波乱の幕開けは干支オフから〜蛇山

 平成13年 1月 7日(日)
 天候:曇りのち雪
 同行:別掲
山頂にある岩尾山城址の天守台石垣
 

 今年の初山行は、丹波の主、タヌキさん夫妻主催の干支オフ。しかし予報は昼から雪か
雨と芳しくない。低気圧が四国沖にあり、発達しつつ東進しているという。こういう時は
近畿中部でも雪になることがある。それでも午前中はなんとか持ちそうと、たかを括って
いたが、これが予想だにせぬとんでもない事態になるとはつゆ知らず、正月休みのなまっ
た身体に鞭?打って早起き?し、8時前自宅発、中国道滝野社ICからR175を一路北
上する。

 集合地の「さんなん仁王」駅は加古川にかかる井原橋の手前。石龕寺の仁王像と同高の
石造りの仁王像が立っていて良く目立つ。集合時刻の20分前に着いたのだが、皆さん早く
も先着していて、それぞれの意気込みが伝わってくるようだ。橋のたもとを加古川沿いに
入ると「であい公園」である。駐車場があり、秋のオフの候補地であった至山の登山口に
もなっている。皆さんと新年の挨拶を交わした後、加古川を隔てて眺められる今日のオフ
の舞台「蛇山」をタヌキさんに教えていただく。その奥には岩屋山、篠が峰が雪化粧して
控えている。

 しかし底冷えして寒い。今にも白い物が落ちてきそうな感じ。その内にも続々参加者が
集まってくる。見送りに来られた大垣さんのお陰だろう、観光協会の会長さんからバンダ
ナの差入れ、商工会の方からコース案内図、更にタヌキさん手製のオフのプログラムは流
石の出来である。

 9時45分、駐車地の和田小学校へ。10時過ぎ、地元の自然愛好会の会長藤原さんの
先導で、和田集落の間を稲荷神社登山口へ向かう。

 20人を越す団体の移動。野球練習中の少年達も驚いたに違いない。ふと見上げた左手
の山腹には人の群れ。その上部に注連縄を巻いた岩の御神体が眺められる。通りには鄙び
た昔ながらの商店がポツンポツンとある。荒物屋、日用雑貨、理髪店の青と赤のねじり棒。
一軒あった医院の看板は、時代に逆らうように「醫院」と旧字体であった。

 赤い幟は和田下町稲荷社。ここから登るのが一番いいよと藤原会長。鳥居をくぐり、小
さな尾根につけられた小径を上がる。蛇山山頂まで2.1km。

和田下町稲荷参道を和気藹々と

 すぐに小さな広場に出て、よく手入れされた祠に行き着く。子供相撲でもあるのか、小
ぶりな土俵が設えてあって、未封切の一升瓶が3本。

 共同アンテナ施設を過ぎ、そこから先は分岐や合流を繰り返しながら尾根を登る小径と
なって、その間に石仏群がある。二体仲良く並んでいるものが多く、不動明王も認められ
る。その内の一つをパチリ。

 赤松やミツバツツジ、コナラなどの雑木が茂る気持ちのいい尾根を登って行く。やがて
東南方向が開けて、眼下に山南町の家並み、加古川を隔てて至山、石金山、妙見山の連山
が眺められる。南西方向の一際高い山は、麓に首無地蔵尊のある高山とか。
展望地から石金山(右)と半島の如く飛び出た至山

 ここから258mピークへ急登し、折角稼いだ高度を吐き出す急坂を降ると峠である。
小休止の間に、ここは夏でも涼風が吹き抜けること。この峠を降った所に領主の館があっ
たことなど、藤原会長のお話は続く。

 峠を抜けると今度はミニ岩場の急登となる。400m足らずの里山とはいえ、なかなか
バリエーション豊かな山である。そこを登り切ると、背後に先程の258mピークが円錐
形の丹波特有の端正な山容を見せてくれる。

 ようやく平坦になった稜線を往く。時折、北東の草部方面が垣間見える。空は一面切れ
目のない灰色。だが、視界は良く、まだ雨が降ってくる気配はない。

本峰東のCa310mピークから蛇山を望む

 シダの茂る小径を再び一気に登るとCa290mピーク。また平坦な尾根道となり、左
手前方に目指す蛇山が視界に入ってくる。植林がなく、コシダ、ウラジロシダの下草に、
葉の落ちたツツジ、赤松が多い小径は心地よい。藤原会長に寄れば?万円の松茸も採れた
そうだ。そんな裏話を聞きながら歩を進めると、あっという間に蛇山の東、Ca310m
ピークに到着。小さな鞍部を隔てて眺める蛇山山頂に人影が動くのが分かる。こちらから
声を張り上げて呼んでみるが反応なし。残念。

 応地坂への分岐を過ごして南に折れ、少々降ってから最後の一登りをすれば岩尾山城祉
のある山頂であった。ベンチが置かれた山頂は木が切り払われて見通しが良い。明らかに
人工的に平坦に削られた跡があり、天守台のあった部分には野面積みというのか、穴生積
みと呼ぶのか自然石の石垣が残る。一段降った平地にはベンチが置かれ、一本の立木に緑
色の山名プレートと城址のの解説板。その前で一同、輪になり、タヌキさん持参の地酒「
小鼓」を賞味した後、芳村さんの挨拶、続いて全員で自己紹介というプログラム。島田さ
んの帽子のピンクスネーク、母タヌキさんのアライグマ?の防寒帽などが笑いを誘い、一
層和やかに。日頃は無口な小生もいつになく多弁?であった。(笑)

