奥高槻のマイナー二峰〜こんぴら山、高ヶ尾山

 平成13年2月18日(日) 
 天候: 曇り時々晴れ
 同行: 単独
高ヶ尾山の取り付きの前にある道標
 

 長かった猟期も15日で終わり。そろそろ、北摂の奥もハンターを気にせず歩くことが
出来るのではと、今日は2年ぶりに奥高槻の岡山林道を巡る。

 岡山林道は高槻市の萩谷から空谷橋まで10kmに及ぶ林道。一部は明智越と云われる
道でもある。地図で見ると、その南と北に三角点ピークがある。高ヶ尾山とこんぴら山。
どちらもガイドブックに載らないマイナーな山である。しかも、こんぴら山は地形図にも
記載がない。このこんぴら山には一度登ったつもり?なのだが、よく考えると間違えてい
たような。また、高ヶ尾山の取り付きは不分明。それらを確かめようというわけで、国土
地理院発行の両三角点の点の記を用意してスタート。

 府道枚方亀岡線を北上し、空谷橋のバス停付近、建材会社横の路肩の広まった所に車を
止める。林道には車も乗り入れる事が出来、手抜きもできるのだが、それでは面白くない。
低徘派は下から登ります。(^^);

 北部林道コースの道標を見て、橋を渡り、左下に寺の屋根を見ながら歩き始める。都会
に近い林道の常、大型ゴミの不法投棄が目立つ。公徳心の無さここに極まれり。

 喉が渇いたのでザックを下ろし、茶を飲んでいた時である。一人の40前後の男性が花
束を持って通り過ぎていく。ザックを担いで再び歩き始めると、200m程進んだ斜面際
に、石を集めて花束を供えている先程の男性がいる。「何かあったんですか。」と尋ねる
と「はい。」と一言。それ以上聞くことは憚られたが、およそのことが察せられる。一瞬
背筋が冷えた。

 植林帯に入り辺りが暗くなる。右に芥川の支流。砂防ダムがあってコバルト色の透明な
水を湛えているが、排水溝が詰まっているのか植林の杉の根元が水に浸り、軒並み立ち枯
れているではないか。先程のこともあって何となく不気味であったが、BMXの中年二人
組が登って来られたので気が紛れた。

 林道タビラコ線を右に過ごし、ヘアピンカーブを折れると沢音も聞こえなくなり、林道
周囲は雑木に代わる(パイプに導かれた水場あり)。徐々に高度を上げて高圧鉄塔が目に
入り出すと、程なく旧明智越えの林道田能線を右に分ける。道標によれば、橋からここま
で4km。左にはこんぴら山に連なる山が現れてくる。一旦山腹を回り込むと、関電鉄塔
bV05下に出る。
 
 鉄塔の向かい側、左の道端の雑木にテープが捲かれてあって、ここがこんぴら山の取り
付き。GPSを用意して植林の間を進む。ところがここで予期せぬ事。弱電波でナビ不能
なのだ。ありゃ?仕方がない。点の記片手に進むことにする。

 雪が消え残る踏み跡は山裾を東方向から南に振って続く。すぐに分岐。右の踏み跡は頂
きに金比羅宮の祠があるCa500mピークへのルート。以前来た時には、やはりこれを
こんぴら山と誤っていたようだ。(HP修正しなくては...。(^^;;  )

 山腹を平坦な道が真っ直ぐ続く。東側の冬枯れの雑木林が綺麗だが傾斜がきつい。道幅
は30cm位。見とれて歩いて踏み外さぬようにしなければ。

 植林帯を抜けると小さな鞍部で、痩せたササが繁って踏み跡がやや薄くなり加減。しか
し、境界標識のプラ杭が目印になる。やや東に向きを変えながら桧の幼木の生える小さな
痩せ尾根を辿り、やや登り返すと大きなマツが立つ場所に出た。パァーと眼前に広がる西
側180度の展望。湯谷ヶ岳に鴻応山。とくに鴻応山が独立峰に見え端正。赤白鉄塔が目
立つのは歌垣山。深山高原に半国山。妙見山から天台山に続く稜線の端からは霞みながら
も阪神間の市街地が覗く。こんぴら山の名称は、ここから四国の金比羅山が望めたからだ
と聞くが、あながち嘘でもなさそうと得心。

こんぴら山北側の展望地から湯谷ヶ岳(中央)と
鴻応山(右の三角峰)

 更に稜線を進む内に三等三角点が埋まった狭い頂上に到達。関西独標会の緑の山名板が
立木にあるだけの明るい山頂であったが、散弾銃の薬莢が転がっていたのは気持ちのいい
ものでは無かった。因みにGPSの誤差9m、高度は誤差18mでした。

