待望の北部台高縦走〜高見峠から明神平へ |
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平成13年 6月10日(日) 天候: 晴れ 同行: 別掲 |
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伊勢南街道の間道だった?伊勢辻(八峰越)にて |
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一昨年の6月、明神平から国見山に登った時、ウシログラで食事していると、単独小父 さんがやってきた。話を交わすと高見山から歩いてきたそうで、なかなか良いという。そ れからである。いつか歩きたいなと思うコースの一つとして印象に残った北部台高縦走。 それが今回、低山徘徊MLのオフで実現。総距離15qになんなんとする長丁場でもあり、 体調と日頃の運動不足がたたるのではといささか不安もあったのだが、それも杞憂に終わ り、満足の一日となった。 懸念された天候も好転。唯、所々で雷雨の予想が気になる。無風で湿度が高いせいか、 山々は頂上付近が霞んでいる。雨は大丈夫だろうか。 渋滞もなく8時10分、第一集合地の大又林道終点へ到着。川べりの広場には、5台程 の車が止まっている。オフ参加の方々はまだかとぶらついていると、先着していた車の間 におられた3名の方から「『低徘』の方ですか?」と声がかかる。いずれも初対面の方。 フェアレディさん、杉崎さん、shigaさん。失礼致しました。m(_ _)m 3台の車をここにデポ。初対面の挨拶を終えて、早速我が車で第二集合地の高見峠へ向 かうことにし、暫く走っていると後から車が接近してくる。先行を促そうとするとなんと 見慣れた顔は佐竹さんであった。 丹生川上神社で木津方面に進路を採り、約50分で高見峠へ着く。しかしこの高見峠迄 の道だけでもR166から結構長い。4年前の高見山からの下山時だったが、よくも歩い て杉谷迄降ったもんだ。今だととてもじゃないが歩く気はしない。(^^; さて、高見峠。以前より整備されて、東屋に立派なトイレまである。既にもぐもぐさん 達は準備に余念がない。こちらも急いで仕度。皆さんそれぞれ自己紹介を済ませていざ出 陣である。 風雨でかすれ見えなくなった案内板の横から縦走道が始まる。東吉野村の設置した「北 部台高縦走路」と書かれた三角プレートが懸かっている。これは当コースの要所要所に設 置されていて、初めて歩く者にとっては有り難い。 しっかりとした道が桧の植林の中に緩い勾配で続く。最初の分岐は右へ、少し開けた日 当たりの良い所にはワラビの群落。フタリシズカが白い清楚な花穂を出している。コバイ ケイソウが一本ポツンと合ったのが印象的であった。 一登りして1021mの無名ピーク付近。建設省の三角点と彫った石標が埋まる。四方 に保護石もあるが等級なし。一同首ひねるばかり。高見トンネルと関係あるのだろうか? 【註】
リの特徴ある声が響く。ヤブウツギの赤い花。マムシグサが到る所で鎌首をもたげる。 桧林の下に遭難碑と地蔵さん。16歳のNさん、1965年5月3日の事だという。暴 風雨だったそうだが、やはり山深い大峰、台高。遭難碑は知っているだけでも5カ所ある。 徐々に高度を稼いで、最初の名のある山、雲ヶ瀬山に着く。手製のプレートが枝に掛か るのみの狭い山頂は、植林の中で展望はない。
