牛滝温泉いよやかの郷

                       日時:平成13年 1月 4日(木)
                       天候:晴れたり時々曇り一時雪
                       同行:かみさん、朋加



 新年明けましておめでとうございます。本年も『いで湯の落し文』を宜しくお願い致し
ます。

 さて、新世紀を迎えました。大晦日は各地で盛大なカウントダウンが催され、京都では
大文字が点火されたとか。でも、小生宅ではいつも通り年越し蕎麦を食した後、21世紀
最初のメールをMLに送付すべく待機し、然る後に近くのお寺に除夜の鐘を突きに行き、
帰れば早々と池田の地酒『呉春』を聞し召し、TVをチラッと横目で見てから床についた
訳であります。

 元日は実家、2日は昼から清荒神に初詣に出かけましたが、基本的には弱いにもかかわ
らず、朝から酒を飲んでの寝正月でありました。(^^; 

 そこで、今日は腹ごなしに山へでもと思ったのですが、「山へ行くわ」と小生が云わん
とする寸前に、その気配を察したのか機先を制するかの如く、かみさんの「温泉行こう」
の一言。「あちゃー!」

 ここで強引に山へ行ってしまうと後が怖い。かくして、以前何かの雑誌で見かけた「い
よやかの郷牛滝温泉」へと出かけることになったのであります。因みに「いよやか」とは
森を表す古の言葉だそうです。

 阪神高速、阪和道と乗り継ぎます。冬型気圧配置で凄い風。ともすればハンドルを取ら
れかねない程です。80キロ走行に押さえて岸和田和泉ICで降り、府道を南下します。
サーッと日差しが翳って灰色の雲が西から速い足並みで東へ過ぎていきます。何やらちら
ちらするのは風花のようです。文字通り初雪ですねぇ。

 牛滝川沿いに右に左にカーブを重ねると、やや広闊となって視界が開け、左に駐車場が
現れます。奥に三階建ての茶色の建物があって、これが牛滝温泉らしい。結構、車は満杯
でした。

 駐車場から連絡路を行くと、道端に復活地蔵と命名された祠が有りました。なんでも牛
滝山への旧参道にひっそりと忘れ去られていたものを、温泉が出来たのを契機に復活させ
たものだそうです。覗いてみると摩滅してお顔もはっきりしない小さな石仏でした。

 玄関のポーチに立て札があるので、何気なく見た途端、仰天しました。なんと男性は1
時間半、女性は何と2時間待ちだというではありませんか。駐車場の車の数で、ある程度
予感はありましたが、これには参りました。が、しようがないので2階の喫茶でコーヒー
を飲み、ロビーに並んだ名画の複製を見物して時間をつぶします。

 ところでこの複製画、儲けものでした。名画を修復する作業に従事する画家達が描いた
ものだそうで、ゴーギャン、ゴッホ、マネ、セザンヌ、ピサロ、モジリアニetc、東山
魁夷もありましたが、これは本物のようでした。

 さて、ようやく入浴出来たのは、本当に1時間半後。受付でタオルとバスタオルをもら
って暖簾をくぐります。脱衣場はやや狭い感じです。ここも沢山の人。ところが、浴場は
それ程のことはありません。扇形に張り出したガラス枠に沿って浴槽があり、他にサウナ、
水風呂などが揃っていて結構広めです。そしてその扇形の外に露天風呂があり、これが2,
30人は一度に入れそうな程広いのです。脱衣場を広げたらもう少し待ち時間は短縮でき
るでしょう。

 早速、露天風呂。少々温めですがその湯がなかなか良い。黄土色のやや不透明な湯は、
地下1600mから毎分53Lが湧きだしているそうですが、ナトリウムを含んでおり、
入ると皮膚がツルツルと滑ります。所謂「美人の湯」といわれるものです。龍神温泉など
と同じですね。舐めた人から聞いた話ですが、一寸辛い味がするそうです。
 
 ゆっくり浸かって牛滝川越しの山肌を眺めます。杉の梢が揺れており、かなり季節風が
強いようです。
 
 たっぷり1時間以上は浸かっていたでしょうか。表へ出ると、ようやく混雑のピークは
過ぎたらしく待ち時間は減りましたが、今度は風呂上がりの上気した顔の人達が多く、座
る場所を探すのが一苦労。そこでかみさんらを待つ間、缶ビール片手に建物の外の踊り場
に出てみました。いつの間にか、空から雲が消え、やや翳りを含んだ青いキャンバスに上
弦の月が顔を出しています。杉を揺らしていた風もやや治まったようです。牛滝川の河原
からセキレイでしょうか飛び立ちました。宵の明星が出る頃、いよやかの郷をあとにしま
す。正月休みのちょっとした一日湯治でした。

【所感】ひよし温泉も混んでいましたがここも盛況。しかし、泉質はなかなか良く、いか
    にも温泉に入浴した実感が得られます。休憩場所もありますが、出来たら畳が欲
    しいなぁ。

 註) シャンプー、リンス、ボディソープ有り。タオルとバスタオルは料金に込み。



 牛滝温泉のデータ
【所在地】 大阪府岸和田市
【泉質】  ナトリウム塩化物強塩泉
【温度】  52.3℃
【備考】  和泉山脈の北側、牛滝川沿いに開設された『いよやかの
      郷』にある宿泊施設『せせらぎ荘』内にある温泉です。
      1.2万坪に及ぶ施設内には、コテージ、キャンプサイ
      ト、バーベキュー広場等が整備されており、四季楽しめ
      ます。また、近くに古刹の牛滝山大威徳寺があり、和泉
      葛城山の登山口でもあります。
      南海本線「岸和田」から南海バス牛滝山行きで55分。
      阪和道岸和田和泉ICから15分です。



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