陽春に「山笑う」〜堂床山

 平成13年 4月15日(日)
 天候: 晴れ
 同行: 別掲
槻並の里より堂床山(右奥)と頂上に反射板が
見える丸山(中央)


 去年の12月に企画されたものの、残念ながら雨で流れた北摂堂床山オフ。暮れにミナ
ミで開催された低徘関西本部有志総会?(早い話が忘年会です(笑))で、「木の芽時に
でもリベンジしたいね。」と話に出ていたのだが、桜散る陽春の4/15、佐竹さんの音
頭で実現の運びに。沢山の方々の参加で、気候に相応しく賑やかなオフとなったが、以下
はそのリベンジオフの模様である。

 集合地と時刻は去年と同様、道の駅「いながわ」。雲一つない空と清々しい空気の中、
8時に自宅を出、途中のコンビニで食料や缶ビールを仕入れて集合地へ向かう。案に相違
して道は空いており、川西を抜けて8時50分には道の駅。一寸早すぎたかな?と駐車場
に車を止めてザックを詰め直していると、しまださんの姿。お早いお着きである。丁度ラ
ジオでやっていた枝雀落語の話やパソコンの話なぞの立ち話をしている間に、えびたさん
や佐竹さん、田中さん、かねちゃんら北摂支部の主だった面々が続々と現れ、最後に大加
茂さんの二輪車到着。これで全員集合、槻並集落の神社近くの路肩が広くなった部分に車
を移動する。ここからは3台の車に分乗、更に奥を目指す。

 狭い道をくねくねと進み、最奥の民家を過ぎると、高圧鉄塔下の廃プレハブ横に空き地
がある。ここに車を置いて全員身支度を整え出発。丁度10時である。

 佐竹さんの先導で槻並川に架かる橋を渡って左に折れると、芽を吹き出した雑木林の中
にいい道がある。ウグイスがそこここで鳴き交わしている。足下にはタチツボスミレだろ
うか薄紫の花が点々。ミツバツツジの赤紫も周囲の木々の萌葱色に似合う。

 前方に何かプレートが懸かっていると思えば、ボーイスカウトのキャンプ地だという。
トーテムポールなどもあって、今もしばしば利用されているようだ。

 道は関電の巡視道となり、暫くすると右側の斜面を登っていく。やがて、高圧鉄塔の下
に出た。青い芽を吹く雑木の谷の向こうには、これから向かう丸山。堂床山はその向こう
だというから、未だだいぶ遠いなぁと一人ごちる。

 この巡視道だが、以前は地元の方の杣道だったのだろう、あちらこちらに一抱えもある
台場クヌギがある。山腹を直登したり、あるいは捲いたりしながら辿っていくと、小さな
谷の源頭にあたる斜面に綺麗な炭焼き窯跡を発見。はっきりと石積が残っている所を見る
と、まだ現役かもと、面々かまびすしい。

今も現役?炭焼き窯。近くには台場クヌギが

 苔むした岩が転がる谷の源頭を幾つか横切り、黒いプラ階段を登って高度を上げる。高
圧鉄塔(宝塚線bP1)を過ぎ、Ca370mピーク手前であったろうか、昼から法事があ
るとおっしゃるWMさんが戻られることに。残った我々はCa370mピークで憩った後、
雑談を交わしながら道を辿る。概ね明瞭な道で、関電の火の用心の標識が目印だが、のっ
ぺりした尾根道では踏み跡が薄くなったり、逆に踏み跡が分岐したりする所があり、時々
地形図で確認しつつ伝っていく。

 地形図の384mピークに寄り道して暫くした時である。シマノのロゴ入りのテープが
現れた。島田さんは、「こりゃ自転車じゃないよ。」と弁明に努めていたが、さすればバ
イクの催しでもあるのであろうか。コース整備用なのか熊手まで置いてあった。

 ヒョイという感じそのままに竜王山の山腹を縫う林道裏山線に飛び出したのはそこから
すぐである。ヤマザクラやミツバツツジが咲く明るい林道と思ったが、兼武さんによると、
秋は薄暗くてやや不気味とのことだ。