ち着くと、右手が開けて杉谷と思しき集落と国道が直下に眺められる箇所に行き着く。右 手に高見山。いつも見慣れた尖峰でなくやや舟形を呈す。 再び林の中。時ならぬ闖入者に驚いてか、一行の話し声に名も知らぬ野鳥が、しきりに 警戒音を発している。それは鳥のテリトリを抜けるまでしばらく続いた。 左方向から激しく騒ぐ水音が聞こえ出す。滝見尾根という手製のガイド。鳴滝という滝 が有るらしいが、ブッシュに遮られて見えない。 更に進んで「南のタワ」。深くえぐれた様子をみると、昔はよく使われた峠道だったよ うである。三重県側はヤブらしいが、奈良県側は未だ薄い踏み跡が残っている。 この「南のタワ」からは左手に鹿除けネットが現れる。登っていくに従って、先程の雲 ヶ瀬山の意外に形の良い頭。尤も高見山には比ぶべくもないが...。細い尾根道、左手 三重県側の山は深く、地道の林道が見え隠れしている。前方遠くにようやく伊勢辻山らし いスカイライン。未だ結構遠い。
升瓶と枯れた供花があった。ここで小休止。のりかさんからゼリーの差入れ。些かシャリ バテの小生、更におにぎりを頬張る。 県界を表す黄色のプラ杭に導かれてきつい登りに入る。皆さんの口数も一気に減って、 暫くは無言の行。蒸し暑い。じわりと汗が額を伝う。尾根に上がると「風の道」と書かれ たプレートがあったが、余り風は吹いてこない。 ハンシ山(1135.6m)は桧林の中で、ここも展望は皆無。ダイトレとよく似た雰囲気の 場所である。 植林の間を登っていると足下にギンリョウソウの株を発見。皆さん一気に撮影モードに 切り替わる。これは伊勢辻山への登り前の良い休息ともなった。 再び稜線に出るとそこは素晴らしい新緑のプロムナード。特に三重県側が綺麗だ。春ゼ ミの声。ホトトギスが意外に近くに。「帰りたくないなぁ。」の言葉が期せずして口をつ く。
振り加減になると、右から大又からの踏み跡が合流してくる伊勢辻であった。これで前半 一段落。昼食タイムは予定通り伊勢辻山で摂る事にして、稜線沿いに進むと、やがて立木 が途切れて、ほぼ12時の予想時刻通り、丈の低いササが生える伊勢辻山(1290m)に到 着した。 賑やかなプレート類。お馴染みのイセ一貫堂、山想遊行もある。ガイドにもあったが、 南方の眺望頗る良し。残念ながら靄でかすむが、薊岳、木の実ヤ塚、電波塔のあるのはジ ョウブツ山らしい。左に国見山に続く尾根。目の前の大又谷は見事に深い。
いのだが、ブヨやハエは頂けない。大加茂さんなどはアラブの女性の如く、虫除けネット を被ってしまった。 長丁場でもあり、通常よりやや早くランチタイムを切り上げて伊勢辻山を出発する。東 に連なる国見山、水無山の稜線が霞の中に連なって視界全体に現れる。そして眼下の赤ゾ レ山までの間は、あたかも日本庭園の趣であるのに驚く。ヒメザサの中に咲き遅れたヤマ ツツジや低い赤松がまばらに生える、細いが良く踏まれた一本道を降る。
ンと見えて、お聞きするとこの道は赤ゾレ山への道。分岐していたのが巻き道だそうだ。 景色がいいので登ると良いとのことだったが、その言葉に間違いなし。薊岳から木の実ヤ 塚。ジョウブツ山。これから歩く国見山が指呼の間。昼食はここにしても良かったねの声 も。 伊勢辻山からは踏み跡があったが、山頂から東側にはなく、名前の由来になったものだ ろうか。赤茶けたザレ場がある。ここから降りれば下に踏み跡が見えるのでよさそうだが、 如何せんかなりの傾斜。左のブッシュから巻くことにする。錯綜したうすい獣道を右(南) 方向を失わないように進むと、赤ゾレ池が現れた。直径10m程の池塘である。更に進ん でようやく先程の巻き道に合流。ヤレヤレ。 いつの間にか空模様がやや怪しくなって、辺りは夕刻のように暗くなる。ポツリポツリ と来たようだが、幸いそれ以上の降りにはならず、すぐ止んだ。馬駈場辻から馬駈場に出 る。源義経の伝説があるという馬駈場はヒメザサの茂る広場。鹿の糞が多かったから、馬 というより鹿の食後の運動場かもしれないと戯れ言。(^^; 今まで平坦だった道が傾斜を加える。