貴公子花づくし〜初秋の妙見奥の院から歌垣山

平成13年 9月 1日(土)
天候: 曇り時々晴れ
同行: 水谷さん
歌垣山登山道に咲いていたキキョウ


 先週、訪れた地黄湿原。最近発行された「花あるきガイド」には、その周辺の歌垣山と
妙見奥の院を絡めたコースが紹介されている。MLで水谷さんが巡るというので、同伴さ
せて頂く事にする。

 9時に能勢町倉垣の登山口バス停前集合というメールが掲示板に入っていたのだが、起
きてメールを見たのが7時半。こりゃいかん。慌てて10時に遅らせて頂くようメールす
る。私としたことが...。水谷さん失礼しました。m(_ _)m

 8時半前に家を出、途中のコンビニで昼食を仕入れ、何とか9時40分に約束の地に着
く。車を降りてぶらついていると、見覚えのあるワゴンが止まったと思ったら水谷さん。
携帯には関連するメールもなかったとの由、相談の結果、小生の車をこのままここにデポ。
10時前だが水谷さんの車で早速、妙見奥の院の参道口へと移動する。駐車地はGS横の
空き地をお借りする。

 参道口の前にある古い商家の軒先。古い京都バスの停留所標識があった。それが下の写
真である。
妙見奥の院参道口前の古い商家の軒にあった古い
バス停留所の標識

 さて、今日は撮影モードが主。10時前、ブラブラと地黄中学校の横の道を歩き始める。
と、早々と土手にツリガネニンジンの薄青い花。ムラサキツユクサやゲンノショウコ、ア
キノタムラソウらしき花も。水谷さん早くも撮影で動かなくなる。

 古いヤマザクラの並木。妙唱寺、真如寺と日蓮宗の寺が並ぶ。右に「武運長久」と刻ま
れた石橋の先の参籠所と修行滝を見る頃にはようやく山が迫ってくる。杉や桧でほの暗く
なった参道を登る。

 右の谷が細くなって来た所で谷と分かれて参道は左にヘアピンカーブ。同時に雑木の林
となって明るくなる。途中の展望の良い所では、箱庭のような能勢の山里風景、遠く六甲、
羽束三山や大船山が見渡せ気持ちよし。しかも雲で直射が遮られ、余り暑くもなし。

 丁石やウマオイ虫などと遊びながら道が平坦になれば、奥の院は近い。「猫塚」と刻ま
れた石碑や、幹廻り3mはありそうなカシの大木に見上げながら奥の院の参道下に出る。
新しく環状自然歩道の案内板が出来ていた。

 住職手製の案内図を貰おうと坊まで上がるが、住職は寺務所に不在。奥で団扇太鼓を叩
くのは、残念ながら住職ではなく信者の女性であった。それにしてもカシの大木が多いの
に感心。

 小休止して参道下からバイク止めのある四つ辻となった小さい峠。ここからは点名「奥
の院」のピークへも行けるが、展望もないので左の堀越峠へ降りる裏参道を行く。

 風の通り道なのか涼しい風が抜ける。汗も一気にひいていく。ふと目をやった雑木にツ
ルリンドウが絡まり、花を咲かせているのを発見。左手にはヤマジノホトトギスも数輪。
ここでも勿論、撮影モードである。

 少し降ると、右手の沢に細流が現れる。ここは以前、ツリフネソウがあった場所だが、
あったあった。今年も花を咲かせてくれていた。が、数は減っているようである。

 まもなく林道との出合。地黄湿地はここから右(南)へ行く。造成されて明るくなった
辺りに白い花が目立つ。ボタンヅルとのこと。花弁と思われるのはガク片らしい。

 関電の巨大な赤白鉄塔を過ごして、右手にカーブした先が地黄湿地である。右手に池を
見た時である。褐色の銭形模様が池の汀で動いた。チロチロと舌がうごめく三角頭。マム
シじゃないか。先程見かけたシマヘビと違って悠然と地を這う。

 ノリウツギの白い花が目立つ。先週、見つけたママコナも未だ花を付けていた。この後、
少し湿地を見学させて頂くことにしたが、蛙が多い。こりゃ当然、蛇も多そう。恐る恐る
歩く。

 湿地の周囲は水苔で覆われている。サギソウが未だ数輪。あちこちに湿地性のランであ
るミズトンボやピンク色のアザミと、特徴あるサワギキョウのムラサキが揺らめく。モウ
センゴケもあるとのことだが、これは分からず。我々二人、初めてみる花々にただ感激だ
った。

 先程のマムシは未だ居るかと見ると、なんと未だ同じ所に。ふてぶてしい奴だ。そっち
がその気ならと、年甲斐もなくいたずら心が首をもたげる。水谷さんと枯れ木を投げる。
それでも動かん。あんまり怒らせてもねぇ。諦める。