こんぴら山の三等三角点(点名『岡山』)

 吹き抜ける風はまだ冷たいが、やや春めいた感じがするのは気のせいだけだろうか?正
午も大分過ぎているので先程の展望地に戻り、景色を肴に昼食とする。ストーブで湯を湧
かしている間にも、鹿の甲高い鳴き声が谷から木霊してきて、動物相の濃い地域であるこ
とを実感する。そういえば北摂のクマは何処へ行ったのだろうか。今現れても可笑しくな
い雰囲気だ。

 昼食後は、一旦、鉄塔へ戻って今度は高ヶ尾山に向かう。ここから4km程林道を南下
しなければならない。単調な林道歩きだが、林道が稜線沿いにあるのが救い。先程まで居
たこんぴら山やポンポン山を眺めながら歩いていく。やがて、なだらかな竜王山が南に見
え出し、安威川の採石場が目に入り出すと地獄谷峠は近い。

 地獄谷峠を越える道はその昔、亀岡から大坂への要路の一つであったそうだが、今は荒
涼として、標識がなければ見逃してしまうほど、その面影もない。林道地獄谷線が安威川
方面に降っているのみ。

 さて、高ヶ尾山の取り付きである。峠の標識付近はヤブ。もう少し萩谷方面寄りに歩い
てみることにする。すると、数分歩いた先の原八坂神社への道標の向かいに、こんぴら山
の取り付きにあった物に似たテープと高ヶ尾山と書かれた小さな緑のプレートが見つかっ
た。
 
 ササをかき分けるとすぐに植林下の明快な踏み跡が現れた。コブとコブとの間の緩やか
な小広い沢沿いについた踏み跡である。が、薄暗い。勿論GPSは弱電波でナビ不能。こ
こでも点の記で代行する。(^^);

 ササに覆われてやや薄くなってきた踏み跡は、少し左方向に向きを変えて薄暗い中に続
いている。まもなく箕面の豊能自然歩道の分岐付近によく似たのっぺりとした鞍部に出た。
左に緩い尾根が見える。所々にテープもあり、登っていくとすぐに直径20cm程の杉や
桧に囲まれた頂上であった。
植林に囲まれた高ヶ尾山山頂(点名『萩谷』)

 全く眺望はなく、墨で書かれた山名板が木に打ち付けてあるのみ。ピークハンター以外
には興味のない山である。デジカメで三等三角点を撮して早々に戻る事にした。

 取り付き点へ戻る。しばし休憩の後、これからまた長い林道歩きである。誰か車に乗せ
てくれないだろうかと、甘い考えが脳裏をよぎる。いかん。低徘派たる者、最後まで歩き
を全うせねば...。(笑)

 日が傾きだすと山の常、薄暗くなるのは早い。明るい内に例の場所を通り過ぎないと。
疲れた足にむち打って、何とか明るいうちに2時間足らずで山を下りることができた。現
金なものである。府道が目に入ると途端に、足の裏や膝の裏が痛みだした。今晩、風呂で
足を揉まなくては...。久しぶりに歩きを堪能?した奥高槻の長い一日でした。



【タイムチャート】
10:15自宅発
11:15〜11:25空谷橋
11:40林道たびらこ線分岐
12:10林道田能線分岐
12:15〜12:30関電鉄塔bV05
12:45〜12:50こんぴら山山頂(561.1m 三等三角点)
12:55〜13:25こんぴら山北尾根(昼食)
13:40関電鉄塔bV05
13:52林道原桧尾谷線分岐
14:30地獄谷峠
14:45〜14:48高ヶ尾山(480.5m 三等三角点)
14:55地獄谷峠
15:43〜15:45関電鉄塔bV05
16:30空谷橋



こんぴら山のデータ
【所在地】 大阪府高槻市
【標高】  561.1m(三等三角点)
【備考】  大阪府と京都府の境に位置し、芥川の谷を隔てて、ポン
      ポン山の西側に位置するマイナーな山です。山名の由来
      は晴れた日には、遠く四国のこんぴら山が見えたからと
      いわれます。確かに山頂の北からは、阪神間が望めます。
 
高ヶ尾山のデータ
【所在地】 大阪府高槻市
【標高】  480.5m(三等三角点)
【備考】  岡山林道の地獄谷峠の西に位置するマイナーな山です。
      地獄谷峠は昔、亀岡から大坂へ抜ける主要道の一つでし
      たが、今は面影もありません。山頂は杉桧に囲まれ展望
      は皆無で、ピークハンター以外には薦められません。
【参考】  2.5万図『高槻』

 ■関連情報 岡山林道(槻の木グリーンベルト)を辿る
        思わぬ吹雪〜北摂こんぴら山」      を見る



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