白山・妙見山縦走〜やっぱりヤブを漕ぐ

平成14年 1月13日(日)
【天候】 晴れ時々曇り
【同行】 もぐさん
白山山頂から白山とは対照的に女性的な感じ
の妙見山。奧に顔を出すのはは白髪岳


 昨年、ミニオフが開催された播丹界の名山、白山・妙見山。運悪く仕事で行きそびれた
のだが、天候に恵まれた三連休の中日、MLの仲間と歩いてきました。事前に、HPでリ
ンクさせてもらっているsagamiさんの山行記や、丹波の主、たぬきさんのアドバイ
スを頂いていたものの、やっぱりヤブへ突入する羽目に。今回はその顛末を。(^^;)

 7時過ぎ、自宅出発。高速代節約の為、いつもの様に宝塚IC。まだ時間がありそうな
ので、滝野社ICの一つ手前の東条で地道に。それでも第一集合地のR175沿いにある
レストラン「白山」には8時40分着。と、既に早くももぐさんの車が先着している。挨
拶して早速、コースどり。地形図からも明らかな様に、白山の西の尾根から、白山、妙見
山と稜線を縦走するのが今回の目玉。そこでたぬきさんご推奨の秋谷コースで白山までの
稜線を楽しみ、更に妙見山から門柳へ下ることに決定する。

 フォルクスガーデンの駐車場に車を置いて歩き出す。薄日が射す天気。風がなく暖かい。
ダラダラ坂を登っていくと、右手にコバルト色の秋谷池が見えてくる。その横が駐車場に
なっており、ここには水と緑の郷、フォルクスガーデンの案内図にトイレもある。

 道標に従い、山懐に入る感じで北へ進む。するとすぐに右への分岐がある。谷へ引き込
まれずに尾根へとの話はこれだなと迷わずそちらへ向かうが、踏み跡はすぐに北方向に折
れて、涸れ沢沿いに植林の中に入っていく。崩れた炭焼窯がある。明瞭だった踏み跡も徐
々にかすれていき、ついに荒れた斜面に消えてしまった。こりゃどうも変だということで
元へ戻ることにした。(本来の取り付きについては備考参照)

 先程の地点。明らかに谷筋へ向かって行く左の道は確かに明瞭で、注意せよと指摘され
た道に間違いはない。尾根に登る取り付きを発見しようと右手に注意しながらもう少し辿
ってみることにする。が、一向にそれらしい目印はない。その内、右の尾根は次第に高く
なり、踏み跡は石が転がる荒れた人工林の中でともすれば消え加減で、それもついに消え
てしまった。とりあえず地形図を取り出し、GPSとマップポインタで現在地確認する。
するとこのまま真北に進めば隣の尾根の支尾根に出そうな事が分かった。下草がないのを
幸いに徐々に斜度を増した植林帯をこのまま北に進むことにする。

 いつの間にか辺りは雑木林。ますます傾斜がきつくなり、木の幹を持たねば登れない程
となる。その木の幹も枯れた松はすがると折れて危ない。しかもイバラが繁茂して難渋す
る。なるべく藪の薄い所を探して登っていく。冬で良かった。夏や秋口ではとても登れま
い。振り返ると秋谷池の青い水面が意外に眼下低くに見えている。上ばかり気にしていて、
気づかぬ内に大分高度を稼いだようだ。しかもかなりの傾斜で戻るにも一苦労しそうであ
る。幸い、左手に地形図のアンテナ山(おっぱい山)が視界に入り尾根が近いことが分か
る。現れた岩を巻くようにトラバースして、やや緩んだ傾斜を一気に登り切ると殊の外、
狭い尾根。南向きの乾燥地に多いコシダが繁茂する中に、細いが明瞭な踏み跡があってほ
っと一息。冬にも関わらず暑い。乾いた喉を潤す。

 ここで地形図を再確認。膝まで茂るシダを踏みしだいて東へ100m程進むと道標。本
来の秋谷コースに合流できた。

秋谷コースとの合流点のCa280mピーク。ほっと一息

 そこからはさっきのブッシュからは見れば天国の如き素晴らしい稜線歩きとなる。しか
も喬木がなく、馬の背の様に狭い尾根からは左右が見渡せるのだ。加古川線のたった一両
のディーゼルカーが枯葉色の田圃の中を走っていくのが見えた。そして前方にはこれから
向かう白山。左にやや傾いた山容は、規模は小さいものの、大峰の行者還岳に似た感じが
する。それにしてもここはツツジが多い。花時はさぞや素晴らしかろうなぁと思わせる。

稜線上から西方向を眺める。中央の吊り尾根付近が登り
着いた場所。右奧はアンテナの立つおっぱい山(Ca300m)
これから向かう白山。少し左に傾むいて大峰の
行者還岳にやや似ています

 大歳神社からの前坂コースは秋谷コースよりも明瞭。こちらがポピュラーコースらしい。
ここから白山までの悪名高い?距離標が現れる。以後100m毎に現れるのだが、ここで
は1900mとあった。

