々も次々に集合し、最後に遠路広島から参加の山本さんのパーテ
ィ3名も到着。ワインに日本酒、果ては抹茶のお手前まで頂くこととなった。だが、他の
登山者には異様な連中と見えたことだろうなぁ。

 あちこちで話の花が咲くが、恒例、記念写真の後は登山道の長いコースの人やMTBの
面々が先行して降りていく。なんやかやとだべっていた我々は、結局3時間も山頂にいた
ことになる。その間、氷の山はあっという間にガスが湧いて視界を遮ると思えば再び青空
と、山の天候の変幻自在さを垣間見せてくれる。

 下山時、頂上近くの古生沼をに寄っていく。古生沼は近畿でも珍しい高層湿原らしいが、
立入を制限するロープで囲われているものの、全体的に干上がった感じがする。沼の水源
は山頂に降る雨や雪とのことで、エコトイレやヘリポートの工事が悪影響を及ぼしたに違
いない。ここに咲くエゾリンドウなどの植生への波及が心配されているそうだ。

 下りは早い。1時間ほどであっという間に大段ヶ平であった。
唯一の約束事は、かき氷の材料持参で12時山頂集合ということのみの「かき氷オフ」も
今年で3回目。初めて参加したが、氷ノ山自体大きいので色々なルートもとれるのが魅力。
次回は福定から登ろうか。いや来年といわずもっと早く、秋色の氷ノ山も最高らしいなぁ。

 旗振り役のはりまおさん、先導頂いたタヌキさん夫妻、数々の差入れを頂いた山本さん
グループ、八木さん夫妻他、参加の皆さん有り難うございました。


■同行
 石田さん、えびちゃん、佐竹さん、さとゆきさん、三文さん夫妻、島田さん、新川さん、
 たぬきさん夫妻、dameちゃん、つむぎさん、向井さん、八木さん夫妻、山本さん
 山本さんのお連れの女性2名


【タイムチャート】
5:50自宅発
8:00〜8:10但馬楽座(集合地)
8:55〜9:20大段ヶ平登山口(Ca1110m)
9:55大屋町避難小屋
10:21〜10:32東尾根分岐(神戸大学ヒュッテ前)
11:05〜14:10氷ノ山(1509.8m 一等三角点)
14:30東尾根分岐(神戸大学ヒュッテ前)
14:40大屋町避難小屋
15:00大段ヶ平登山口(Ca1110m)


氷ノ山のデータ
【所在地】兵庫県養父郡関宮町、大屋町、鳥取県八頭郡若桜町
【標高】1509.8m(一等三角点)
【備考】 兵庫県の最高峰で中国山地では大山に次ぐ高さがありま
す。別名、須賀の山とも呼ばれ、冬季には文字通り白い
姿が各地から望めます。山頂はスズタケ、クマザサの草
原で360度の大展望です。登山道は鳥取側、兵庫県側
と数々ありますが、林道の開通で京阪神からの日帰り圏
となり、加藤文太郎のホームグラウンドも登り易くなり
ました。
■日本二百名山■近畿百名山■関西百名山
【参考】エアリアマップ『氷ノ山』



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