苔むした岩とコバイケイソウの群落が現れ、踏み 跡はこの中を縫うようにあるが、尾根が広がり次第に怪しくなってきた。所々にあるテー プと、東吉野村が設置した標識に注意して登る。 国見山の前山の稜線ではないかと思っていたのだが、ポッカリと飛び出した所は見覚え のある国見山の頂上。意外に早い到着に驚く。 ここも賑やかにプレートが懸かっている。ゴロ石の中に傷つき角が無くなってしまった 二等三角点。が、一昨年と同じく鈴なりの花を咲かせて、ベニサラサドウダンは今年も健 在であった。 記念撮影などして和やかに小休止を取った後、明神平に向け出発。昼寝が出来そうな平 らな岩や三重県側のブナやミズナラの林にガスが流れるのに喚声をあげつつ、ウシログラ に到着。ここはおととし昼食を摂った所。絶壁からの展望は相変わらずだが、今日は天候 の加減で眼下の緑はやや暗い。左に見える水無山の稜線にガスが懸かりだしたが、尾根に 堰き止められて期待した滝雲にはならず仕舞いであった。 水無山はこの辺りの最高峰なのだが、着いてみると小さな岩が連なる稜線上のコブ。狭 い稜線はここから南西に振る。確か石楠花があったはずと探してみると、花はとっくに終 わって残念ながら雌しべのみの残骸であった。 水無山の南斜面。コバイケイソウの大群落の中を降って、新しく建ったあしび山荘の前 の東屋で一休みとする。それにしても吉田さんがMLで云われていたように、コバイケイ ソウに元気がない。ウイルスにでもやられたのか茶色っぽい葉をつけた物が多かった。
のになぁ。かえって静かで良いが...。仰ぎ見た南の三ツ塚の斜面に一人の男性がいる のみであった。 明神平を後にして、やや降った水場。ケロケロと蛙の鳴き声が喧しい。相変わらず冷た い清水が湧き出ていて、トリカブトやアザミが茂っている。お茶を飲み干したペットボト ルに水を詰める。即座にボトルは汗をかく。それ程冷たい清水である。 木漏れ日の登山道、ヒメシャラやブナ、ミズナラの下にはコバイケイソウ、タケニグサ。 日陰にはガクウツギが白く艶めかしい。 桟道を渡り、やがて沢音が高くなってくると明神滝。今日は意外と水量がある。 キワダサコを過ぎると一転荒涼とした世界が広がり、夥しい倒木の中に廃屋となった旧 あせび山荘のひん曲がった赤茶けた屋根。その下に倒木を避けて新たに登山道が作られて いる。梯子が架けられた所もあり、岩が濡れているので転倒せぬように気を使う。 谷沿いに浮き石が多いやや歩き難い道を降って、鉄製の橋を渡ると砂防堤工事の作業道 に出る。砂防堤の骨組みとなる太い鉄骨が組み上がっている。しかし工事の為、土砂が流 れ出しているのであろう、川底の岩には泥が沈着していて、かつての青々としていた淵も 何か濁った感じを持ったのは小生だけだろうか? 痛々しい工事現場を過ぎて旧林道終点に出た後、更に10分程降ってようやく現林道終 点の駐車地にゴール。総歩数2万8千歩のロングコース。全員完歩に崖際に咲く白いウツ ギも祝福しているようであった。 朝にデポした車に分乗してやはた温泉組以外は再び高見峠。ここで直接帰宅組、一風呂 組等に分かれて解散となった。小生の今回は、時間も遅いこともありサッカーも気になる しで、風呂に入らず直接帰宅組。風呂は又今度の楽しみに取っておきました。 先週の大天井ヶ岳といい、今回の縦走といい、充実の上にも充実の一日。素晴らしい自 然に接することが出来て、「予は満足じゃの状態」。皆さん有り難うございました。 ■同行:大加茂さん、佐竹さん、shigaさん、杉崎さん、のりかさん、 フェアレディさん、もぐもぐさん、みーとさん【五十音順】
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