 『またみ』はガレ場。山南町の石金山や至山がよく見える。更に『狸穴』を経由して『
とがのお』に到着。(白山まで1200m)登山道は右側の高みをトラバースしてきたが、
GPSに依ればこの右手の雑木に覆われた高みが南山らしい。『とがのお』にザックをデ
ポし、もぐさんに待っていてもらってピストンしに行く。

 マツタケ山らしく、細切れに風化した青いポリテープが木の枝に引っかかっている。稜
線を忠実に辿ると小さな切り開きにこぢんまりとした四等三角点があった。展望はまあま
あ。木の間越に庵谷池とその向かいの山々が望めた。

 元へ戻って稜線歩き再開。天気は回復して青空が広がる。風もなくぽかぽかとまるで四
月の雰囲気。Tシャツ1枚でも暑い程。だが、その分視界は伸びない。

 『さるごせ』からはやや岩場の雰囲気で急登となるが、距離は短い。そしてすぐに門柳
からの道に合流する。門柳からは1qとあったからかなりの急登だろう。杉林の中に岩の
転がる少々暗い権現跡を過ぎれば、頂上は近い。しかしここからが急登。岩場混じりの中
を一気に6,70mを稼ぐことになるが、登るに従って景観が良くなり、存外疲れは感じ
ない。妙見山への縦走路を過ごすと、上から話し声が降ってくるのが聞こえ、すぐに大き
な一枚岩の白山頂上に到着である。

白山頂上で記帳に見入るもぐさん。奧は549mピーク

 流石、兵庫ふるさと50山に選ばれた山だけあって、数グループが先着していて昼食の
最中。こちらもここで昼とする。その内にも何人かが登ってこられた。

 展望のいい山である。晴れていれば瀬戸内海を行き交う船まで認められるそうだが、今
日はそうも行かない。それでも西光寺山に門柳山。眼下に門柳の集落。東には白髪岳の端
正な姿。西に笠形山らしき山。千ヶ峰は残念ながら靄の中であった。

 妙見山へは一旦戻って鞍部に出て、白山より高い549mピークへ。こちらの道は尾根
がやや広闊となり、カシ、ヤブツバキ、ヒサカキ、ソヨゴ等の常緑広葉樹やモミ、イヌガ
ヤ等の針葉樹が多いのでやや暗いが、その分静かな感じがする。杉林の中を赤いプラ杭が
忠実に尾根上を辿っている。

 遠くに見えた妙見山も小さなアップダウンを繰り返す内に、約40分で十字路。辺りは
周遊コースになっていて、ぐるりと一周出来る。まず、頂上へ上り「まばお」の展望台か
ら妙見堂へ出て下ることにする。

 山頂へは広い斜面の、半国山の山頂直下に似た直登。落ち葉の分厚い絨毯の上を息を切
らせて登っていくと、「つえたて」からの道と出合い、傾斜が緩んで三等三角点のある妙
見山頂である。残念ながら見晴らしは良くない。

妙見山の三等三角点。隣のピークの方が高いです

 一旦下って次の無名ピークに着いた時である。先着していたパーティから突然声がかか
った。
「たぬきさんのご友人ですか?」
今まで千ヶ峰のたぬきさんと交信していたという。予期せぬことで驚いたが、無線仲間の
繋がりの広さは凄いものがあるなぁと感心する。

 そこから『まばお』迄は緩い起伏を歩いて直ぐである。三角点の峰に比べると、案内図
に展望台と表示されているだけあって、伐採されていて見晴らしがよい。アセビとイヌツ
ゲが疎らに生える丘という感じである。西に向かって赤テープがあるのは『テンロク』か
らその向こうの峠への尾根道の様だ。

 暫く憩った後、我々は斜面を降って妙見堂へ。やや降ると右(西)の人工林へ向かって
鋭角に戻る感じで踏み跡がある。妙見堂も一つのピークの上に鎮座しているだろうとの先
入観があると少々面食らう。道標を設置するならここら辺りに設置してくれれば親切だろ
う。

 暗い杉林の斜面につけられた道をぐんぐん降り、平坦になった辺りで右に回り込めば妙
見堂の建物がある。祠程度と想像していたが、案外、立派な建物である。板に墨で落書き
がしてあるなと思ったら、武運長久や大砲を描いたポンチ絵の中に昭和14年の文字が読
めた。黒田庄町の説明板を読むと、妙見堂は牛の守り神だったようで、誰が供えたのかミ
カンが2つ。

 お堂の前からはしっかりした道が続く。樹齢200年は経ている杉の巨木の横から降っ
てすぐに『つえたて』。黒田庄町の案内図が立っていて状況がよく分かる。左は十字路、
直上路は三角点横のピークに出る。右は我々が辿ってきた妙見堂からの道。

「つえたて」にあった妙見山山頂の周遊コース案内

 常緑樹の茂る下を南へ降っていく。いつしか常緑樹も少なくなって周囲は明るい雑木林。
遊歩道然とした道は、やがてウラジロが威勢良く生い茂る細い道となる。概して展望は良
くないが、所々で妙見山や白山が望める。足下には田畑と共にミニチュアのようであった
門柳の家々が徐々に近づいてくる。