 三草山方面からやってきたバイクに道を教えたり等しながら小さな峠を過ぎた頃、誰だ
ろうか右手の桧林に動物捕獲用の罠があるのを見つけた。罠を実際に見るのは初めて。一
頃、話題となった熊用の罠なのか、人一人は十分入れるほどの大きさがある。だが誘引用
の餌は無かった。

 そろそろ正午。腹の虫がねぇ..。そんな話題に盛り上がりながら植林帯を抜け出すと
林道裏山線と野所長谷線の合流点。林道開設記念碑が立つ。ここで野所長谷線をとればエ
アリアマップの「橋」の所へ出るらしいが、我々は真っ直ぐ進むことに。そしてまもなく
左手の桧の幹に「堂床山」を示すテープと踏み跡が現れる。が、このテープよく見ないと
見落としそうである。

 堂床山は珍しくテープの少ない山だ。代わりに何かの境界を示すプラ杭に導かれて登っ
ていく。木々の間から高圧線を目で追って、昼食を摂る予定にした高圧鉄塔を探すと右前
方。開けた青空、小鳥のさえずりを聞きながら、面々、三々五々昼食を広げる。期せずし
て、至福の時だなぁと声が挙がる。その間、島田さんの無線機には応答がなかったようで
ある。

 50分程の大休止も終わって、堂床山を目指して歩行再開。しかし満腹した体は重い。
しかもなだらかだったのはほんの少し、すぐに急登に変わり、息があがる。「何を好きこ
のんでこんなしんどい思いを」と心で吐きたくなった頃、ようやく傾斜は緩んで一つのピ
ークに。が喜んだのも束の間、これが偽のCa570mピーク。しかしここ以降はほぼ水平
道。やや登った先が二等三角点のある堂床山山頂であった。
 
 国土地理院の標柱と共に、ピークハンターには落とせない山と見えて、交通の便があま
り良くないにも関わらず、木々に幾つかのプレートが懸かっている。展望は概して良くな
いがそれでも、木々を透かして大野山や高岳が大きく見える。南側はこんもりした丸山。
その向こうの台形の山が気になったが同定できずであった。
 
 南の丸山に向かう。堂床山の南斜面が相当な急降下。木々に掴まらないととても降りら
れない程である。七種山での経験もあり、岩場でもないからそれ程危険はないものの、尻
セードはしたくない。慎重に60m程を一気に降る。

光溢れる堂床山の南の急斜面を一気に降る

 丸山との鞍部からは一転してなだらかなプロムナード。ヤブツバキ、アセビ、白い花び
らが落ちていると思えば、高い梢にタムシバの花。ツツジ類も多いいい道だ。緑色の道標
が木に立てかけてあったり、しばしば現れる枝道にはテープに杉生や原等と猪名川町側へ
の下山路が書いてある。ゆるゆると登って、フェンスに囲まれた関電の巨大な反射板が見
えてくれば丸山山頂。この反射板のお陰で、北方の眺望が良くなったのは皮肉。ここから
は竜王山の山容が手に取るようで、その奥の剣尾山、横尾山が秀麗。ことに横尾山はこの
角度からは意外に鋭い。更に東の乳房に似た山が目立つ。鴻応山らしい。手前には鉄塔の
建つ歌垣山も眺められ、北摂北部の主だった山が顔を見せる。麗らかな陽射しの下、眺望
を楽しみながらの小休止である。尤もヒサカキの匂いには閉口だが...。(笑)

丸山山頂に咲いていたコバノミツバツツジ

 丸山の南側斜面もなだらかな広い道だが、植林が現れる頃にはヌタ場のような部分があ
り、足元が悪い所では、桧林の中の迂回路をとるのが無難。旧道を行く数人のハイカーと
すれ違った後、すぐに林道終点に飛び出した。古い軽トラが捨てられてあり、黄色いテー
プが立木に捲かれてある。右にカーブすると、林道が二股となっていて、左は堂床山、丸
山の鞍部付近へ行く道らしい。我々は勿論、右の降る方を採用する。