天守台下の広場の説明板

 さて、待望のランチタイム。きつねうどんを温めている時である。何やら白い物が飛び
交っているのに気づく。「ん?雪?」。とうとう降り出したか。と見る間に周囲は一面灰
色を帯びて薄暗くなり、ほんの先程迄望めた千が峰や篠が峰、五台山や向山があっという
間に掻き消える有様。こりゃ下山を急いだ方が良かろうということで、13時前、和田小
学校へのコースで下山開始となった。

 こちらは結構な急坂である。補助ロープが渡してあるが、足元が悪い時は少々危険かな
と思えるくらい。が、ここをすぎれば平坦な尾根となり、堀切や井戸跡、南曲輪の跡を見
物しながらのプロムナードである。やがて植林帯に入り、しばらくすると親縁寺コースと
の分岐に出る。ここは右にコースを採る。やがて現れた校有林の中をずんずん降れば、あ
っという間に校舎の裏のしっとりとした園地に飛び出した。ここにはカエデも多く、秋の
紅葉も良さそうに思えた。

 卒業記念のタイムカプセル、イノシシの掘り返しの跡を見物しながら駐車地に戻る。一
旦、車に荷物を置いて校舎の裏玄関の屋根下に集合。母タヌキさんに黒豆パンとコーヒー
を振る舞って頂いていると、父タヌキさんがギターとキーボードを運んできた。何が始ま
るのかと思っていたら、なんと島田さんのオカリナとの三重奏が始まった。一ヶ月位前か
ら練習したのだそうだが、なかなかのもの。「山遊歌」、「ゆきやこんこん」、「雪山賛
歌」etc。リクエストにも即興で答える見事さでありました。

 そうする内にも、雪はボタン雪となって激しさを増し、木々は見る間に綿帽子をかぶり
始めた。「こりゃ大丈夫かいな」と少々不安になる。

 当初、予定していた応地の「蛇ない」や道祖神の見学も今回は省略。コンサート終了後
は別れの挨拶もそこそこに、皆さんに失礼して帰宅を急ぐ事にする。

 ノーマルタイヤだが、グリップ感があるのでやや安堵。がR175を南下しても雪が衰
える気配はない。高速道は大丈夫だろうか?また不安に。 

 ようやく着いた滝野社IC。通行止めは福崎以西とのことで又安堵。しかし流入路では
林に突っ込んでいる車。本線上ではスリップして側壁に衝突した車を目撃し、またまた不
安に。スリップもせず何とか吉川付近までは戻れたが、とうとう神戸ジャンクションで立
ち往生と相成った。

 公団の車が停車したので状況を聴取する。なんでも名塩付近の除雪に手間取っていると
いう。復旧時間不明とのことで一時は徹夜も覚悟したのだが、ようやく21時半に開通。
延々7時間の缶詰ではあったが、22時、どうにかその日に無事帰宅する事が出来たので
あった。

 新世紀早々、波乱の幕開けを予感させる大雪には往生したが、これも今は忘れ得ぬ想い
出。それに何と言っても丹波の暖かいもてなしに触れ得た干支オフ。盛り沢山に数々のコ
ーディネートをして下さったタヌキさん夫妻、そしての関係者の皆さん、本当に有難うご
ざいました。


【同行】
 ・低徘G:WeekendMastarさん、大加茂さん、かねちゃん、笹倉さん(途中参加)、
      佐竹さん、しまださん、たぬきさん夫妻(コーディネイト)、
      dameちゃん、のりかさん、もぐもぐさん、
      芳村さん夫妻
 ・無線G:あがさん夫妻、石田さん夫妻、八木さん夫妻、安田さん夫妻
 ・地元の方々:西山さん(山南町商工会)、藤原さん(山南町自然愛好会会長)、
        松本さん(千が峰愛好会)[五十音順]

【タイムチャート】
7:50自宅発
9:10〜 9:35道の駅「さんなん仁王」横(集合地)
9:45〜10:05和田小学校(駐車地 約110m)
10:23和田下町登山口
10:35下町稲荷
10:44〜10:49展望地(Ca200m)
10:56〜11:04峠(Ca210m)
11:12Ca290mピーク
11:27〜11:30蛇山東のCa310mピーク
11:42〜12:45蛇山山頂(358m)
13:00親縁寺コース分岐
13:05和田小学校登山口



蛇山のデータ
【所在地】 兵庫県氷上郡山南町
【標高】  358m
【備考】  兵庫県の中部、播但界にある山南町に属する里山です。
      山名の由来には各種ありますが、北東麓の集落「応地」
      が訛したものと思われます。応永年間に和田日向守が
      築城した山城があり、明智光秀の丹波攻めで落城しまし
      たが、今もそのよすがが石垣に残ります。稜線を辿るト
      レッキングコースが山南町によって整備されており、付
      近の薬草薬樹公園の薬草風呂と組み合わせれば、
      充実した歩きが家族で楽しめるでしょう。



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