石堂ヶ岡〜北摂(大阪)唯一の一等三角点

平成13年 3月 3日(土)  
天候: 曇り時々晴れ
同行: 単独
ゴルフ場のクラブハウス前の『相場振り』の記念碑
 
 雛祭りの今日、亀岡の牛松山への遠出の帰り、豊能町余野の民俗資料館に寄ったところ、
豊能町関係の冊子が置かれていたので、つらつら眺めていると「石堂ヶ岡」の記事が目に
付いた。たまたま過日読んだ新ハイキング別冊「関西の山」最新号に「旗振り通信の研究」
が連載されていて、「石堂ヶ岡」の項もあったのでよけい目についたのかも知れない。そ
れによれば「石堂ヶ岡」は、堂島の米相場を伝える旗振り通信を行った所だったそうであ
る。
 
 一方、この山は北大阪唯一の一等三角点を持つ山でもあり、興味があった。しかし、現
在、山頂は茨木高原カントリー倶楽部の敷地内でハイカーは立入禁止だと云う。ところが、
以前、HPを検索していた際に、何気なく三角点探求を趣味とされている方のHPを見て
いたら、石堂ヶ岡の一等三角点の写真が掲載されているではないか。かねて一度訪ねてみ
たいと思っていたから、今日、資料館で目にしたのも何かの縁。時間も有ることとて寄り
道してみることにした次第である。

 R423から豊能町高山方面への府道を南下し、北摂霊園に入る。ここは存外眺望が良
く、売店も有り、隠れたいい展望台でもある。駐車場に車を停めて愛でる人も多い。今日
もちらほらそれらの人達を見かける。先週歩いた鉢伏山は箕面川の深い谷の向こう側、手
に取るように近い。

 車道を登って行き、霊園を抜けてすぐ、左手にゴルフ場のゲートがある。長いアプロー
チを進むとクラブハウスの前の駐車場である。すると、クラブハウス前に大きな石の記念
碑。新ハイに載っていたのはこれだな。黒い字で
「米相場 京へ知らすに旗振りし ここが昔の相場たて山」と彫ってある。

 丁度、キャディーさんを送迎するマイクロバスが停まっていたので、運転手に尋ねてみ
る。
「この辺に一等三角点があるんですが...。あのう、この位の石のやつで...。」と
手真似。
「うーん。聞いた事あるけどクラブハウスでことわった方がええよ。」

 クラブハウスの玄関の自動ドアには「ブレザー着用のこと」の但し書きがあって、今日
の自分は山帰りでアノラック姿。一寸気後れするが、とりあえず入って訊くことにした。
ちょうど支配人風の方が居る。
「あのう。ここに一等三角点が有ると聞いたのですが、見させてもらえないでしょうか?」
「ああ。それだったら建物の東側の小高い丘にありますよ。そうですねぇ。誰か外に係員
いるかなァ?」
「すみません。見終わったらまた挨拶に来ます。」

 およそこんなやりとりの後、建物の東側に廻ってみる。大きなハスキー犬の吠え声に驚
いたりしながら、バンカー練習場の横から高みを目指して歩く。見上げるとそこだけ切り
取られたように北摂特有の雑木が残っている。低い針金柵を跨いぐと、水道のポンプ施設
が有る。そこを迂回してイヌツゲの生える箇所を抜けると、綺麗な三角点が鎮座。誰もが
立ち入り出来る場所では無いので瑕も無い。そばには例の短歌が書かれた木札もあった。

深く埋まった石堂ヶ岡の綺麗な三角点

 イヌツゲなどの雑木も生えているが、流石に一等三角点だけの事は有り、障害がなけれ
ば360度の展望が得られそうなシチュエーション。少し北に行けば、重畳と続く能勢の
山並が一望。南に行けば大阪平野からそれを囲繞する山々の大展望である。米相場の中継
点であったことも頷ける。

 なかなか触れることの出来ない石堂ヶ岡の三角点。今日は殊の外、丹念に頭を撫でて引
き上げる。
 
 戻ってクラブハウスのフロント。先程の方は不在。横におられた女性係員に挨拶し、車
に引き上げる。牛松山の山歩き、豊能町民俗資料館、石堂ヶ岡の一等三角点。なかなか収
穫の多い、雛祭りの一日でした。

 最後に、急な依頼を快く承諾して下さった茨木高原カントリークラブの関係者の方々に
感謝致します。

【タイムチャート】
 計測していません


石堂ヶ岡のデータ 
【所在地】 大阪府茨木市
【標高】  680.5m(一等三角点)
【備考】  豊能町高山の明ヶ田尾山の東に位置する山で、奥箕面
      山域の最高峰です。北摂(大阪)唯一の一等三角点を
      持つ山ですが、周囲がゴルフ場として開発された為、
      山という感じはありません。また山頂はゴルフ場の敷
      地内ということもあり、許可なくして立ち入ることが
      出来ません。昔、比叡山、愛宕山、鴻応山と続く京都
      と大阪を結ぶのろしの中継点で『相場振り』の名もあ
      ったとの伝承が残っています。



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