 戻り際、先週、サギソウを見た湿地も覗いてみたが、花は皆無。おかしいなぁ。花が終
わっただけならいいのだが、何かあったのかなぁ、少々疑念が湧く。

 林道を戻って堀越峠。途中、植林脇に亀岡市の神地に抜けるらしい踏み跡があった。三
等三角点、点名「峯」の点の記にあった踏み跡だろうか。興味が湧く。

 歌垣山の堀越峠側の登山口は、モミジイチゴらしい棘のある植物でやや生え混んでいる。
トレッキングポールで払いながら、つけられた階段を登る。そこを過ぎれば、予想通り大
したことはない。しかし、今日は歩かれていないと見えて、顔にまとわりつくクモの巣に
は閉口である。

 粘土質の土に足を取られて、登るのにやや疲れた頃である。左手の足元に一輪のキキョ
ウ。淡い青紫で涼やか。思わず撮影モードに没頭していると、上から人の声が降ってきた。
女性の2人組。「貴公子さんですか。」と尋ねる声に吃驚する。聞けば、池田にお住まい
のNさんとか。以前から『低徘』をご存じだった。こりゃ、低徘ワッペンつけているもの
として、悪さは出来ないなあ。(笑) 堀越峠方面へ行かれるとのことなので、メーリン
グリストやオフでのデビューをお誘いして分かれる。低徘も認知度が高まってきたようで
す。(再笑)

 いささかシャリバテぎみなので、三角点の奥のベンチで昼食とする。30分の大休止の
間に単独小父さんが杉原へ降りていったが、後は静かなもの。鳴き交わしていた小鳥も、
さぞ我々が迷惑だったに違いない。

 昼食後は歌碑のある「かがいの広場」へ向かう。またまた整備が進んでいて、小公園の
雰囲気。以前見たフシグロセンノウなぞありようがない雰囲気。ここまで整備せんでもな
ぁ。しかしその整備のお陰で小和田山や深山、剣尾山方面や妙見山、振野、高代寺山、六
甲山などがよく見える。北に廻れば丹波の重畳と四段にも五段にも続く山並み。奥の一際
高いのは長老ヶ岳らしい。
 
 ススキが穂を出しおいでおいでをする。すっかり秋の気配。蝉の鳴き声も心なしかか細
い。倉垣側の登山道は大阪環状自然歩道に指定されているせいか、頗るつきの整備された
道。鬱蒼と茂る針葉樹の植林帯を抜けるとコナラなどが主となる雑木林。湿った土から名
も知らぬキノコがニョッキリ。

 いつの間にか細い流れが現れた。やがて流れは徐々に水量を増して賑やかになり、橋を
渡った所では小さな滝を懸けるまでになる。その下流の石垣の下でフシグロセンノウの赤
い花を偶然見つける。今日は諦めていただけに不意の出現は嬉しい。撮影しているとドク
ダミのような臭い匂いが何処からともなく漂ってくる。

 里が近づいてきた。道端にはキンポウゲ科らしい黄色い花やミズヒキ。ゲンノショウコ。
麓に行き着くと、上品な茅葺きの農家が現れた。その庭先は良く手入れされた栗林。その
下にはとりどりの花が咲いている。登山道から外れてそちらに浮気することにした。

 水谷さんのお目当ての一つキツネノカミソリもある。白さが目立つのはセンニンソウだ
ろうか。ツユグサ、ツリガネニンジン等々。

 農家の間の路地を辿る。草むらに見たこともない赤い五角形の花がある。マルバルコウ
ソウと分かる。うーむ色んな花があるもんだ。

 溜め池の土手の下からR477に出ると現実の世界に戻った気分であった。これからデ
ジカメの写真の整理が大変だなどと、贅沢な悩みに嬉しい悲鳴を上げながら駐車地へ戻る。

 都市近郊なのにこれだけの花がある。まだまだ捨てたものではない。だからこそ大切に
しなければの思いが深い。久々に花尽くし。楽しい時間を過ごさせていただきました。


 ★自然の花はみんなで愉しむもので、けっして独り占めするものではありません。盗掘
  などもってのほかの行為です。


ここをクリックすると今回出会った花の写真集が見られます。


【タイムチャート】
8:30自宅発
9:40〜9:45倉垣の歌垣山登山口(駐車地)
9:50妙見奥の院参道口
10:00真如寺
10:35〜10:43妙見奥の院
10:50〜10:52
11:03妙見奥の院・林道出合
11:18〜11:50地黄湿地
12:10堀越峠
12:40〜13:05歌垣山(二等三角点)
13:10〜13:20かがいの広場
14:00倉垣
14:20倉垣の歌垣山登山口(駐車地)



歌垣山、妙見奥の院のデータ
妙見奥の院周辺山歩」、「歌垣山〜平成9年初山行」等
をご覧下さい

【参考】  エアリアマップ 山と高原地図『北摂の山々』



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