 ウラジロやコシダは繁茂はこの後もずっと続く。途中、現れた分岐は左へ(赤テープ有
り)。ザレ場を抜け、勢い良く流れる小さな水路を跨いで飛び出した所は草の茂った林道
であった。

 南に歩いていくと右にポツンとロッジ風の一軒家。前方に墓地。ところで、猪除けの電
流柵があるはずだがと目を凝らすと、あった。細い電線がきっちりと張り巡らされている。
「うーん。どう抜けるんやろ?さっきの一軒家の出入り口があるはずだけど」とそちらに
向かおうとすると、「これ外せばいいのでは?」ともぐさん。見れば絶縁体が巻かれた取
っ手がついているではないか。外して跨いだが、元に戻すのがちと恐い。熱したはんだ鏝
のような匂いがした。電線に触れない様に取っ手を元へ戻すのには少々骨が折れた。

 左に見える住吉神社はなかなか立派な社である。墓地の六地蔵を眺めてぶらぶら歩いて
いくと妙見山への道標。更に先、川沿いに白山への道標があって、角には門柳公民館。奥
さん連中が集まり、何やら料理の講習会を開いている雰囲気であった。

 村道に出て西へ歩いて駐車地へ向かう。右手には歩いてきた稜線が眺められるが、我な
がら良く歩いたもんだ。

 途中、門柳川に沈められた3頭の鹿の死体などショッキングな光景も目撃したが、四方
山話に花咲かせながらののんびり歩きも捨てたものではない。

 JAで黒田庄産の肉牛のコロッケを買ったりして、フォルクスガーデンの駐車場に戻っ
て来た時である。黒っぽいランクルから手を振る人影。おお、タヌキさん夫妻ではないか。
門柳温泉へ行く道すがら、小生のグリーンのノアを見つけたんですと。今日はまたに山と
千ヶ峰と聞いていたが、わざわざお出迎え有り難うございます。(笑)

 我々も門柳温泉で汗を流す積もりであったので同道。さっぱりした後、矢っ張り気にな
るのは、午前中の道ロスト。これは究明せねばと帰路でもあり、再度、秋谷池横へとって
返すことにした。(備考参照)

 ヤブ有り、稜線歩き有り、見知った顔との邂逅ありとバラエティに富んだ山行を堪能で
きた成人の日の一日。春を思わせる陽気の中、ロストの原因も究明し?、気分も明るく播
丹の山を後にしたのでした。



【タイムチャート】
7:10自宅発
8:40〜8:45レストラン「白山」駐車場
9:00〜9:06フォルクスガーデン駐車場(Ca100m)
9:17秋谷池
10:05〜10:10秋谷コース尾根西の支尾根(Ca250m)
10:15秋谷コース出合
10:30前坂コース出合
10:48とがのお(Ca380m)
10:51南山(397.2m 四等三角点)
10:53とがのお
11:10猿ごせ
11:12門柳コース出合
11:25〜12:00白山(510m)
12:14549mピーク
12:34十字路
12:40つえたて分岐
12:42〜12:45妙見山(622.0m 三等三角点)
12:55〜13:01まばお(Ca620m)
13:10〜13:12妙見堂
13:16〜13:20つえたて
14:08墓地
15:00フォルクスガーデン駐車場



【備考】
 門柳温泉の帰り、気になるので取り付きを確認すべく再び秋谷池へ。最初に間違えた
右への道のすぐ北側の右手に小広い部分があって、尾根の始まりがある。その中央部分
にシダとササに隠れた踏み跡が見つかった。白いポリテープもぶら下がっていたが、朝
には全く気づかなかった。その時にはポリテープはなかった様な気もするが、何れにせ
よここが秋谷コースの取り付き。道標に関してはこういう取り付きにこそ整備してもら
いたいものである。(下記画像参照)
シダとササに覆われた秋谷コースの判りにくい取付き
青いテープとポリテープがある。(2002/1/13現在)



白山のデータ
【所在地】【播州】兵庫県多可郡黒田庄町
【標高】510m
【備考】 加古川の東、播丹界に位置します。岩の多い山容で山名か
らして白山信仰に関連する修験の山だったと思われます。
南麓にオートキャンプで定評のある東播磨日時計の丘公園
があります。
妙見山(山南町)のデータ
【所在地】【丹波】兵庫県氷上郡山南町・多可郡黒田庄町
【標高】622.0m(三等三角点)
【備考】 白山とともに播丹を分ける山です。山頂付近に妙見堂があ
り北辰信仰の山ですが、能勢、加美町の妙見山と共に一直
線上にあるのは不思議な符合です。南麓に門柳温泉があり
ます。最寄りはJR加古川線本黒田駅もしくは谷川駅です。
【参考】 2.5万図『谷川』
「大阪周辺の山250」ヤマケイ


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