 長い単調な林道歩きも、大勢ならば楽しいもの。しかも地道だから尚良い。見え隠れす
る竜王山や三草山を眺めながら、白いモミジイチゴの花の蜜を集めるクマバチを見つけた
り、シキミの花と思しき黄色い花や、花弁の大きいタチツボスミレの群落、カーブを曲が
ると現れるミツバツツジ等を愉しんだり、そうかと思えば一転、林道が出来ると大型ゴミ
の不法投棄や、バイクが道を荒らすなぁと義憤したりと、皆さん忙しい。

 そうこうする内に、林道長谷線に出会う。ここがエアリアマップの「橋」とある地点だ
が、逆コースできた場合、初めてだと一寸分かり難い感じだ。(東の山側に関電巡視路あ
り)
 ここからは、瀬音を聞きながらの林道歩きである。やがて、林道は二手に分かれ、右に
立派なコンクリート橋。その横には新興宗教のものと思しき緑のトタン屋根の建物が静ま
っている。直進も良さげだが、ここは橋を渡って川沿いに進む。

 所々小さな滝や苔むした岩となかなかの風情の渓谷が続く。先程の分岐道も浅くなった
沢から合流してきたようだ。やがて空間が広がって、東側に往路、歩いた山並みが広がっ
てくる。雑木が淡い黄緑に彩られ綺麗だ。それにヤマザクラやタムシバが白いアクセント
を与える。俳句の季語「山笑う」とはこのことか。植林の山では味わえない、えも云われ
ぬ風情であった。

 面々の口数も流石に減った頃、ようやく車が見えてきた。駐車地点の大谷池の畔。小さ
な祠を見つけたから寄って行くが、前垂れで地蔵さんの顔だけしか分からない。石仏評論
家の島田さん落胆。

 最初の駐車地に戻る。歩いてきた丸山、堂床山が傾いた陽に照らされ静まっている。田
の畦に出てデジカメに納めておく。

 道の駅「いながわ」に戻って、名残惜しいが、またの再会を約して解散となった。陽春
爽やかな中、終始和やかに無事終了した北摂オフ。以前から鴻応山と共に、北摂では少々
気になっていた山だけに、充実の一日を過ごす事が出来た。同行の皆さん有り難うござい
ました。



 ■同行:えびたさん、大加茂さん、かねちゃん、佐竹さん、島田さん、
     田中さん(中途まで)、もぐもぐさん [五十音順]

【タイムチャート】
8:10自宅発
8:50〜9:30道の駅「いながわ」
9:53〜10:00大谷池横駐車地(Ca165m)
10:16高圧鉄塔
10:39高圧鉄塔(宝塚線11)
10:49Ca370mピーク
11:05384mピーク
11:16林道裏山線出合
11:50林道記念碑(林道野所長谷線出合)
12:00堂床山登山口道標
12:08〜12:55高圧鉄塔(宝塚線bU)昼食
13:15〜13:22堂床山山頂(584.4m 二等三角点)
13:37堂床山・丸山間の鞍部
13:41〜13:55丸山山頂(571m)
14:10林道終点
14:45林道野所長谷線出合
15:35大谷池横駐車地



堂床山のデータ
【所在地】 大阪府豊能郡能勢町・兵庫県川辺郡猪名川町
【標高】  584.4m(二等三角点)
【備考】  北摂北部、大阪府と兵庫県の府県境界を東西に、三草山、
      竜王山と共に並ぶ山ですが、アプローチが他の北摂の山
      々に較べて長く、やや不便な山域に位置します。山名の
      由来はお堂の礎石があったからと言われますが定かでは
      ありません。本文とは逆の丸山からの登路が一般的なコ
      ースですが、北からの登路はテープ類がほとんどなく、
      代わりに境界を示すプラ杭を目印にしますが、踏み跡が
      不明瞭な部分もあり、又、この山域全体に、踏み跡が錯
      綜している事もあって、コンパス、地形図持参が無難で
      す。
【参考】  2.5万図『木津』



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